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テレビ広告の基礎知識〜市場と視聴率〜

こんにちは。タイミーでマーケティングの仕事をしている中川と申します。

この記事について

今日から、初級編として、初めて学ぶ方を対象に基本的なところを記載したいと思います。

ちなみに、オフラインメディアにはTVの他にも、新聞・雑誌・ラジオ・交通(屋外)などの広告も含まれます。
本稿では主にテレビ広告のプランニング方法について触れます。


テレビメディア業界について

「メディア業界の市場規模はいくらでしょうか?」

と聞かれてパッと思い浮かぶ方はここは読まなくても大丈夫です。笑

毎年電通さんが出されている「日本の広告費」をご覧になったことはありますでしょうか?

「日本の広告費」は、日本国内で1年間(1〜12月)に使われた広告費(広告媒体料と広告制作費)の統計です。1947年に推定を開始し毎年発表しているもので、マス四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)をはじめ、衛星メディア関連、インターネット、プロモーションメディアについて、媒体社や広告制作会社のご協力を得ながら推定を行っています。
これまでに、産業構造の変化などを踏まえ推定範囲等を2回改定しました。

ここからいくつかメディア業界の現状を読み取ってみたいと思います。

* 集計方法の変更があるようなので一部読み取りが正確じゃないかもしれませんが大枠をつかんでいただければと思います。
* データソース
http://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/2019/media.html
http://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/2018/media.html
http://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/2015/media.html

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・直近の総広告費は6.9兆円
・そのうち、TVメディアは約2兆円を占める
・媒体別では、インターネットの割合が伸びており、2019年ついにテレビメディアを超える

インターネットの伸びも注目すべきところと思いますが、2019年時点で依然多くの広告費を占めるTVのプランニングの考え方や効果検証の仕方について、シェアするところを主眼に置きたいと思います。

すべてのはじまり:視聴率

ニュース等で「あのドラマの最終回、視聴率●%超え」とを目にする機会があるかと思いますが、TVのメディアプランニングを考える上でも、「視聴率」が欠かせません。

なぜか?

結論を先取りしてお伝えすると「視聴率 = 通貨」だからです。


もう少し具体的に書くと、
「世帯視聴率1% = ●●●円」
という単位で取引が行われています。
(一部エリアでは変わってきています)
(SPOTと呼ばれるテレビCMの種類の場合。対になる考え方として、タイム(番組提供)というものがあります。)

なので、テレビCMを出稿する側(事業会社のマーケター)としては
「予算の中で、何%分の出稿ができるんだっけ?」
「それは十分な量なんだっけ?」
などを判断していく必要があります。

TV局としても視聴率1%が直接の収益源になるので、番組の視聴率を重視します。


視聴率とは?

先ほど 「世帯」視聴率 という表現をしましたが、
視聴率にもいくつかの種類があります。

大きくは
①世帯視聴率
②個人視聴率

を覚えていただきたいです。
一般に「視聴率」とだけ記載される場合は①を指すケースが多いように感じます。

②の個人視聴率に関してはプランニングを行う上で重要な概念になってきますので、プランニングのところで触れます。


どうやって測っている?

ところで①でも②でも、いわゆる視聴率はどう測られているかご存知でしょうか?

視聴率に近しい計測を行っている事業者様は日本国内にいくつか存在していますが、
通貨単位としての視聴率はビデオリサーチ社によって計測されています。

詳細な計測方法等についてはビデオリサーチ社のWebページが正確な情報ですので、ぜひご確認ください。
また、2020年の3月から視聴率の計測方法にも変更が入っています(こちら

大きくは下記の手法により計測されています。
・PM(ピープルメーター)システム調査(機械での取得)
・日記式調査


TVエリアという概念

上記のビデオリサーチさんのページをみていただくと、エリアの切り方が独特なのにお気付きの方もいたかもしれません。
いわゆるTVの電波エリアは47都道府県ごとではなく、独自のくくりがあります。
筆者は静岡県出身ですが、静岡は静岡で日本テレビではなく静岡第一テレビ、といった系列の局があります。(子どもの頃、ワンピースのアニメ放送が関東で放映されているのより1週間遅くて、がっかりしていた思い出があります。笑)

このTVエリアの概念は視聴率と同じく重要です。
なぜなら、TVCMはTVエリアごとの買い付け、となるためです。
北海道には出稿するけど、静岡には出稿しない、であったり、関東エリア(一都六県)には出稿するけど、関西エリア(二府四県)には出稿しないといったことをプランニングの際に検討する必要がありますので、どの県がどのTVエリアに該当するのか、は知っておく必要があります。

また、その複数の都道府県を含む場合(関東エリアだったら、東京都をはじめとする一都六県)、その中で都道府県を選ぶことはできません。
もしあなたの会社のサービスが東京でしか展開していない場合、他の五県(神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、群馬県、栃木県)にもテレビCMが流れてしまうことになりますので、クリエイティブ含め注意が必要です。

県とTVエリアの対応に関しては下記のスプレッドシートにまとめましたので参考にしてください。

スプレッドシート


人口構成比の感覚をつかもう

ところで、TVエリアに関連してTV出稿するにあたり知っておいていただきたいのが、人口構成比についてです。
日本は(これからもっと進むと言われていますが)大都市に人口が集中しています。
これはアメリカと比較するとわかりやすいかもしれません。例えばアメリカはニューヨーク・ロサンゼルス・シカゴの3つで人口に占める割合は14%ほどですが、
これに対し日本では関東エリア・関西エリア(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)・中京エリア(愛知県、三重県、岐阜県)の3エリアで約60%の人口に達します。

これはプランニング上も重要な考え方で、限られた予算内でTVを使って情報を届ける際に、どのエリアをカバーするのか?を人口の観点からも考慮するべき、ということです。
ちなみに日本の上位3エリアをさらに分解すると、人口構成比に占める割合はだいたい下記のようになります。

・関東エリア:34%
・関西エリア:17%
・中京エリア:8%

関東エリアに日本の人口の3人に1人は住んでいる。加えて、その半分くらいが関西エリア、さらにその半分くらいが中京エリア・・・と、いうことになります。

長くなりましたが、テレビメディアの市場規模に始まり、視聴率、TVエリア、人口と重要な概念に触れました。

次は視聴率をもう少し掘って解説し、徐々にTVメディアプランニングの話に入っていきたいと思います。

💡TVCM関連のご相談は下記まで。💡

note経由でアドバイスの機会をいただくことも増えてきました。TVCMを初めて検討されている経営者・事業責任者・マーケターの方など、TwitterのDMよりご連絡頂戴できれば幸いです。

「初めてテレビCMをやる前に知っておきたいプランニングノウハウ」
・はじめに
【初級編】
・テレビ広告の基礎知識〜市場と視聴率〜
・TVメディアプランニング:視聴率とプランニング(1)
・TVメディアプランニング:視聴率とプランニング(2)
【中級編】
・TVメディアプランニング:エリア戦略
・TVメディアプランニング:投下量規定の方法論
・テレビCMの効果をどう考えるか
・さいごに

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