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珈琲の大霊師

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シャベルの1次創作、珈琲の大霊師のまとめマガジン。 なろうにも投稿してますが、こちらでもまとめています。
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2019年5月の記事一覧

珈琲の大霊師212

珈琲の大霊師212

 キビトと、太陽の大霊師と呼ばれる男、そして大精霊によって泥の王の調査が成された。

 そして、泥の王が穢れた魂の泥によってできていて、それが這いずった後には通常の植物は一切生える事がなくなる事を突き止める。

 そうしている間にも泥の王は緩慢にだが確実に集落を飲み込んでいった。普段は泥の波のように広がって移動している為、夜間の発見は不可能だった。両国は常に泥の王を監視するように偵察隊を常備させ、

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珈琲の大霊師211

珈琲の大霊師211

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第28章

       泥の王

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 その当時、大陸を二分するとまで言われた二つの王国があった。平和を保とうとする穏健派のささやかな抵抗は実らず、現在も必ず歴史書に記される大きな大戦があった。

 半世紀に渡って続けられたこの戦争は、互いに国が富み、互いに1つの暗黙のルールを守っていたからこそ長期化した。

 

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珈琲の大霊師210

珈琲の大霊師210

 翌日、キビトの元に戻ると、俯いていたキビトが途端に顔を輝かせて迎えてくれた。

「良かったぁ。ちゃんと来てくれたんだね。ありがとう」

 満面の笑みだった。ジョージは、道具を取り出しながら、頭を掻いた。

「当たり前だろ。時間が時間だったからな、暗くちゃ作業も進まないし、一晩置かせてもらった」

「そうだよね。うん、分かってたよ。分かってたんだけど、300年も待っててここまで来たのは君達が始めて

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珈琲の大霊師209

珈琲の大霊師209

 地図を元に北へと向かう一行。

 東には、相変わらず人間の樹が散在していた。

 古い道を進むと、地図上で池だった場所にたどり着いた。

 急に開けた平地、そこに美しくしゃらしゃらと光を反射する池があった。

 その畔には低木が連なっていたが、その端に一際目立つ巨木があった。

 目立つのはその大きさだけではない。いつか見た、緑色の子供が大勢その根本にいたからだ。

「ひっ!?あ、あたし、下がっ

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珈琲の大霊師208

珈琲の大霊師208

 翌日、モカナ達は早朝から地図を持って出発した。ジョージが担ぐ荷物には、簡易テントと食料が含まれていた。地図の縮尺を計算すると、さほど大きくない村に見えたが、古い地図だ。実情とかけ離れていてもおかしくない。夜になる度にいちいち戻っていては、探索が進まないのだ。

 老婆の家から10分程歩くと、鬱蒼とした森の中にかつて道だったものの名残が続いていた。

 森の中に入ると、日光が届かない為か道は比較的

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珈琲の大霊師207

珈琲の大霊師207

 1人、モカナを抱きかかえつつ残されたルビーはため息をついていた。

「あたいって、本当に戦うことしか能がない奴さ……」

 知識はシオリの足元にも及ばない。事戦いにおいては経験から頭が回るが、平時はジョージやリフレールにはまるで敵わない。

 ここに来てから、モカナのお守りしか役目が無かった。

「この村は不気味だけど、嫌な気配は無いさ……。だから、あたいの出番は無いかもさ」

 そう呟いて、モ

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珈琲の大霊師206

珈琲の大霊師206

 その頃、老婆の家に残ったルビーとモカナは、老婆に飽きもせず話しかけるドロシーを見ていた。

「ばば眠いのかのう?ドロシー、踊れるようになったぞい。んっ、ばっ、んっ、ばっ」

 何やら手足を縮めて、広げてを繰り返しながらくるくると回っている。

「ドロシーの奴、前からあんな事してたさ?」

「えっと……、水を出すのに慣れちゃって時々暇そうにしてるから、なんとなく……」

「モカナが教えたんさ?」

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珈琲の大霊師205

珈琲の大霊師205

「さて、ちょいと村の探索と行くか。シオリ、着いてくるか?」

「へ?あたし?モカナちゃんじゃないの?」

「ドロシーが、あの婆さんから離れたがらないからな。その分、この家に何か無いか探してもらうことにした。ルビーはモカナに着いてるだろうし。となると、暇そうなのはお前だけという事になる」

「えー……。興味はあるんですけどぉ……ジョージさんか……」

「何だよ?」

「いや、その。ルビーちゃんと比べ

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珈琲の大霊師204

「へぇ……。ドロシーは、水宮に来る前はここに居たって事か」

「みたいです」

「で?その続きはどうなったの?」

 シオリが興味津々といった様子で尋ねる。目が輝いていた。

 こういう時のシオリは、一つの単語も聞き逃さず絶対忘れることが無いことをジョージは知っていた。

「えっと、ここまでしか知らないです。ジョージさんに珈琲を淹れようと思ったら、目が覚めちゃって」

「ええ!?ちょっとジョージさ

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珈琲の大霊師203

珈琲の大霊師203

 最初の光景は、川底から見上げる水面。きらきらと、太陽が流れる水面に千々に歪められて、綺麗だった。

 ずっとそうやって眺めていた。ふと、水面の向こうが気になって、まるで手を差し出すように視界が浮かび上がっていった。

 浮かび上がった先はこの家の近くで、水車がごうごうと回っていた。

「おう、もう帰りかい」

「ああ。悪くない稼ぎだった。キビト様々だな」

「じゃあ今日は飲もうぜ。ヤギの乳酒ある

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珈琲の大霊師202

珈琲の大霊師202

「このお台所、とても綺麗に使われてますね。あ、ドロシー、お水お願いね」

「おお……そうじゃ、珈琲をばばに淹れてあげようか」

 なんだか久しぶりに別々の言葉を言うモカナとドロシーを見て、ルビーは胸をなでおろした。

 それでも心配でモカナから目を離せないルビーと違って、ジョージは嫌がるシオリを連れ込んで部屋の分析を始めていた。

「ひぃぃぃ!!やめてっ、やめて下さいっ!!あ、あたし怖いのとか苦手

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珈琲の大霊師201

珈琲の大霊師201

 村に人気はなく、家という家には苔が生えて、まるで何世紀も前に放逐された廃村のようだった。

「シオリ、ここは何て村だ?」

「こんな所に村なんてあったかな……テオルギ村?は街道沿いだし」

 辺りを見回す2人を置いて、モカナは更に歩を進める。川をさかのぼり、少し歩くと、昔道だったと思われる草の薄い場所と、そこに繋がる石の橋があった。

 その橋の近くに、周りの家に比べて少しだけ苔の生えていない家

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珈琲の大霊師200

珈琲の大霊師200

 ジョージとシオリがルビーの案内で戻ってきた時、なんとモカナは沢に横たわっていた。

「モカナ!?おい、どうした。具合悪いのか?」

 ジョージが抱き起こすと、モカナは大分冷えていた。が、震える事もなく目を開く。

「「ジョージさん……。ここ、を、上りたいんです」」

 肩に乗ったドロシーと一緒に口を揃えてそう言って、むくりと立ち上がり、何の戸惑いもなく歩き始めた。

「何がどうなってんだ?こりゃ

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珈琲の大霊師199

珈琲の大霊師199

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第27章

       樹人の森

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 いくつかの村を越え、山を越え、緩やかな坂道を馬車は行く。

 シオリは、アントニウス=カルランの著作を揺れる馬車の中で読んでいた。

 地方の伝承を集め、編集する。一見地味に見えるが、必ず未来で評価されるであろう本だ。

 その前で、モカナとドロシーは眠っていた。最近では

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