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さいごに|テレビCMのプランニングノウハウについて書こうと思ったきっかけと、ありたい姿について

ここまで「初めてテレビCMをやる前に知っておきたいプランニングノウハウ」とちょっといかにもなタイトルで笑、テレビCMに関するあれこれを記載させてもらいました。

さいごに、書くに至ったモチベーションについて、改めてエモい感じでまとめてこのシリーズを締めたいと思います。笑

スタートアップには事前学習の手段がない

実はテレビCMのプランニングに関する記事は数年前から発信したいなと思っていました。

スタートアップ企業において、プロダクトが一定の成長をしてくると、さらなるグロースのために新規ユーザー/クライアントの獲得により注力をしていくと思います。toCのプロダクトもあると思いますし、toBのプロダクトもあると思います。

特にアプリ等ではオンライン(デジタル)広告をメインに新規ユーザーを獲得してくることが定石だと思いますが、このフェーズになってくると一つの打ち手として、テレビCMを中心とするオフライン広告の手法が選択肢にあがってきます。
(余談ですが、代理店時代にどの程度成長をしてくるとTVCMを打ち出すのか、また、成功確率が高まる規模とはどの程度か、を分析したことがあるのですが、ある程度の傾向があり興味深いです。この辺りは広告代理店だからこそ持っている知見かなと思います)


TVのメリットはその圧倒的なリーチ(届く人数の多さ。いまだに。)と間接的にはテレビCMを出稿することによる社会的信用度の獲得、などがあげられます。(それ以外にも視聴態度や広告の画面占有率等もあるかと思います。詳しくは、「テレビCMの効果をどう考えるか?」もご覧ください)

反面、コスト面では1回のキャンペーンで投資する額がデジタル広告と比して巨額になってくる点と、一度始まってしまうとデジタル広告のように細かくチューニングしていくことが現実的には難しい(できることはありますが)点がデメリットとしてあります。

事業会社でのマーケティングに携わる身として、上記のようなフェーズの変化や実施も体験しましたし、広告代理店においては、様々な業種の広告主の新規出稿に関わらせてもらいました。

その体験の中で感じたこととして、「スタートアップのメンバーの多くはオフライン広告出稿の経験がないまま、施策を進める必要がある」という点です。
メジャーな広告主になると、毎年毎年広告宣伝を実施しているため組織的にも経験が蓄積されており、デジタル広告はともかく、オフライン広告に関しては若手の広告代理店担当者以上にお詳しい、という現象が起きるほどです。
他方で、スタートアップにおいては、そうした状況を作るのが中々難しいのではと感じています。

その背景としては下記2点を挙げたいと思います。

①まず、会社やプロダクトが急成長しているため、それらのステージの変化に対して、スキルを同タイミングで(あるいは先行して)マッチさせていくことは現実的には難易度の高いことであるから。
これは構造上の問題で、スキル定着に一番効果的なのは「実際の経験」であるので、ステージの変化とスキル定着の時間軸があわないことによると思われます。

②もう一点は、いわゆる総合広告代理店(電通さん、博報堂さん、ADKさんなど)と接触する前にオフライン広告のことを学ぶ術が世に多くないのではないかという問題です。

これらの点に対してアプローチをしたい、と考えていたのがこのシリーズでした。
特に、②に対しての一つの手段を提供することで、間接的に①の解決にも一部貢献できるのではないかと思っております。

繰り返しですが、このシリーズでも大いに参考としているのが下記の『MEDIA PLANNING NAVIGATION』です。


人材獲得でギャップを埋める方法のハードル

ちなみに、上記のような状況を改善するために取りうる手の一つとして、外部からオフラインの広告宣伝に明るいメンバーを採用する、という選択肢があると思います。例えば総合広告代理店の社員を迎える、というのがわかりやすい例かと思います。
が、筆者の周りを見ていても、事業会社側にいくことを選択するケースはメジャーな選択肢ではないように見受けられ、それは待遇面や既存会社でのキャリアがあるため、
また、スタートアップはフェーズに応じて注力する仕事の領域が変わっていくため、広告代理店の方からしても相応の変化が求められる環境だと思いますので、そうした点もキャリアチェンジのハードルになっていると思います。

個人的にはここにギャップが発生していると感じています。
と言うのも、広告代理店は年がら年中メディアについてプランニング・バイイングを行っています。(飯の種なので当然)
他方で、我々スタートアップのマーケティング担当は、本来的には彼らに対して適切なフィードバックをする必要がありますが、事実上知識なし・経験なしで相対しなくてはなりません。

ありたい姿

長々と書いてしまいましたが、広告代理店も事業会社も両方経験している身として、事前学習のコンテンツを発信できれば、という想いで書いていた記事でした。
これからテレビCMでのグロースを考えているスタートアップの経営層・マーケターの方が少しでも下記のような状態に近づく、その一助にでもなれば嬉しい限りです。

[理想状態]
・メディアのプランニングおよびバイイング(一部)の知識を得ることで、初めて相対する総合広告代理店の担当者とも対等に議論することを可能にし、結果として事業の目的に沿ったメディアのプランニングができるようになる
・エージェンシーマネジメント力の向上
・効果の検証についても広告代理店の言うがままにならずに、自らの軸を持てるようにする
・自社での効果検証を行う
・知識を前提に精度の高いオリエンができる
・広告代理店とのコミュニケーションコストの削減
・(結果として)早期の強固なパートナーシップの構築

本当はカバーできていない領域(オリエン資料の作り方やテレビ以外のメディアのプランニング手法、予算の設定方法やアロケーションの考え方 etc.)についても書きたいことは多いのですが、、
この辺りはどこかでお会いしたらこそっと聞いてください。笑
Twitterにもいます!(@sho1nakagawa

それでは、ありがとうございました!!!
(今後も記事書いていこうと思いますのでぜひご贔屓に🙇‍♂️)

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「初めてテレビCMをやる前に知っておきたいプランニングノウハウ」
・はじめに
【初級編】
・テレビ広告の基礎知識〜市場と視聴率〜
・TVメディアプランニング:視聴率とプランニング(1)
・TVメディアプランニング:視聴率とプランニング(2)
【中級編】
・TVメディアプランニング:エリア戦略
・TVメディアプランニング:投下量規定の方法論
・テレビCMの効果をどう考えるか
・さいごに

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