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滑空しないグライダーを探す旅
振り返れば恋人との関係を始めて1年が経って、同じ場所で同じ人間と同じことをした。
春の気配を含んではいたが、冷えたスミノフを飲むには少し肌寒い季節。霞んだように薄くかかった雲からも感じる日差しなのに、しっかりと眩しい。隣の男と密着した皮膚は、いつも通り普段の自分よりあたたかい。
春は穏やかそうな顔をして、本当はそうじゃないと思う。風も強い、油断した頃に信じられない寒さを届ける、心地よく寝ている
日記-4(雨と花とエビ)
静かに、けれど確実に、雨が鳴る。
地面を叩く音、張った傘を叩く音、きっと葉を叩く音もする。
今はマンションの2階に住んでいて、端の窓から臨場感をもって道路を見下ろすことができる。こんな日に歩いているのは配達員さんくらいだ。ありがとうございます。本当に。
私の頼んだヨガマットが届いたのが、昨日でよかった。
今日は恋人のシャツをクリーニング屋から引き取り、最寄りのコンビニで片栗粉を買うだけで外出は
散文-3(七夕の終わりに)
七夕はいつもあっさりと終わる
私に何も起こすことはなく終わっていく
果たしてあの人とあの人は会えたのだろうかと思うけれど
ほとんど毎年東京は雨で
でも今年は不思議と東京がどんなに雨でも
世界を見渡せばどこかは必ず晴れていて
そのどこかで会えているだろうと気づいて
実は切なくもなんともない行事のような気がして
窓の外からは雨が濡らしたコンクリートを車が鳴らす音が聞こえる
茎を少しずつ切りながら見