2023年7月の記事一覧
詩|fastener
開ける以外に道はない
一縷の望みを賭けて
上から下へと動かした
遠慮のない
老いぼれだと思われたに違いない
かなぐり捨ててでも
希望を残すには選択肢がなく
悔しいけれど
決別が必要だった
ここから先に進むには
ささやかなプライドは
処分しなければならない
すべからく
世間に反旗を翻すべきで
そうしなければ
立ち尽くす未来しかない
力なく
つまむ
手の震えが
止まらない
ナニモノか答
詩|夜空に、ファスナーをつけたい。
夜空にファス
ナーをつけて
じじじじと開
けたら、宇宙
が落ちてこな
いかな。寝静
まったみんな
の夢の中に落
ちてきた宇宙
が広がって、
混沌とした夢
を見て目が覚
めたらいいの
に。ど こかで
猫がに ゃあと
ないて 眠れな
いあの 子の傍
に一等 星が落
ちてき て、あ
の子が 見てた
悪い夢 が箒で
ささっ と素敵
な
詩|ファスナーを、脱ぐ。
口にファスナ
ーを縫いつけ
ていれば、余
計なことを喋
らなくていい
人に文句も言
われないし、
このままずっ
とファスナー
生活でもいい
家に帰ってフ
ァスナーを開
けて、酒を煽
って、やっと
解放される。
でも、これが
大人ってもん
なんでしょう
大人に なんて
なりた くなん
てなか ったけ
どなっ てしま
った。 いつの
まにか 口につ