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アルツハイマー型認知症と運動介入。21のメタアナリシスを束ねたアンブレラレビュー

📖 文献情報 と 抄録和訳

アルツハイマー病に対する身体活動および運動介入の効果: 既存のメタアナリシスのアンブレラレビュー

📕López-Ortiz, Susana, et al. "Effects of physical activity and exercise interventions on Alzheimer’s disease: An umbrella review of existing meta-analyses." Journal of neurology 270.2 (2023): 711-725. https://doi.org/10.1007/s00415-022-11454-8
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✅ 前提知識:アンブレラレビューとは?
・アンブレラレビューは、複数のメタ分析を統合した研究。
・メタ分析は個別の研究結果を統合したのに対して、アンブレラレビューはメタ分析を統合する
・エビデンスレベルでメタ分析を超える統計研究手法が「アンブレラレビュー」

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[背景・目的] 過去10年間、身体活動(physical acivity, PA)(または「運動」)は、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease, AD)の病態の進展に影響を与える主な修正可能な要因の1つであることが確認されている。我々は、PA/運動とADリスク発症リスクとの関連、およびADの進行に対する運動介入の効果に関するエビデンスを要約するためにアンブレラレビューを実施した。

[方法] PAとADの発症率との関連を評価したメタアナリシス、およびAD患者に対する運動介入の効果を評価したメタアナリシスを特定するため、PubMed、SportDiscus、Cochrane Library、Web of Science(2022年3月)において系統検索を実施した。

[結果] 21の研究が含まれた。最も強いエビデンスがある結果は、ADリスクに対するPAのポジティブな効果を明らかにした。特異度は、WHOの推奨するPAを満たすことがADリスクの低下と関連していた。また、運動が認知機能、身体能力、機能的自立にプラスの効果をもたらすことも明らかにされた。

[結論] 定期的な運動がADリスクを予防するという強いエビデンスがあるが、その強度-反応関係はまだ不明である。運動は、AD患者のいくつかの側面を改善するようであるが、最大の効果を促進する運動特性を明らかにするための研究が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

すべては主観にすぎないことを思え。
その主観は君の力でどうにでもなるのだ。
したがって君の意のままに主観を除去するがよい。
するとあたかも岬をまわった船のごとく眼前にあらわれるのは、見よ、凪お、まったき静けさと、波もなき入江。

自省録 マルクス・アウレーリウス P. 237

僕たちが生きている世界は、同じであるように思われて、同じではない。
一人一人が、それぞれの脳に表象された世界を生きている。
その仕組み上、全人類が色眼鏡を持たざるを得ない

そんな世界に生きる僕たちが、個人を超えたところで真理を共有する。
それは、とても難易度の高いことのように思える。
その真理との距離感を指し示すものが、エビデンスレベルだと思っている。
たった一つの事実(単一研究)では、色眼鏡の影響が強いものの可能性がある。
それらたくさんの事実を集めたレビュー(メタ解析)は、かなり真理に近いたものと思われる。
じゃあ、そのレビューを束ねたら、どうなるか。
それは、もはや色眼鏡で見たもの、とは言いにくいのではないだろうか。
真理に近い結論が得られる。

今回は、そのアンブレラレビューという手法を用いて、運動介入がアルツハイマー型認知症に与える効果について明らかにした。
読み手にとって、助かることに美しい図によってわかりやすく示された。
これらの効果を説明するときは、アクセントをつけてもいいかもしれない。

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