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視聴率とプランニング(1)

タイミーでマーケティングを担当している中川です。

前回のおさらい

前回、視聴率について概要をお伝えしました。今日も引き続き初級編です。

なぜ視聴率が重要か?

その答えは、「テレビスポットは世帯視聴率を購入単位として売買取引が行われているから」でした。
世帯視聴率1% = 1GRP(Gross Rating Point) = ●●万円

「●●万円」を世帯コスト、呼びます。
またGRPという単位もよく目にすることになると思いますが、
1,000 GRP は「世帯視聴率1,000%分」という意味です。


唐突ですが、ここで視聴率に関するクイズです。


ある番組について、5つの世帯(お家)があり、男女12人が住んでいるとします。

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世帯A:男性1・女性1
世帯B:男性2・女性2・男性3
世帯C:女性3・女性4
世帯D:男性4・女性5
世帯E:男性5・男性6・男性7
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このうち、bold(太文字) になっている人はある番組を「見た」と回答してくれました。

では、問題です。

Q.1:この番組の世帯視聴率はいくつでしょうか?
Q.2:この番組の「個人全体」の個人視聴率はいくつでしょうか?
Q.3:この番組の「女性」の個人視聴率はいくつでしょうか?



ちょっと考えてみてください。




[解答]
Q.1: 80%(5つの世帯のうち、4つの世帯で視聴されている。 4/5 = 80%)
Q.2: 50%(12人のうち、6人が視聴。 6/12 = 50%)
Q.3: 40%(女性5人のうち、2人が視聴 2/5 = 40%)



解答を見ていただくと、一つの番組でも、視聴率の種類によって、数字が異なってくるのが見て取れるかと思います。
このQ.1が世帯視聴率を表していて、テレビCMの値付けはこの世帯視聴率で決まってきます。

Q.2, Q.3は個人視聴率で、世帯(お家)単位での視聴率と実態には乖離の可能性があることが伺えます。

通常、マーケティング活動においては自社のサービス・製品のターゲットを決めると思います。
化粧品なら・・・
ビールなら・・・
ゲームアプリなら・・・

TVのメディアプランニングをする際も同様で、ターゲットの視聴動向を分析し、ターゲットに自社サービスや製品の情報が適切に届くようにメディアプランを組んでいく必要があります。


局別・曜日別・時間帯別の個人視聴率

上記の例ではある番組一つについて考えてみましたが、
今度はターゲット視聴動向から見てみましょう。

ターゲット区分について、
「M1」や「F1」といったワードを聞いたことはありますでしょうか?
ビデオリサーチ社の視聴率の区分であり、下記のような区分になっています。

* C層:4-12歳の男女(Cは英語で子供を表すChildの意味)
* T層:13-19歳の男女(TはTeenager〈ティーンエイジャー〉の意味)
* F1層:20-34歳の女性(Fは英語で女性を表すFemaleの意味)
* F2層:35-49歳の女性
* F3層:50歳以上の女性
* M1層:20-34歳の男性(Mは英語で男性を表すMaleの意味)
* M2層:35-49歳の男性
* M3層:50歳以上の男性

参考

自分もいつの間にかM2層に入ってきていて、時の流れの無情さを感じます。笑

個人視聴率、と言いつつも、例えば「35歳男性のみ」といった区切り方はできず、基本的には上記の区分で個人視聴率を見ていくことになります。
(厳密には、プランニングを行う上で、分析上は細かくすることは可能です。ただし、実際のバイイング(買い付け)の段階で、その通りに実現できるかというとハードルがあるようです)


個人視聴率のイメージ

ターゲット(例えばM1)の観点から、2つのTV局AとBについて、局別・曜日別・時間帯別の個人視聴率をまとめたものが下記のようなものです。
デイパート、と呼んだりします。

画像1

色の濃いところはターゲットであるM1がよく見ているところです。
(数字はダミーですので、実際のM1の視聴動向と異なると思います。)


これを見て・・・事業会社のマーケティング担当者としては、
なるべく濃いところで露出をしていきたいですよね。

その時に大事になるのが「ゾーニング」と呼ばれる考え方です。


ゾーニング

TVSPOTにおいては出稿する曜日時間帯の条件付けをすることができます(ゾーンを決めることができる)
代表的なゾーニングには下記の4つがあります。

画像2

基本的に「黄色で塗っているところにCMを流す」と捉えていただければと思います。
左の「全日型」から右に行くにつれ、放映の曜日・時間枠を指定する形かつ視聴率の高い枠になっていくので、世帯コスト(世帯視聴率1%分のコスト)は上がっていきます。
目安としては、全日型を100としたときに、順に125、135、145・・・といった程度でしょうか。


と、ここまで来た時に、少しプランニングの視点が入ってきます。
M1に対して露出をしていく時に、お金を投資するわけなので、なるべく効率の良い形を選びたいわけですが、
上記のうち、どのゾーンで出稿をするのがベターなのでしょうか?

先ほどのTV局AとTV局Bの個人視聴率をもう一度見てみてください。

緑の色の濃いところから考えると、
できればTV局Aはコの字TV局Bは逆Lで買い付けるのが良さそう
に見えます。

ここでポイントとなるのは、商習慣上は「世帯」視聴率単位での値付け・購入、ですが、プランニング上は「個人」視聴率で比較をしていくという点です。
(本稿では関東エリアなどで取引指標が個人視聴率に変更になっている点は割愛します。実際に出稿する際に広告代理店さんと話してみてください。)

ターゲットにリーチさせるのに一体いくらかかっているのか?そのコストも踏まえた上で、どのゾーニングで買い付けるのが良いのか?

この問いに答えるために、ここからターゲットコスト(=M1にリーチさせるためのコスト)を計算していきますが、長くなったので次回に続きます。


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・TVメディアプランニング:投下量規定の方法論
・テレビCMの効果をどう考えるか
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