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2020年上半期ベスト映画5

4、5月は映画館に行くこともできず、6月は旧作の上映で上半期というか1~3月の記録になってしまうのがとてももどかしいがこれもまた2020年の出来事として記憶しよう。公開延期になった作品が待つ下半期が楽しみだ。

5位 音楽

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大橋裕之原作の同名マンガを、岩井澤健治監督が7年の歳月を費やし4万枚の手描き原画で完成させたアニメーション映画。のっぺり、だらりとコマ送りされるオフビートな世界にもたらされるワンダーな想像力の渦。誰かにとっての音楽の、その最初の最初が爆発的なイマジネーションと共に描かれている。ものすごく普遍的に聴こえるだけど、ものすごく歪にも映る。それが"音楽"っていうものなんだよな。6月に映画館が再開されてから観たのだけれど、音を鳴らし合うという描写だけで少し泣けた。

4位 パラサイト 半地下の家族

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"侵入していく"っていう光景から生まれる興奮度と嘘が暴かれそうになっていくギリギリのスリルという普遍的な作劇で、韓国の社会情勢を映し出すブラックコメディ...と僕は捉えた。面白かった!と単純に言い切りたいけど、そうはさせない生々しい手触りがある。貧富が可視化されながら、何段階もの昇降を駆使して描き出される後半の展開が凄まじい。これまでの蓄積が暴発していく終盤には、ド派手な立ち回りとは対照的な虚無感が強く残り、心理面をじわじわ蝕まれた。

3位 架空OL日記

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バカリズム脚本によるオフビートな日常コメディ。演技巧者たちによる、淡々とした会話の応酬を食らいまくる時間。連続ドラマを劇場映画に、となれば多少はスケールアップしたり、大きめのエピソードを盛り込んだりするものだろうけど、それを一切やらなかったのが功を奏しまくり。一応、山場となるお話はあるものの、全く飛躍はせずナチュラルに、どこまでも平熱につづく日々のお話。故に、終わった後、突然この世界から切り離されたような気分がしてひどく切ない。


2位 ラストレター

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岩井俊二の本質である、おかしみと悲しみの調和で見せる、不可逆な時間についての物語。人っていつだってこういう小さな願いを持ちながら生きていく生き物だからこそ、終盤で松たか子が見せたハシャギっぷりや、福山雅治が流す涙は何より美しく、かけがえのないものなのだ。転がっていく物語の中、2つの時代に存在する森七菜の存在が常に胸を打ち続ける。最後に世界を包み込むように、エンドロールで歌唱も担当。一貫して、この世界を優しく駆動させるように居る。


1位 mellow

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田中圭と、田中圭に恋する3人の女性の物語を軸にした群像劇。それぞれのパートは、涙が出るくらい面白いものだったり、涙が滲む程にグッとくるものだったりと三者三様だけど、どれもが「好き」という気持ちの先に生まれた場面なのだから、1つ1つが示唆に富む。花束を通じて想いが伝っていく様が鮮明に描かれていたのが良かった。人と人とが有機的に繋がれるアイテムであり、その想いを美しく可視化してしまうのだ。ラスト2カットの流れを何度も思い返し、沁む。

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