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「忠実な信徒」とは誰か?
1969(昭和44)年 8月 4日『週刊読書人』
(作品社編集部編『ERIC HOFFER BOOKエリック・ホッファー・ブック ─ 情熱的な精神の軌跡』作品社、2003年に再録)
エリック・ホッファー著『大衆運動』
作田啓一
原題は「忠実な信者」(The True Believer, 1951)。拾い読みをした記憶があり、八年前『大衆』というタイトルの同じ訳者の手による邦訳で通読した。今度
N・O・ブラウン『エロスとタナトス』
1970(昭和45)年10月『展望』筑摩書房
(書評)N・O・ブラウン著・秋山さと子訳『エロスとタナトス』
作田啓一
この本の魅力は、なによりもまず、フロイトの精神分析理論の大胆な解釈にある。ブラウンという人は、アメリカの大学で古典学を講義しているそうだが、近代の人文諸学や文学についても博い知識をもっていて、これらの知識が、フロイト理論のもつ含蓄の深さを立証する形となっている。たとえば、モー