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【徹底解説】電気が傷を早く治す?今注目されている「ガルバノタキシス」とは。

「ガルバノタキシス」というかっこいい名前を聞いたことはありますか?
日本語では走電性(電気走性)、英語ではgalvanotaxisといい、galvano(直流の)+taxis(走性)という意味です。

どうやら電気に関わることらしいということしかわからないですね笑

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実はこの「ガルバノタキシス」は人間の身体の特徴の一つであり、今後の医療で応用されるかもしれない面白い領域です!

今回は、この「ガルバノタキシス」について解説していきます!

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「ガルバノタキシス」は電気の走性?


ガルバノタキシスは「galvano(直流の)+taxis(走性)」という意味であると言いました。

「走性」とは、方向性のある外部刺激に対して生物(または細胞)が反応する行動とされています。
つまり、ガルバノタキシスは電流の刺激によって起こる生物の反応ということです。実際の反応としては、形態が変化したり、移動運動をしたりといった事例があります。

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ちなみに「タキシス」を使った言葉として「エアロタキシス(酸素の走性)」や「サーモタキシス(温度の走性)」などがあります。

ガルバノタキシスは100年以上前に電場中に置かれたアメーバ細胞が陰極側に向かって運動していくことを発見したことから始まり、歴史はとても古い研究です。

にもかかわらず、余り応用されてこなかった分野であり、今後注目が集まるかもしれない分野です。


人間の傷口には電気が流れる


このガルバノタキシスは、決して微生物だけの話ではありません。
人間や他の動物も細胞という小さな生物の集まりであるため、このガルバノタキシスは見られます。

そのわかりやすい例が「傷口」です。
ウイルスや異物が体内へ入らないようにする第一の砦である皮膚は、常に私たちを守ってくれています。皮膚が破けると体内にばい菌が入ってきてしまうため、修復しようとします。

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実は、この治癒の過程で微弱な電場(電気の流れ)が生まれることが分かっています。これは傷を塞ぎ、新しい皮膚を作るというイレギュラーな対応のために、傷口周辺に電気的な流れを作り出して、+またはーの方向へ移動する性質を持つ細胞を働かせているのです。

ガルバノタキシスは他にも癌細胞の転移などにも関与しているとされています。


傷を早く治す「電子絆創膏」


ガルバノタキシスの性質を利用した治療法も開発されています。
それが「電子絆創膏」です。電子絆創膏は、傷の上に置かれた電極を介して微弱な電場を発生させることで、ばい菌の除去や皮膚組織の再生の働きを促進させることができるものです。

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ラットで実験を行ったところ、通常は治癒に12日かかる傷が、3日で治癒したと報告されています。


また、最近の研究では、傷周辺の生きた細胞間の結び付きを断ち、電流によってそれらを傷口に移し、反対に結び付きを再構築したというものもあります。


細胞のレベルで自分の身体を器用に改造できる日は近いかもしれませんね!

これを機に「ガルバノタキシス」「走電性」という言葉を覚えてもらえたら嬉しいです!

*免疫に関してわかりやすい本を紹介しておきます👇


おわりに

最後まで見ていただきありがとうございました!

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