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不安定を覚悟することが人生の強みになる

『意志と表象としての世界』でショーペンハウアーが示した洞察の一つが心に強く残っている。 その洞察とは、「人生は不安定であるのが常態である」というものだ。

安定を求めるほどに、不安定さを強く感じるようになる、というジレンマは簡単に想像がつく。

一方、不安定さこそ人生の姿だと覚悟しておけば、変化や出来事をいつでも起きうるべき当然のこととして、すんなり受け入れることができる。 免疫を持っているようなものだ。

生きることすべて不安なのがあたりまえ。 だから、うまくいったときは大笑いできるし、感動も深くなるのだ。

逆に意図せぬ不幸が起こっても、ジタバタしないで「まぁ仕方がない」と、できることをしながら時期を待つ。

ショーペンハウアーの考え方の中で興味深いのは、解脱、つまり我欲滅盡を理想としていることだ。

意志本位の形而上論で、世界人生を全く意志争闘の場と観じた作者は、その解脱の道徳説で全く現実の反対を理想とし、寂静涅槃の理想を追求した。

さらに同書に書かれている「表象」という概念については興味深い解釈がある。

ショーペンハウアーは、「世界はわたしの表象であり、世界の本質は生きんとする盲目の意志である」と述べているが、ここでいう「表象」とは、なんだろうか。

ウィキぺディアによると、「一般には、知覚したイメージを記憶に保ち、再び心のうちに表れた作用をいう」とある。

ミシェル・フーコーは表象を、西洋の17-18世紀の思考方法を理解するのに有効な鍵概念だと考えた。

もしも本当に、世界が「表象」なるものであるならば、今ある「不安定さ」も、心に映るイメージに深く関連しているのではないのか。

そうであるならば、なおのこと、不安や不安定に心苛まれることなく、今を生きていけばいいということになる。

参考:アルトゥル・ショーペンハウアー『意志と現識としての世界』翻訳序言 姉崎正治訳 




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