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ACT.94『イントロ』

覚えてますか…?原点への回帰

 この連載の最初…は、長崎への旅路にて始まったものであった。
 何か旅連載的なモノを残せたら。そうして始まった中で、自分の中でご当地に因んだ事をしてみたい…と。
 そうした中で、自分が目を付けたのが丁度開催に向かって足並みを弾ませていたセンバツ高校野球。
 センバツでは全国47都道府県は揃わないものの、龍谷大平安・京都国際・京都外大西…と名門校が駒を進め、春真っ盛りな球児の夢舞台で躍動する。
 さて、そうした中で昨年は龍谷大平安がセンバツに出場した。
 この龍谷大平安と対峙したのが…
 長崎県は諫早市に校舎を構える長崎日大であった。
 実際に『センバツで当たる対戦相手の場所に行く』という体で長崎に向かった…が、この時。丁度長崎県では『長崎新幹線開業』にまつわる大きなイベントで盛り上がっており、非常に華やかな時期に訪問となった。
 しかし自分の中では、長崎市内での滞在だったもので長崎市電の徒歩撮影に死ぬほど魅了されまくった思い出がある。

※昨年の『センバツ対戦相手の都道府県行く』は龍谷大平安vs長崎日大となったので、長崎県へ。連載の記念すべき最初の旅路を飾った自分の思い出の地である。

 そして、高校時代に魅了されしTVアニメ『色づく世界の明日から』の聖地巡礼として祈念坂にも訪問する。
 アニメの宣伝ビジュアルにもなった記念すべき場所で、丁度自分の立つポジション辺りでキャラクターが魔法に掛かって飛ぶ演出の場所を訪問した。
 石原夏織・本渡楓両氏の声がする女子高生の生活感を感じた旅路は、最後に広島へ抜けてワープし、そのまま青春18きっぷで山陽本線を大阪方面に上って京都へ帰郷した。
 さて。そうした中で。
 今年も春期の青春18きっぷを手にし、センバツ高校野球の時期を迎えた。対戦カードが次々発表されていく中で、京都は2校が出場する。
 京都…は1つは京都国際。
 そしてもう1つは、京都外大西であった。
 京都外大西の名前を高校野球の舞台で聞いたのは久しぶりだと思ったら、センバツ出場は18年ぶりという事らしい。

※京都外大西高は18年ぶりのセンバツ出場
となった。18年前のセンバツ…といえば現在は中日でエースとして君臨する大野雄大を擁していた時期であり、久しぶりの甲子園凱旋となったのである。

対戦カード登場

 そうした中で、京都勢の対戦相手が決定した。
 京都国際は『青森山田』と。京都外大西は『山梨学院』と。山梨学院はセンバツ連覇への期待を背負っての出場であった。
 京都国際vs青森山田・京都外大西vs山梨学院。この2つに決定し、自分は生活圏に近いという事で『京都外大西』との対戦校、山梨学院の存在する『山梨県』へ行く事にした。
 山梨は実に久しぶりで、かれこれ2年は行っていない。前回は勝沼ぶどう郷と身延線に乗車したのみで、そのまま昼過ぎに切り上げ長い時間のローカル線旅にシフトした思い出がある。
 そんな中、自分は何をしようか…と思った時。意外とスグに『やりたい事』が出てきた。さて、何をしよう。

※山梨学院高の野球部練習場は中央線の車窓から観測できる。石和温泉付近、車窓から室内練習場を撮影したもの。

山梨でやる事

 山梨…といって、青春18きっぷといえばやはり身延線の制覇だろう。富士から甲府までの88キロの路線は、静岡県と山梨県の生活生命線になっている路線だけでなく、沿線には下部温泉・富士山関係・身延と観光地にも恵まれている。
 関西方面から山梨に向かうには、この
『富士まで出て身延線に乗車』
というのがまた定番なのである。そして、最初の宿泊地には山梨でずっと気になっていたゲストハウス『鐵の家』に宿泊すると決めた。もうコレに関しては速攻で決定した。行くチャンスでしかない、と。
 そしてもう1つ。山梨県では行きたい場所があった。

※山梨県の関東寄り…大月から富士急ハイランドや富士山付近への観光地までを結ぶ富士急行。その富士急行には、京葉線や埼京線で活躍していた205系が運用されている。そうした『平成の通勤輸送OB』の仲間に逢うのも楽しみであった。

