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ネズミ講編 その1の2(喫茶店で逢引き、みたいな)
件のアポイントメント当日、品川の隣に位置する大崎は快晴だった。
今でこそメガクラスのビル群が立ち並ぶゲートだかなんだかという令和エグゼクティブ好みのラベリングがされているが、当時は「本当に何もない」という陳腐な表現がフィットしている地域だった大崎。
23区内かつ品川というビッグネームシティの隣に位置しながら埼玉郊外のベッドタウンのような静けさが「いかにも私が東京様だが?」という顔をして毎日もった
ネズミ講編 その1の3(ラッキーパンツ)
喫茶店には休日の昼らしくボサノヴァが流れ(たぶんジョビンだったと思う)、首都独特の湿度をうまく処理できていないためか残暑というには暑く熱く感じる東京の9月のアスファルトから立ち登る蜃気楼を見ながら涼しい店内でゆっくりするのにはこれ以上ない雰囲気だったのだろう。
普通の精神状態の者にとっては。
向かいの席にゆっくりと座った久保女史はふぅと一息をつき、穏やかな笑みで切り出した。
「突然ごめんねぇ〜