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通り過ぎたものたち

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お酒と恋愛と友情とひとりごと。 切ない思い出がいつくかある人とは仲良くなれそうです。
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記事一覧

滑空しないグライダーを探す旅

振り返れば恋人との関係を始めて1年が経って、同じ場所で同じ人間と同じことをした。 春の気…

すみれ
3年前
17

あのあえぎ声は風にのって

向かいの保育園は、週末は静かだ。 園児が壁に描いたのだろうか、カラフルないも虫のような何…

すみれ
4年前
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溶かした春の涙

1分、1時間、1日と、時間は確実に過ぎ去っていく。 私を押し流すように、何かから引き離すよう…

すみれ
4年前
34

星の落ちない透明な夜

恋愛で朝まで一睡もできなかったのは人生で3回目だ。 耳の奥で異質な音を感じる。頭と身体が…

すみれ
4年前
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現在(いま)を生きる犬

---------------------------------------------------------- 「私にずっと覚えていて欲しい…

すみれ
4年前
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夏のおとしもの

10,000キロとすこし。 今はこんなに密着しているこの肌、指先、足先、このくちびる、この粘膜…

すみれ
4年前
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虹色のハムスター

バルセロナの路地裏の、なんだかよくわからないお土産物をたくさん売っている露店を思い出している。扉をくぐってすぐ横に飾られる陶器、優しい目線のトラの置物、カラフルに花が絵付けされた無数の食器、異国の光を映したガラスのランプ、きっとどれも観光客向けに並べられた品物だろう。 きらきらと、瞳の奥をくすぐる。それはとても心地良く、明るい色を体内に差し込んでくるような空間だった。太陽と強い日差しに焼けた石、それに少しだけ挨の匂いがした。 まぶしい、まぶしくて、溶けそうで、あたたかい。

深夜3時のひまわり

深夜3時、夏前の水分を多く含んだ空気の中、1分以上の道のりを歩くことはできそうにない荷物と…

すみれ
5年前
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恋愛は人を弱くするのか、それとも横浜にあっさり馴染むのか

横浜という街は残酷だ キラキラと輝いた夜景を背景にして堂々とデートを楽しむ街を残酷だと思…

すみれ
5年前
8

スミノフを外で飲む季節にはいつも

寒さが緩むこの時期から 私はスミノフの瓶を手にとって この甘ったるい液体を楽しむ ぬるくな…

すみれ
5年前
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あの風に名前をやりたい

私は風が光る瞬間を見たことがある。 海辺を歩きながら振り返った時に、カモメがはたはたと空…

すみれ
6年前
10

不自然な友人関係とフローズンマルガリータ

私は男友達がほとんどいない。 好意を抱かない異性とわざわざ会おうと思うことがない。 好き好…

すみれ
6年前
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BAR すがはら:マイアミ

結構忘れられない男の話をする。 あなたをイメージしたカクテルです、と記憶が正しければバー…

すみれ
6年前
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人間関係:half and half

いいことも悪いことも、二人で分け合える。 いいことも悪いことも、どちらも同じく起こる。 美味しいだけじゃなくて、苦い時もある。 そんなことを学びながら二人で数え切れないくらい飲んだ、1パイントのhalf-and-half。 キラキラした東京に目覚める更に前に遡る。 6年間女子校で育った私は、その間も幾つか純潔な恋をしていたと思うが、 その何倍も自分を成長させてくれた、濃くて純粋で本気でバカみたいに全身でぶつかっていた恋のことを思い出す。 大学生になり、世の中の慣例のごとく