 それが、山梨県の都留市や富士吉田市に線路を敷き、富士山付近を登山電車のように駆け上る富士急行への乗車であった。
『山梨×鉄道』
といった面では速攻でコチラも決まり、場所はかなり迷う事なくすんなり決まったイメージである。
 そしてクッションとして1日だけ、山梨県で保存車を探す日を投入しようと決めた。久しぶりにやっていなかった自分への原点回帰のようなものとして投入し、来る新年度への弾みとしたのである。
 そして、富士急行として欠かせないのが沿線でもその存在をフォーカスされている有名なミュージシャンがいる。

※平成12年に『フジファブリック』を結成した故・志村正彦氏。一度は没年の平成21年に活動を休止するが、現在は再開し平成14年に加入した山内総一郎氏が中心となっている。

 平成21年。29歳の若き年齢で逝去した志村正彦氏である。
 鉄道に時間を投じている中、少しだけでも…として富士吉田が生んだ偉人。志村正彦縁の地を少しでも良いので訪問できたらと意気込んだ。
 志村氏をボーカルに据えたバンド『フジファブリック』は現在でもボーカルを山内氏に変え、現在も多くの人々に楽曲が親しまれている。
 志村氏の遺した音楽も勿論の事だ。
 かくいう自分も志村氏の音楽には虜になり、何度も救われ。受け止めてくれた大事な存在である。
 進学、進級、就職…何度も挫折した中で、道を離れし中で繋ぎ止めてくれたのは、志村氏の言葉と音楽だった。
 そうした中での感謝、というのだろうか。
 生涯に刻み込まれた音楽を作った人の故郷に行ってみたい…という思いが、自分の富士急行行きを決めたのであった。

※身延線を東海道本線と直通し、静岡までを結ぶ特急/ふじかわ。かつては急行列車として国鉄時代の車両を使用していたが、JR東海化後に開発した373系の登場によって現在の特急列車に昇格。身延線を現在も走行する富士の麓の花形列車だ。

身延線

 さて、少しだけ計画の段階に戻そう。
 山梨へ行く道は決まった。京都からだと、改めてになるが京都まで出て東海道本線に乗車する。
 そうして富士まで乗車し、そこから身延線で甲府へ。通常であれば。新幹線を組み込んでの移動となれば、関西方面からの乗客は静岡まで新幹線に乗車し、静岡から特急/ふじかわ…に乗車してそのまま甲府に向かうのがマストである。
 そうした看板列車が走行し、新幹線との都市圏アクセスが確立されている身延線だが、実際に自分が乗車した印象では
・のどかな時間の広がりしローカル鉄道
というイメージだったのだが、先ほども記したようにして身延線は沿線の生活路線として大事な役割を果たしている。
 甲府から鰍沢口。富士から西富士宮まで。この区間内では列車本数が拡充されているものの間の鯮沢口〜西富士宮では列車本数が直通列車のみ…という感覚を自分では持っている。

※特急/ふじかわの脇を固める普通列車は313系電車。JR東海の標準基準車として在来線で運用されているが、身延線ではワンマン運転に対応したボックスシートを配置した車両が活躍している。

 急峻な山々を駆け抜け、富士山を何度も車窓に仰いで走行するこの路線。
 JR東海の位置付けとしては、
『甲府地区と東海道を結ぶ重要な路線』
として、現在もその存在をしっかりと後押ししている。
 JR東海の路線の中でも関東圏は甲府まで乗り入れる中で、自社の在来線屋台骨としての存在である東海道本線との接続で都市圏への結節も図っているのだ。
 旅人にローカル線として愛され。時には通勤通学の役割にも従事し。そして富士山・下部温泉などへの観光アクセスも築く。
 身延線はJR東海の万能路線なのである。

※1回分は四国へ上陸した際、車掌の捺印で切っていただいたので伏せております。しかし下車印で大分はっちゃけた事。

ぼくの青春18きっぷ・2024春

 折角のイントロ…準備体操として青春18の今季春季分の記録を掲載しておこう。
 春季青春18では、1回を四国・岡山・広島に使用。そして宿泊したのでもう1回。そして今回の3回余りが出た分を全て山梨に回した。
 後手後手になって『使わなくては…!』と焦る事がないように、使い切って新年度を迎えたいという何かしらのメンタルヘ向けた気持ちの整理整頓に尽すような感覚で開始した。
 時刻表も今年分を購入し、いよいよ準備は万端…
 さて、いよいよ身延経由の山梨旅が始まりますとさ。

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