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2023年10月の記事一覧

ぽっかりと空いた穴が、教えてくれる。

ぽっかりと空いた穴が、教えてくれる。

冷たい風が吹いた。

風は肌を撫ぜる。
肌を撫ぜたはずだったのに、
風は僕の中に入ってきて
僕は体の中に穴が空いてるって気づいた。

知りたくなかった。

ぽっかり空いた穴なんて。

秋はこれだから嫌だ。
寂しくなる。

春に花が咲いて、
夏に弾けて、

いつの間にやら穴が空いて
秋になって落ちてゆく。

僕は地団駄を踏んだ。
踏めるだけ踏んだ。

足元が緩んでいく。
足が沈んでいく。

僕は泣い

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空洞と波紋

空洞と波紋

ぽこん

体の中から音がした

理想と現実のその隙間
何やら怪しげな空洞ひとつ

空洞は

飯を食っても
酒を飲んでも
肌を合わせても
本を読んでも
歌を歌っても

何をしたって空洞のままだ

涙を堪え
ぎゅっと瞑り
再び体内へ
帰ってゆく涙が

ぽとん

体の中に反響して
波紋が広がって

少しだけ許される気がした

誰も責めてなんかいないのに

たまにどうしようもなく泣きたくなるような時があっ

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夏の終わり、秋の気配。

夏の終わり、秋の気配。

手を伸ばしても届きそうにないほど
遠くに行ってしまった

あんなにも近くにいたのに
高く高くのぼってゆく

私はそれを追いかけることなどできなくて
ただ深呼吸をするだけ

吸い込んだ空気に
金木犀の甘やかな香りをはらんでいるのを感じ
ああ、新しい季節が始まるんだと知った

見上げればどこまでも高い空は
雲を敷き詰めて

あなたはあの雲の上を軽々と飛んでいくのでしょう

私はあの雲がどこまでもどこま

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青いままで

青いままで

空も海も青いなら

私だって青いままで

いいじゃないか