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詩『隠蔽された黒色の下』 ゲルハルト・リヒターに捧ぐ

作者贅言

此処に於て初めて詩たり得るもの、完成したり。
今まで書きし詩の如き駄文は最早夥しき数に上る。如何に無用者の廃人たる小生とて徒に駄文を生成せんとしている訳ではなかるべし。その都度誠心誠意を込めて詩の如き物を拵えていはいるなり。然し、刃物を以て「お前が書きしは詩か否か」という憂き目に合えば小生は忽ちにして「否、これは詩にあらず。駄文なり」と答えて居たに相違あるまい。されどもこの度、創りし一編の詩『隠蔽された黒色の下』は紛う事無き詩なり。よしんばこれは詩にあらず、と言われれば小生は毅然とした対応を以て発言者を糾弾すべし。
小生此の詩を書かんと思いし発端は現在、東京国立近代美術館にて開催されし『ゲルハルト・リヒター展』を訪いし為なり。ある人と行けり。並びし絵画はおおよそ小生が知りし絵画とは様相を異とし如何なる心情を以て眺むれば良かるべしか分からざる作品多し。人並み外れて感覚鈍き小生は作品群を前にして只"嫌悪"の念を抱けり。異和はその場を離れし後に増大し恐怖さえ覚ゆ。白痴と同じき小生の脳裏に浮かびしは大きに創作の希求なり。この心中を文章にしたき思い。そに駆られリヒター展にての光景を追懐し文字を積み重ねん。而して出来たる詩がこの詩なり。
小生、敢えて詩に込めし意味その他は語るまい。読者諸君の慧眼に委ねるのみ。

令和四壬寅の年八月朔日 山水散人 識


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