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散人の作物

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2022年8月の記事一覧

パリの街の風に吹かれて 或は新帰朝者の世迷言

パリの街の風に吹かれて 或は新帰朝者の世迷言

巴里に行ってきた。フランスに行ってきた。フランスに行ってきた、それが先行するのが当たり前であるのかもしれないが、語弊を恐れない俺は巴里に行ってきたというベキ。俺は俺にとってフランスは巴里だ。なんと言っても。リヨンもオンフルールもノルマンディーも差し置いて。うん。そうだ。巴里だ。何はなくとも。阿呆なる私の周辺が生きている。そうだ。性懲りもなく生きているのだ。そんな中、私は遠く、遠く離れた巴里に行った

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詩『隠蔽された黒色の下』 ゲルハルト・リヒターに捧ぐ

詩『隠蔽された黒色の下』 ゲルハルト・リヒターに捧ぐ

作者贅言

此処に於て初めて詩たり得るもの、完成したり。
今まで書きし詩の如き駄文は最早夥しき数に上る。如何に無用者の廃人たる小生とて徒に駄文を生成せんとしている訳ではなかるべし。その都度誠心誠意を込めて詩の如き物を拵えていはいるなり。然し、刃物を以て「お前が書きしは詩か否か」という憂き目に合えば小生は忽ちにして「否、これは詩にあらず。駄文なり」と答えて居たに相違あるまい。されどもこの度、創りし一

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