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2023年7月の記事一覧

詩|fastener

詩|fastener

開ける以外に道はない

一縷の望みを賭けて
上から下へと動かした

遠慮のない
老いぼれだと思われたに違いない

かなぐり捨ててでも
希望を残すには選択肢がなく
悔しいけれど
決別が必要だった

ここから先に進むには
ささやかなプライドは
処分しなければならない

すべからく
世間に反旗を翻すべきで
そうしなければ
立ち尽くす未来しかない

力なく
つまむ

手の震えが
止まらない

ナニモノか答

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詩|夜空に、ファスナーをつけたい。

詩|夜空に、ファスナーをつけたい。

夜空にファス
ナーをつけて
じじじじと開
けたら、宇宙
が落ちてこな
いかな。寝静
まったみんな
の夢の中に落
ちてきた宇宙
が広がって、
混沌とした夢
を見て目が覚
めたらいいの
に。ど こかで
猫がに ゃあと
ないて 眠れな
いあの 子の傍
に一等 星が落
ちてき て、あ
の子が 見てた
悪い夢 が箒で
ささっ と素敵

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詩|ファスナーを、脱ぐ。

詩|ファスナーを、脱ぐ。

口にファスナ
ーを縫いつけ
ていれば、余
計なことを喋
らなくていい
人に文句も言
われないし、
このままずっ
とファスナー
生活でもいい
家に帰ってフ
ァスナーを開
けて、酒を煽
って、やっと
解放される。
でも、これが
大人ってもん
なんでしょう
大人に なんて
なりた くなん
てなか ったけ
どなっ てしま
った。 いつの
まにか 口につ

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詩|MONDAY

詩|MONDAY

明け方になると
いつも漏れてしまうのは
うんざりするようなため息

エアーポケットに
落ちてしまった週末の高揚感は
考えられないほどに
危機的な月曜日を演出する

クラゲのように漂う
倦怠感は
この週末が
攫っていった
幸せの残骸

吸い込んでしまった
世界中の憂鬱を
そっと胸に閉じ込めたせいで
立ち上がる気力も湧かず
力なくソファに横たわっている

つむじ風が
テコでも動かない憂鬱を
飛ばしてく

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詩|Umbrella

詩|Umbrella

朝になって傘立てをみる
一本も傘がない
嘘だよね、と呟いた

絵に描いたような
大きな青空に
傘が必要なほどの雨

狐の嫁入りとはこのこと

雲の切れ間が遠くに見える
けれども私は今、出かけなればならない
このままでは遅刻してしまう

颯爽と通り過ぎるタクシーに
嫉妬しながら
スカートをたくし上げた

精一杯走ってバス停に向かっても
その間に濡れることは必至だ

だったら、もういっそ
遅刻してしま

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詩|ささくれに、土がしみる。

詩|ささくれに、土がしみる。

さらさらと指の間からこぼれ落ちる
掴んではいけない、掴まない。流れ
ゆくまま眺めるだけ。止まらない
し、止められない。それは等し
く平等に。逆らわない、抗わ
ない。抗えば気づかぬうち
に溺れてしまうかもしれ
ない。けれど、溺れて
息もできず、もがき
続ければもしかし
て私も知らない
どこかに流れ
つくのだろ
うか。こ
こでな
いど

かへ
辿り着
いたどこ
かは、私の
目的地なのだ
ろうか。そん

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詩|COLORFUL

詩|COLORFUL

あかるい
いろたちが
うたいだす

えいえんに
おぼえていたい

カラフルで
キラキラとかがやく
くちずさみたくなる
ケーキのようにあまい
このメロディーを

さわやかなかぜにのって
しあわせのおとがきこえる

すこしだけせすじをのばしたみどりいろが
せなかをおす

そそくさと
たちさるように
ちょっとはずかしがりやの
つめたいみずいろが
てをつなごうとささやく

とまりたくないんだよと
なにより

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詩|波乗りジャジー

詩|波乗りジャジー

寄せて
は返す波
に、僕はい
つ乗ることが
できるのだろうか
寄せた時か返す時か僕
にはそれすらわからない。波
に乗り気持ちよさそうに泳ぐ人達
を眺めながら、僕は一人砂浜に佇
むだけなのだ。しかし、この
場所に長くいすぎた。
足が埋もれて動く
ことができな
い。僕は波
にも乗
れず、
どこに
も行くこ
とができない。
水平線を見つめ、
波がない海があるこ
とに今さら気づく。こん
なに穏やかな海もあ

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詩|Candy

詩|Candy

飴細工みたく
生きてみたかった

宇宙をアメに閉じ込めて
えいやと噛じったら
おなかいっぱいに
悲しみが広がって
綺麗な涙が
空気に溶けちゃうような

結晶化した悪夢をアメに閉じ込めて
こなごなに砕いたら
サーカスが現れて
シュールな曲芸中に
スコールが降って
世界が水浸しになっちゃうような

底なしに
楽しそうなことだけアメに閉じ込めて
ちょっとずつ舐めてたら
つまらなくなって
手がベタベタにな

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詩|THE END

詩|THE END

朝から君が上機嫌
悪戯に復元されない不機嫌
後ろに束ねた髪も跳ねる
笑顔を噛み殺して何を考えてるの

おざなりになったトースト
考える間もなくそれは突然に
君と僕との間に打たれる句点
クチナシが白々しく香る

決意表明?いや強制終了?
コードを至急解析せよ
五月雨式に0と1が整列する

真実はこれだ
すなわち
正解はここだ
そしてそしてそうだ

楽しげなコードの行進
散らかった思考を更新

詰まる

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詩|枠の中には、いたくない。

詩|枠の中には、いたくない。

枠に収まるのを嫌がって自由なフリをする。でも案
外、枠に収まりながら、枠の中で遊べる人が自由じ
ゃないかって思ったりする。だって彼らの心はいつ
も、枠の中に  はなく思考も
心も枠の外に あって。だけ
どあえて枠の

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詩|parade

詩|parade

明後日のホウに
色トリどりのネオン
ウサギおどる
エンドロール
おしゃべりな
仮面たち
キラキラの
靴で
ゲートをクグッたら
コンチェルトに乗せてダレカが
囁いた

死んでもユメは終わらないよ
捨てられないオモイを
セカイの真ん中にしちゃイケない
そんなモノは
タナにあげときな

チッタカター
ツッタカター
テッテケテー
トットコトー

ナマエはどこにいった
ニーチェにきいてみようか
盗まれたなら

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