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向日葵文庫(創作)・アラサーOLの戯言
2023年9月20日 14:25
8歳年上の大きな背中が前をいく。白いTシャツは歩くたびにしわの様子が変わり、自分より少し大きな足跡がどんどん増えていく。離れないように、必死に走って後を追っても追いつけない。それが悔しくて、でも同時になぜか嬉しくて、必死にその背中を追い続けた。だって追いかけていると時々振り返って、ちゃんと付いてきているか笑顔で確認してくれるから。そんな少し前を歩く格好良くて優しい兄が僕は
2023年9月15日 02:57
am:8:00起きることが染みついた体内時計は休日であろうと休ませてはくれない。正確なメトロノームのように、脳が覚醒し今日が始まった事を告げる。いつものルーティンを流れ作業のように行い、最後に沸かしたお湯でコーヒーを淹れたら、それを片手に窓を開け飲む。どこぞのインスタグラマーだよなんて思いつつゆっくりと空を見つめるまでがいつも通りだった。風がふき花瓶の花がゆれる。心臓が窮屈
2023年9月12日 18:14
鉄の味が口の中にひろがる。慣れっこの味だ。今朝の天気予報は雨だったっけ?その規則に従うかのように窓にうちつける雨の音が室内に響く。乱雑にみえて一定に聞こえる雨の音が少しずつ私を現実へと戻してくれたのだった。この大雨ならまだ帰ってこないだろう。雨が止むまでにこの部屋を何とかしなくてはと思った私は、机に手をかけながら立ち上がり、口元に流れる水滴を袖で拭った。皮膚に擦れた瞬間
2023年9月13日 20:39
PM3:00 公園のベンチでコーヒーを飲んでいた2人。さっきまでアニメの話なんてしていたから笑顔の残る表情まま今日の夜ご飯の提案をするかのように私は話した。 「無理に私に会おうとすることを辞めなよ」風が吹き肌を撫でた。やっと言えた言葉に私はどこかホッとしていた。でも彼の顔を見ることはできなかった。見てしまったら「おわる」事がわかっていたからだろうか。少しでもこの時間を伸ば