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島田つき
2019年12月19日 00:21
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。 佐藤の人生で、これほどの修羅場は初めての経験だった。 侵入者は、現在、リビングのソファに寝かされている。それを熱心に介抱する姉の姿を見て、複雑な心境になった。 姉が部屋を出たことは驚きだ。自分の危機に際して止めに入ってくれたのはとても嬉しい。しかし、あの太郎への入れ込みよう
2019年4月29日 17:52
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。開かずの扉のその向こう。佐藤の姉は息を殺して事の成り行きを見ていた。これだけ派手な騒ぎが起きれば、いくら引き篭もっていても気になるものだ。 「鈴木」と妹が呼ぶ男が、コートの男にどんどん追い詰められていく。背後に階段が差し迫った時、何を思ったのか手すりの上によじ登った。そんな彼の前に
2018年6月15日 01:14
○プロローグ 未知との遭遇〇第一章 東京エリア51〇第二章 バツ一狼の噂 〇第三章 本当にあった都市伝説〇第四章 マイノリティーの悲劇〇第五章 路地裏ダークサイド〇第六章 悲劇の南極物語〇第七章 愛の名は執着〇第八章 リンゴの独り言〇第九章 働いたら負けかなと思っている〇第十章 浦島次郎〇第十一章 狼さんに気をつけて〇第十二章 出た〇エピローグ
2018年1月24日 19:23
『名探偵はいない』○名探偵はいない1○名探偵はいない2○名探偵はいない3○名探偵はいない4○名探偵はいない5『山陰道四谷怪談』(上記の続編。先に『名探偵はいない』を読むことをおすすめします)○プロローグ○第一章○第二章○第三章○第四章○第五章○第六章○第七章○エピローグ『男の純情(ある意味病的)』(上記二つの続編。先に『名探偵はいない
2019年3月31日 18:18
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。 佐藤はアルバイトから帰ってきた。玄関に手をかけるが、扉が開かない。バッグから、合鍵を取り出して鍵穴を回す。 居間の扉を開ける。普段付いている電気が消えていることが、さらに不安感を煽った。明かりを付けると、座卓の上のものが目に入る。ラップのかけられたチャーハンが二つ、並べて置いて
2019年2月20日 15:36
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。 目の前の扉を、不信感たっぷりに見つめる。 ――エリア五×一号室。 こんな落書きをして、管理人からクレームが来ないのかと、疑問を抱く。 前髪を指で透かし、額が見えないように改めて整える。格好は緑の寝巻きだが、隣なんだから服装に気を使う必要もない。 吉村は、極めて平然を装いなが
2019年1月27日 18:43
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。「鈴木には悪いけどさ、あんたの兄貴って本当に最悪よ!」 ベッドの上でくつろぎながら、佐藤は言う。ここ最近は毎日吉村の見舞いに来ている。そのついでに鈴木の部屋にあがるのが日課となっていた。 鈴木は椅子に胡坐をかき、机のノートパソコンで何事かしている。 佐藤は、手に抱えたポテ
2018年12月27日 15:05
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。 金属質の階段を上りながら、佐藤は学校での会話を思い出していた。 「吉村、あれ以来全然学校に出てきてへんね」 「そういえば、そうだね」 「このまま欠席が続くと留年って先生が言うてたよ」 「…………」 佐藤は扉の前で立ち止まる。無理やり明るさを演出しながら、中に入った。
2018年9月24日 14:44
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。 電車を降りると、足早にホームを出た。歩道を移動する時も周囲への警戒を怠らない。お尋ね者にでもなった気分だ。 桜木の下までたどり着き、ようやく安心する。 「律子おはよー」 「あ、おはよう」 背中を叩かれて跳ね上がった佐藤を見て、驚いている友人。佐藤は平生を装いながら何とか
2018年9月5日 21:05
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。 怪獣だらけのカオス世界を、これほど愛おしく思ったことはない。佐藤は、鈴木の部屋に入るなり安堵で座り込んでしまった。鈴木は、奇怪なマントを外して棚の上に放り投げる。明るみで見ると黒ずくめの服は上下同色のジャージだった。いつもの緑色の作業ズボンではないところが新鮮だ。 若干落ち着き
2018年8月15日 17:16
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。 ブルゾンとミニスカートを着込み、ハンドバッグを片手にA町を徘徊する女がいる。靴は足に負担をかけないようにスニーカーだ。佐藤は、バツ一狼の出現を狙ってあえて人の見当たらない道を歩いていた。 「なかなか出てこないわね、狼のやつ」 佐藤は壁に寄りかかり、少し休憩する。晩から夜更けま
2018年8月3日 00:05
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。 小説版もくじはこちら。 前のページへ。 佐藤は動揺していた。先ほどの吉村からの電話を思い出す。無邪気な彼からは想像のできない、震え上がった声。電波を通してこちらにまで恐怖が伝染しそうな怯えようだった。 「佐藤さん、佐藤さあん……助けてください、僕もうどうしたら……うわあああああ」 「何? どうしたの、吉村!」 「狼
2018年7月12日 15:25
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。小説版もくじはこちら。 前のページへ。 テレビではニュースが流れている。意識してみているわけではなく、単に付けていたらたまたまニュース番組だっただけだ。……とでも言いたげに画面を無視し、鈴木は台所に夕食を運んでいた。 近所のスーパーで売っている七十円のカップメンだ。ここの店はインスタント食品が安いので、週に一度大量に買い
2018年7月1日 07:09
漫画「エリア51戦線」の小説版です。漫画版のマガジンはこちら。小説版もくじはこちら。 前のページへ。 寂しがり屋のカラスがねぐらに急ぐ、そんな時間帯。買い物を済ませた佐藤は、家路を歩いていた。といっても、佐藤が手に持っているのはバッグだけである。荷物は全て鈴木に持たせていた。膨大な紙袋を両手に提げ、とぼとぼと後ろを付いてきている。「これは良好な友人関係と呼べるのかな……」 そんな