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青葉
2024年3月17日 21:31
小学生だったころ、同級生の誰かが脱いだまま置き忘れている体操服とか、制服の上着とかのにおいをかいで、その持ち主を当てることができた。田舎の小学校で、学年の人数が20人にも満たなかったからというのもあるのだろうけれど、私は同級生みんなのにおいを知っていた。私だけではなく、きっとみんなもそうだった。たとえ誰かが分からなくても、そういうときは別の誰かがくんくんと鼻を動かし、「これはあいつのだ」「
2024年3月3日 23:39
熱しやすく冷めやすいというのは、少女にはありがちなのだろうと思いつつ、私いつから大人の女になってしまったのだか、自分でもよく分からない。分からないなりに、大人といっても差し支えないんだろうな、などと考えている。ただ同時にこうも思う。つまり、少女だったころの私といまの私はずっと地続きでつながっているのに、その境目がどこかなんて、一体どうして線引きできるだろうか。虹やゆうやけのグラデーショ
2023年12月20日 18:58
土曜日じゃないのに土曜日とタイトルをつけた。そして夏じゃないのに、夏に撮った写真を使うことにした。そうでもしないと、やってられない気分なのだ。冬のつめたい風に負けてしまいそうなのだ。たとえば非常階段の3階に立ち、爆音で音楽を聴きながら雨交じりの風に吹かれても、この気持ちはどうにもならない。胸の中へ押し込むことも、逆に追い出すこともできない。だったら、書くしかないではないか。***とびき
2023年11月11日 21:12
季節が少しずつ冬に近づいている。風が強くつめたくなり、昼は短く、代わりに夜が長くなり、太陽が私を照らしていてくれる時間がどんどん減って、それが頭を抱えたいほど憂鬱だというのに、月は空が凍てつくにつれて美しくなっていくのね。なぜなんだろう。ここ最近、ふとした瞬間に言いようのない、苛立つような、哀しいような、焦るような、そういう気持ちが私を満たして、それにすぐ応じてしまう自分がすこし憎い。
2023年9月25日 22:10
いつもどんなに明るく、楽しく、朗らかに生きているように見えるひとにも、ひとりでは抱えきれないほどのかなしみや、ふとした瞬間におそいくる痛烈な孤独の時間があって、私たちは胸のどこかでそのことを分かっていなくてはならないと思う。そのひとの本当の部分は、いま見えているところだけではない。私たちは他者に打ち明けたくない心をうまく隠したり、見せないでいたりすることができる。だから私たちは誰かの表面を
2023年7月22日 17:03
わすれられないもの。幼いころ、手から離れて青空に飛んでいった赤い風船。鼠取りにかかった鼠を水に沈めた瞬間の祖父の横顔。恋人でも親友でもない男の子と、中学生の夏に半分こしたパピコ。ただただ小さな花を摘むだけの穏やかな夢。コントラバスの弓に塗る松脂の匂い。生まれたばかりの1人目の妹を病院に迎えに行った嵐の日。同級生の男の子達と成り行きで打ち上げ花火を見た中学生の夜。インフルエンザで寝ていた平日の晴
2023年6月14日 23:06
勝手に誰かや何かに期待して、それが叶えられなくて裏切られた気になって、それってまるでばかみたい、とたまに思う。私たち、期待せずにはいられないのかなあ。期待してるからこそ苦しいんだよね。絶対に裏切られないことがわかっている期待ならいいけど、それは期待ではなくて確信だし、だとすると期待って、裏切られることがあるからこそ期待なんだよ。だから苦しみを伴っている。私は普段あまり要領がよくないし、
2023年2月16日 22:18
好きな音楽の話をしようと試みるとき、どうもことばを連ねるだけでは表現し得ないことがあって記事を書くのをやめた経験が何度もあるけど、それが一体なぜなのかはいつも曖昧なままだった。好きな小説を紹介するのと同じように音楽についても紹介すればいいのに、それはいつもなんともいえないもやもやによって阻まれてきた。しかしそれがなぜなのか、最近ようやくわかった。音楽とは聴覚に依拠するものだからだ。た
2023年2月9日 09:33
私は男の子というものが好きだ。おもしろいいきものだと思っている。しかしそれに負けないくらい女の子が好きだ。話すのには男の子がおもしろいなあと思う。私には男兄弟がいないから、同年代くらいの男の子がずっと不思議でならない、ということもあるかもしれない。何を考えているのか、何を感じているのか知るのはおもしろい。一対一でも気兼ねなく男の子と話すことができる方だし、なんだろう、男の子は女の子に