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#短編
【小説】いずれも の 焼き芋
いずれも
焼き芋
真昼の白い光が、理科室の窓辺に差しこむ。まだ暖房が入る寒さではないため、薄ら寒い教室を温める眩しい熱に目を細め、今高涼夜は眠気と戦っていた。
黒板を滑るチョークの音。昼食済みの午後の眠気。少し掠れた、低い気怠げな先生の声。なんと睡眠に適した環境だろう。
少し走って目を覚ましたい。無意識のうちに足をばたつかせ、涼夜の意識は次第に一〇〇メートルのコースを走る。
もっ
ラピスラズリと二重星【過去作】
ラピスラズリと二重星
彼がまばたきをした時、すぐに違和感を覚えた。
左の瞳は宇宙だった。濃紺に散らばる星屑が、渦を巻いて輝いている。将太はそう感じた。思わず身を乗り出して、照れてはにかむ転校生を見つめた。
クロシマセイですと澄んだ声で、教壇の前の彼は言った。彼の後ろでは先生が、きっちりとした文字で『黒島 星』と白いチョークで書いた。大人びた顔と、透けるような白い肌に、色素の薄い髪が、儚さを