サナキダヨウイチ

ドストエフスキーと、人の考えに触れるのが好きです。独善は諸悪の根源、日々精進して参りま…

サナキダヨウイチ

ドストエフスキーと、人の考えに触れるのが好きです。独善は諸悪の根源、日々精進して参ります。

記事一覧

固定された記事

エッセイ:感じることだけがすべて

例の通訳氏の話ではありませんが、「悪」に不寛容な社会は息苦しいなと。善悪よりも、実感を信じたい。 時間の喩え話です。 車を走らせている。 フロント硝子の向こうに見…

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エッセイ:国をかえるもの

日本人女性カップルがカナダで難民認定されたという記事〈🔗〉を読みまして、同性愛者という理由で日本では迫害されたとか。迫害とは穏やかではありませんが、渡航したのは…

エッセイ:時は金なり(嘘)

平日の昼ひなか、地下鉄駅プラットフォームで女性が部下とおぼしき若い男性をおおきな声で威圧し、叱りつけている。 人前で叱るのも憚られる昨今、衆人環視のなかでであり…

エッセイ:誰のせいでも

真夜中、ラーメン屋にむかう道すがら罪悪感について考える。 望んでうまれたわけではない。 と気づいたときにはもう、どうにもならない事ばかりで、苦しみにまみれている…

エッセイ:引き裂かれた自己

終電間近の時間帯、終着駅に着いても眠っている人がある。軽く肩を叩いてから降りる。目覚めたかどうかは知らない。赤の他人同士とはいえちょっとした心がけで、少しはまし…

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エッセイ:笑いながら怒るな

クリストファー・ノーラン監督の映画『オッペンハイマー』が日本でも公開され話題となっておりましたが、原爆慰霊碑の碑文「過ちは繰り返しませぬ」の主語は誰か。そして、…

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エッセイ:裸の王様

またどこぞの首長がセクハラだかなんだかで叩かれておりますが、会見で自身を裸の王様といったとか。裸の王様は、どんな組織にも集団にもおわしますね。 職場にも学校にも…

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エッセイ:陰謀論でしょうか、いいえ、誰でも。

情報の不確かさが不可逆的に拡大していく現代、「正しさ」とは相対的なものであるにしても、ますますわかりにくくなってきている。疑い得ないのは、生存ではないでしょうか…

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エッセイ:傘がない

巷に雨が降る。 と、 気が滅入るという人がある。音に聴き入る人もあれば、古傷が痛むという人もある。 匂いが好きな人も。 恵みに感謝する人もある。 降られる人を思う人…

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エッセイ:退職の思ひ出

退職代行サービスを利用した若い人がその理由を尋ねられ、直接上司に伝えたが埒が明かなかったからだと答える。あなたの代わりは誰が埋めるのだと詰められたのだと。 屁理…

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エッセイ:誠実さのかけら

誠実さのかけらもない奴がいるんだ、今度会ってみないか。 と尋ねられ、顔が見てみたいもんだという気にはなっても、関わりあいたいという方はまずいないでしょう。 仕事で…

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エッセイ:道理の前で

人は人として正しい振る舞いを求められますが、逸脱した者には、人は罰を与える。しかしあまり厳格だと自分の首を絞めることになりかねない。だから大目に見るということが…

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エッセイ:なかったことに

※つらかったこと、嫌だったことを、なかったことにしたい方はお読みにならぬよう、くれぐれも。 躓くのに、石はいらない。 生きていれば誰もが躓く。時には転ぶ。転び、…

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エッセイ:本質とは肯定である

どこかの知事が職業によって知性が高いだの低いだのと失言し、叩かれましたね。知性とは人の根幹です。 考えるゆえに我ありが真であるのは、他者を志向するという意味にお…

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エッセイ:やっぱイマジンよなぁ

『イマジン』は1971年発表のジョン・レノンの楽曲。皆様ご存知でしょう。グローバリズムというイデオロギーの観点からすると現代を捉えているなと。 イデオロギーとは…

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エッセイ:ダメ。ゼッタイ。

反戦デモのニュースが流れる。戦争反対、絶対反対とプラカードを掲げ、無辜の虐殺に、民族浄化に、人権侵害に、反対する声を上げる人たち。声を上げるのが目的でないのなら…

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エッセイ:感じることだけがすべて

エッセイ:感じることだけがすべて

例の通訳氏の話ではありませんが、「悪」に不寛容な社会は息苦しいなと。善悪よりも、実感を信じたい。

時間の喩え話です。
車を走らせている。
フロント硝子の向こうに見えるのが現在、過去はバックミラーから零れ落ちていく。未来はつねに先に「有る」。
知ることは叶わない。
今しかない。
ゆえに「私」は無知である。

過去も想起しているという今。今しかない、未来はない。
未来は、有ると仮定して初めて「有る」

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エッセイ:国をかえるもの

エッセイ:国をかえるもの

日本人女性カップルがカナダで難民認定されたという記事〈🔗〉を読みまして、同性愛者という理由で日本では迫害されたとか。迫害とは穏やかではありませんが、渡航したのはこの国に見切りをつけたということでしょう。
「ニッポンオワコン」という言説も、実際に海外へ出稼ぎにいく「ニッポン離れ」ももはや珍しくない。
ここではないどこかへ。
ひとは自由を求める。

