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読んで面白かったnote

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感想を書かせていただいたもの以外にも、面白かったnoteをまとめさせていただきます。
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#短編小説

『違法の冷蔵庫』

「君達にはこの新型冷蔵庫を大阪支社まで運んでもらう。運び方は自由。費用はこちらで負担する…

蟻塚

 高い、細い声が夜明けの寝室につうと引かれて、私たちの時間は終わる。窓のへりに穴をあけて…

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【恐怖短編】 謝罪会見

 テレビをつけると、昼のニュースバラエティが放送されている。   スタジオにいる司会者が…

ドント
3年前
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【ショートショート】必要な犠牲

「おめでとうございます。厳正なる抽選の結果、あなたは今回の実験クルーに選ばれました」 …

小原Q弥
3年前
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俺が嫉妬に脅かされている件について【短編小説(約13000字)】

 真実の愛とは、現在においてつねに理解されぬもののことである。             …

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【小説】 住所

 妻は、僕のストーカーだった。  僕は三十代のころ、ラジオパーソナリティの仕事をしていて…

坂 るいす
3年前
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『足跡売り』

※約7300字小説です。 1.足跡 夜、残業帰りに雪道を歩いていると妙な足跡を見つけた。  その足跡は一見〈一人の人間〉が歩いた形跡のように見える。左右交互に一定間隔で踏みつけられているのだから。  しかし本当に〈一人の人間〉だろうか。  その奇妙な足跡に、僕は気温の低さとは別の寒気を感じた。  その足跡はバラバラであった。  バラバラ、というのは靴の種類が一歩一歩異なるのだ。  種類だけではない。サイズも違う。  大柄の男性サイズの右足が付いているかと思えば、次に踏み出

〖短編小説〗1月14日は「どんと焼き」

この短編は812文字、約2分で読めます。あなたの2分を頂ければ幸いです。 *** 「えー、明…

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あけられなかった【短編小説】

「最近、思わず泣いてしまったことってある? 私は、――」  この街は、散歩に向かない。 …

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【短編】生活問題

 仕事を変えることになった。新卒採用されたが一年を待たなかった。今度は遠方だ。実家から引…

【短編】海辺の散歩

 ホテルに泊まった。由比ガ浜の。  朝、起きて、テラスに出た。  海が見えた。  着替えて…

「わからないもの」の時間。【渾身の短編・3710文字】

僕の中学校には、一風変わった授業がある。 「わからないもの」の時間だ。 道徳の時間を使…

果報者
3年前
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奇妙な死に方が流行っている。 隣の爺さんはやせ細り、白くなり、脚が1本に統一され、頭から…

レジに立つ僕

梨を買うことにしたから、お弁当は安い方にした。手の中のざらっとしている梨が妙に重く感じる。前に並ぶおばさんは、梨の何倍もの重さのカゴをレジ台に乗せて、大きくためいきをついた。ぴ、ぴ、ぴ。店員さんは息つく間もなく商品を手にとって、レジに通していく。あろうことか、手を止めないまま顔を上げて、にこやかにおばさんに話しかけ始めた。 「今年は、梅雨が長いですねぇ」 「ほんとうね、いつまで降るんだか」 おばさんは、大きく頷いて笑っている。店員さんも笑うと、髪と名札が揺れた。名札には