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短編小説

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短編小説(7,000字以上)のまとめ。 ほんの少しのんびりしたい時におすすめです。
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記事一覧

世界で一番綺麗な嘘

世界で一番綺麗な嘘

 失恋をした。
 遠山タイチ、容姿も成績も至って平均的で凡庸だ。事は四月十日の昼下がり。校舎同士を繋ぐ渡り廊下から、春らしい花風がほんの少し髪を揺らす。
 廊下から死角になっている階段の踊り場に僕と僕の好きな人の二人きり。その一角は渡り廊下と比べて日陰になっていて、ほんの少しひんやりとしている。

「す、好きです……僕と付き合ってくれませんか?」
「ごめんね、遠山くん。私好きな人がいるの」

 色

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「また、世界が交わるときに」【短編】

「また、世界が交わるときに」【短編】

 タイムスリップを話す時に、よく持ち出されるのが、「パラレルワールド」だ。この世の全てが直線上にある一つの過去、現在、未来があるという訳ではなく、平行世界上にいくつもの過去、現在、未来があるというもの。
 例えば今、俺が目の前にあるハーゲンダッツの抹茶味を食べるのか、それともビスケットサンドアイスを食べるかの選択で、世界線が二分する、という訳だ。そしてその世界はどんどん枝分かれし、未来にかけて細分

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「ハロウィン乙女戦争」【短編】-湿度文学。さんとコラボ-

「ハロウィン乙女戦争」【短編】-湿度文学。さんとコラボ-

《媚薬の悪魔》 

 ぱんぱんっ。 
 サンパイサホウ、なんてやり方なんてよく分からないから適当に両手を2回打ち合わせる。「面のいい女がたーくさん釣れますよーにぃ」
 なんつって。べぇー、と拝殿へ向けて舌を出した。濃紺色の小さな玉の付いた舌ピアスを、ここで祀られているであろう、知ったこっちゃねえカミサマへ向ける。
 手を打ち合せたそれだけじゃなかったような気がして、目の前の古びた木箱にポケットから

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「涙うつし」【短編】

「涙うつし」【短編】

「ねえ『涙うつし』って知ってる?」
「ナミダウツシ?」

 大学の食堂で町田薫が思い出したように私に話しかけてきた。彼女は大きな口でカレーライスを食べながら頷いて、まだリスのように膨らんだ頬のまま「ひああい?」と首を傾げた。

「飲み込んでからにしなよ、私はもう今日は授業ないし、薫は次三限ないんだからゆっくり話できるじゃん」

 呆れた私はスマホSNSアプリを起動させ、その海に身を泳がせた。ニュー

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「天使の腕」【短編】

「天使の腕」【短編】

 人を殺した。
 いや、正確には「殺してやった」のだ。目の前に転がってる女の死体は、つい先程まで俺に向かって笑顔を見せていた生きた肉の塊だった。自分で殺したくせに、俺の腰はすっかり抜けてしまったようだ。呼吸は浅く、心臓は早い脈を打っている。その音は耳のすぐ近くで鳴っているかのようで、彼女を殺した俺の両手は手汗でびっしょりと濡れて、小刻みにぶるぶる震えている。手相の溝で汗がキラキラ光るのが無駄に綺麗

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「君があまりに消えそうだから」【短編】

「君があまりに消えそうだから」【短編】

※本作品はエブリスタ、超妄想コンテスト「雨音」に応募した作品です。

 彼女の長い髪はいつも、決まって緑のいい匂いがした。夏になりかけているのだろう。湿気を帯びた梅雨入り前のこの季節、少し汗ばんだ彼女の首に長い髪がひっついているのが妙に色っぽかった。カラン、とアイスコーヒーの氷が鳴って、水滴がコップを伝う。

「ねえ、散歩に行こうよ」
「外は雨だよ。それでもいいの?」
「いつも言ってるじゃん。雨だ

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