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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2023年6月の記事一覧

なぜ日本人はご先祖様に祈るのか ~読書記録302~

なぜ日本人はご先祖様に祈るのか ~読書記録302~

なぜ日本人はご先祖様に祈るのか ドイツ人禅僧が見たフシギな死生観 は、2015年、ドイツ人曹洞宗僧侶ネルケ無方によって書かれた。

日本人の死に対する考えは不思議だ。生と死を厳密に分けず、つながっている感覚を持ち、死者への親近感や依存度が高い。その一方で「死は穢れ」という概念があり、葬儀後の「清め塩」や数字の「4」を避ける習慣がある。また、戦時中の神風特攻隊は、武士道が謳う死の美学を身をもって貫き

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キリスト教と戦争~読書記録301~

キリスト教と戦争~読書記録301~

宗教学者で、桃山学院大学教授・石川明人氏の著書。

世界最大の宗教、キリスト教の信者は、なぜ「愛と平和」を祈りつつ「戦争」ができるのか?殺人や暴力は禁止されているのではなかったか?本書では、聖書の記述や、アウグスティヌス、ルターなど著名な神学者たちの言葉を紹介しながら、キリスト教徒がどのように武力行使を正当化するのかについて見ていく。平和を祈る宗教と戦争との奇妙な関係は、人間が普遍的に抱える痛切な

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一休さんの幸福論~読書記録300~

一休さんの幸福論~読書記録300~

1989年 松原泰道師の著書。

ものを失うことや、人におくれをとる不安。一休さんは語りかけます…。ものにこだわってはいけない。執着心を捨てなさい…。松原泰道師が心をこめておくる、幸せに生きるための知恵の数々。

私の世代だと、テレビアニメでの「とんちの一休さん」のイメージが強いかと思う。
足利幕府3代将軍・足利義満に、一休さんを頼る蜷川新右衛門さん。新右衛門さんは足利将軍に仕える人であった。

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若い世代のための人生論~読書記録299~

若い世代のための人生論~読書記録299~

1965年(昭和40年)に出版された、哲学者・磯部 忠正(いそべ ただまさ、1909年10月22日 - 1995年7月13日)による著書。

東京帝国大学卒業後、学習院女子大学名誉教授から、学習院院長になられた。
昭和56年から昭和62年が学習院院長在職期間だ。
ちなみに、今上天皇が学習院在学中の時に当たる。

日本、西洋、それぞれの古人の話を基に、人とは何か?生きるとは何か?をわかりやすく書かれ

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宗教のきほん なぜ「救い」を求めるのか~読書記録298~

宗教のきほん なぜ「救い」を求めるのか~読書記録298~

2023年 宗教学者・島薗進先生による著書。

日本の宗教研究の第一人者が、宗教という営みの“核心”を明らかにする!
アンデルセンや宮沢賢治の物語をはじめ、文学や芸術における「救い」というテーマは、昔も今も人の心を打つ。この「救い」の教えは、キリスト教、仏教、イスラームなど世界中の宗教において教義の中心となってきた(そのような宗教を「救済宗教」と言う)。なぜ、宗教では「救い」が重要とされ、普遍的な

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人生に信念はいらない~読書記録297~

人生に信念はいらない~読書記録297~

臨済宗妙心寺派の故・松原泰道師のお孫さんの細川晋輔僧侶が2018年に書かれた著書である。

著者の紹介
禅僧。龍雲寺住職。1979(昭和54)年、東京生まれ。佛教大学卒業後、京都にある臨済宗妙心寺の専門道場にて9年間の修行生活をおくる。祖父は名僧・松原泰道。NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」禅宗指導を務める。本書がデビュー作となる。
東京都世田谷区野沢3-38-1 臨済宗妙心寺派 大澤山龍雲寺の

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ほんとうは僕殺したんじゃねえもの~読書記録296~

ほんとうは僕殺したんじゃねえもの~読書記録296~

心理学者・浜田寿美男先生の著書

千葉県野田市で起きた野田事件を著者は細かく調べ、書かれている。

1979年9月11日、下校途中の小学1年生の女児が、竹林の古井戸の跡において全裸で両手両足を縛られ、窒息死しているのが発見された。遺体の発見状況などから、警察は「変質者」による犯行として捜査を開始。まもなく遺体発見現場の近所に住む知的障害を持つAを被疑者として内偵捜査するに至り、A宅を訪問して様子を

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水と水とが出会うところ~読書記録295~

水と水とが出会うところ~読書記録295~

村上春樹翻訳ライブラリーの1冊で、レイモンド・カーヴァーの詩集だ。

温かいユーモアと深い愛情、そして打ち消し難い死の予感…詩人カーヴァーの研ぎ澄まされた心象世界を映し出す、円熟期の詩集。

内容説明
人生の混乱から脱し、作家としての名声を得、詩作に還った平穏な日々。そこにはしかし、打ち消しがたい死の予感があった…。喪失感、温かなユーモア、深い愛情、崩落の予兆―短篇小説の核を成す、詩人カーヴァーの

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シンデレラの罠~読書記録294~

シンデレラの罠~読書記録294~

セバスチアン・ジャプリゾ 平岡敦訳
語り手である私は20歳。その私は、探偵であり、証人であり、被害者であり、しかも犯人である?! 空前のトリックで伝説的傑作の新訳。

わたし、ミは、火事で大火傷を負い、顔を焼かれ皮膚移植をし一命をとりとめたが、一緒にいたドは焼死。火事の真相を知るのはわたしだけだというのに記憶を失ってしまった。わたしは本当に皆の言うように大金持ちの伯母から遺産を相続するというミなの

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猫を棄てる~読書記録293~

猫を棄てる~読書記録293~

2020年発行。作家・村上春樹のエッセイだ。

副題にあるように、亡くなった父親についての想い出やエピソードなどに多くのページを費やしている。

各紙誌で絶賛! 村上作品の原風景がここにある 村上春樹が自らのルーツを綴ったノンフィクション。中国で戦争を経験した父親の記憶を引き継いだ作家が父子の歴史と向き合う。 父の記憶、父の体験、そこから受け継いでいくもの。村上文学のルーツ。 ある夏の午後、僕は父

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「絶対ダマされない人」ほどダマされる ~読書記録292~

「絶対ダマされない人」ほどダマされる ~読書記録292~

2015年 テレビでもお馴染みのルポライター多田文明氏のレポート。

発覚しているだけで年間400億円、1万人以上が優にダマされる「特殊詐欺」被害。電話によるキャッチセールスや押しつけの訪問販売も、単なる「オレオレ詐欺」からどんどん巧妙化が進み、「自分は絶対に引っかからない」とタカをくくっている人ほど落とし穴にハマってしまうリスクがある。急速に進化する最新の詐欺テクニックを、体当たり取材が定評の著

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