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脳の老廃物を取り除くメカニズムと「洗脳」の重要性


身体が老廃物を取り除くことは知られているが、脳がその老廃物を除去するメカニズムは近年になって初めて明らかにされてきたという。これまでは、ある程度の圧力で循環する脳脊髄液が老廃物除去システムになっていると推測するにとどまっていたのだけれど、ここ最近になって初めて脳の浄化システムが解明されてきている。

脳内の老廃物は一体どのように処理されているのか。

脳の排泄機能は身体のそれと大きく異なる。頭蓋内(とうがいない)には脳を覆うように脳脊髄液が存在し、その液は頭の中でクッションのような働きをしながら脳を守っている

覚醒中の脳の表面は細胞やその他の組織で埋め尽くされているが、その細胞間の隙間はいたって小さいので、髄液は脳の外側にだけ流れるようになっている。

けれども脳が眠りにつくと、その状況は一転し、その細胞間の隙間が広がるような仕組みになっている。そして脳の外側に流れていた髄液は、脳がまるでスポンジであるかのように、その内部へ浸透し、老廃物を回収し出すのだ。

そしてその後は脳に蓄積された老廃物と一緒に押し出され、脳の外側を流れる液と合流する。それからさらにリンパを流れて血液と合流するという信じられないような精巧な仕組みになっているのだ。

ここでいう脳の老廃物とは「βアミロイド」などの物質で、これらが脳内に溜まることで認知症が発症することがわかってきている。

そしてこの脳の浄化システムには睡眠が最も重要な役割を果たしていることもわかってきた。脳の浄化システム(つまり「洗脳」だ!)の効果を最大化するためには、良質の睡眠が欠かせない。

最近では概日リズムに関する研究が盛んに行われているが、概日リズムという体内時計のメカニズムに沿った上で、十分な睡眠をとることで、脳の健康を大いに助けることができる。

脳の研究が進む中で、睡眠の大切さはより重要な課題になってきているのだ。

(参考)
Time|Alzheimer's in Young Brains: Evidence of Disease Begins in Young Brain
Oxford AcademicNeuronal amyloid-β accumulation within cholinergic basal forebrain in aging and Alzheimer’s disease






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