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ロボットと哲学

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「SFにおけるロボット」という観点から「人間という存在」について哲学的な考察を試みました。小説を中心としたロボットに関するSF作品の紹介と哲学思想の概説が中心です。SF好きも哲学…
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#目的論

ロボットと哲学②道徳と実存

ロボットと哲学②道徳と実存

前回は「ロボット」という語の語源について紹介し、四原因説に従って人間とロボットについて考察したが、今回は「目的性」について別の角度から論考することにより、人間とロボットの存在について再度考察する。

カントの目的論 イマニュエル・カントは人間の理性を「純粋理性」と「実践理性」に分けて考えた。前者は合理的思考能力、後者は善や道徳に関する理性である。純粋理性に関する問題は、量子論や脳科学との関係性から

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ロボットと哲学①語源と目的性

ロボットと哲学①語源と目的性

SF(サイエンスフィクション、スペースファンタジ-)は、映画・小説の中でも人気ジャンルであろう。SFは私たちに近未来の空想を与え、好奇心を刺激してくれる。しかし、SFが持つ力はそれだけにとどまらない。現実を現在の構造から外したり、ある部分を誇張したりすることで、我々の常識や価値観に疑いを向けさせたり、哲学的な命題を投げかけて来るのである。例えば、映画『猿の惑星』のような人類の文明が滅びた設定はお馴

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