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「小さな恐竜」そして偉大なバットマン。ヤクルト・青木選手、お疲れさまでした。「ジュラシックパーク」神宮球場で有終の2安打。誇らしき日米通算2730安打

「小さな恐竜」と呼ぶべき偉大なバットマンだった。ヤクルトの青木宣親選手だ。野手で現役最長の42歳。ホームの神宮球場は小さな恐竜が躍動する「ジュラシックパーク」だった。引退試合で有終の2安打。日米通算2730安打は大打者が残した足跡だ。「小さな恐竜」青木選手、お疲れさまでした。

2日にホームの神宮球場で行われた広島戦。青木選手の引退試合だ。ヤクルトの選手たちは青木選手の背番号「23」をつけて試合に臨んだ。

身長175センチの青木選手。プロ野球選手として、決して大きな選手ではない。しかし巧みなバットコントロールでヒットを量産してきた。

青木選手が打席に立つと、場内から映画「ジュラシックパーク」のテーマ曲が流れる。再生された恐竜たちを描く作品。神宮球場も「小さな恐竜」が躍動する一大テーマパークとなる。

試合前に青木選手がレフトポール際からグラウンドに姿を現した時だ。早くからスタンドに陣取ったファンから温かい拍手が送られていた。そこには青木選手への感謝の思いが十分に込められていた。

1番センターで先発した青木選手。二回表の第2打席でレフト前へ流し打ってヒットにした。そして、六回には引っ張ってライト線へ二塁打。右へ左へと放つ広角打法。まだまだ現役でやれるのではないか。スタンドのお客さんたちは、そう思ったはずだ。

相手の広島リーグ4位。逆転のポストシーズン進出へ是が非でも勝たねばならない試合だった。

それでもヤクルトの高津臣吾監督が「今日は勝ってノリを送り出したかった」と話すように、去り行く青木選手のためにヤクルトは勝利を捧げようと勢いづいた。

すでにクライマックスシリーズの可能性が消えていたヤクルトだが、「青木選手のために」投打で歯車がかみ合い5-3で勝利した。

試合後のセレモニーで「自分の愛したこの球団をよろしくお願いします」とスタンドにあいさつした。

青木選手の思いは後輩たちに受け継がれる。「小さな恐竜」を師匠と仰ぐ村上宗隆選手はホームラン、打点のタイトル争いで2冠を手にしそうだ。長岡秀樹選手はこの日2安打。最多安打のタイトルが目前にある。

「小さな恐竜」の弟子たちがこれから「神宮ジュラシックパーク」を引き継いでいく。これからも神宮はワクワク感の発信源となるだろう。

青木選手には、まだまだ現役を続けてほしかった。プロ21年間、お疲れさまでした。

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