自由とは、文脈によりますのでいちがいにはいえません

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エッセイ:時は金なり(嘘)

エッセイ:時は金なり(嘘)

平日の昼ひなか、地下鉄駅プラットフォームで女性が部下とおぼしき若い男性をおおきな声で威圧し、叱りつけている。
人前で叱るのも憚られる昨今、衆人環視のなかでであり、われを忘れているのか。
はぁあ? だから? それで?
と相手の説明を頭ごなしに否定する。怒りの発散はときに心地いい。
が、上司であれなんであれビジネスでご立腹など一円の得にもならない、どころか損である。若いほうからすれば時間のむだであろう

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エッセイ:誰のせいでも

エッセイ:誰のせいでも

真夜中、ラーメン屋にむかう道すがら罪悪感について考える。

望んでうまれたわけではない。
と気づいたときにはもう、どうにもならない事ばかりで、苦しみにまみれている。
今ここに、苦しみとともに有らしめているのは、このどうにもならない宿命と、いずれ死ぬべきものとして生きて有るということ。

始まりも、この先のこともわからないままに時が流れていくのは、
だれのせいでもない。
望んでうまれた者などない。

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エッセイ:引き裂かれた自己

エッセイ:引き裂かれた自己

終電間近の時間帯、終着駅に着いても眠っている人がある。軽く肩を叩いてから降りる。目覚めたかどうかは知らない。赤の他人同士とはいえちょっとした心がけで、少しはましになるかも知れない。

ドブネズミみたいに美しくなりたいと歌った人がありましたが、醜いよりは美しくありたいもの、悪しき者であるよりは善き者でありたい。誰もが善を求めている。彼岸には、かくありたい私がいて、此岸にこうして今ある私。

自己とは

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エッセイ:笑いながら怒るな

エッセイ:笑いながら怒るな

クリストファー・ノーラン監督の映画『オッペンハイマー』が日本でも公開され話題となっておりましたが、原爆慰霊碑の碑文「過ちは繰り返しませぬ」の主語は誰か。そして、力にまつわる不合理について。

↓尺13秒。
「ざけんじゃねーぞ、この野郎(笑)!」
と笑いながら怒るネタ。

理屈に合わない、筋の通らぬことを不合理といいますが、竹中直人氏のギャグ、笑いながら怒る人は不合理です。人は笑いながら怒らないし、

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エッセイ:裸の王様

エッセイ:裸の王様

またどこぞの首長がセクハラだかなんだかで叩かれておりますが、会見で自身を裸の王様といったとか。裸の王様は、どんな組織にも集団にもおわしますね。
職場にも学校にも家庭にも、役所にも病院にも自分を世界の中心だと盲信している尊大で無謬のイタい奴はいるものですが、王様を支えているのは空気を読む側近ほか臣下であるとすると、空気を読むのは相変わらずでも、その空気が変わりつつあるのが昨今。キャンセルカルチャー、

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エッセイ:陰謀論でしょうか、いいえ、誰でも。

エッセイ:陰謀論でしょうか、いいえ、誰でも。

情報の不確かさが不可逆的に拡大していく現代、「正しさ」とは相対的なものであるにしても、ますますわかりにくくなってきている。疑い得ないのは、生存ではないでしょうか。

不確かな情報

自身の肖像を無断で利用したフェイク動画の詐欺広告をめぐり、実業家がプラットフォーム運営会社を告訴するとか。生成AIによる動画はもう見ただけではフェイクかどうかはわからない。しかし情報の真偽が不明でも、生存している以上、

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エッセイ:傘がない

エッセイ:傘がない

巷に雨が降る。
と、
気が滅入るという人がある。音に聴き入る人もあれば、古傷が痛むという人もある。
匂いが好きな人も。
恵みに感謝する人もある。
降られる人を思う人も。
雨は雨でも、人それぞれ。

雨が降れば傘をさす。
とは誰か偉い人の言葉。
自明のことをなさいということらしい。
みんな傘をもっているわけではないのに。

自明とは、
論じるまでもない、あきらかなこと。
当たり前のこと。
傘のない人

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エッセイ:退職の思ひ出

エッセイ:退職の思ひ出

退職代行サービスを利用した若い人がその理由を尋ねられ、直接上司に伝えたが埒が明かなかったからだと答える。あなたの代わりは誰が埋めるのだと詰められたのだと。
屁理屈であります。
答えはハゲ、お前である。

だが責任をとるのは上司であるハゲお前一択であるとは言えない。相手は上司の何たるかさえ理解できていない馬鹿なので、言っても理解できないでしょう。
そら絶句しますわな。

責任とは責めを負うこと、なす

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エッセイ:誠実さのかけら

エッセイ:誠実さのかけら

誠実さのかけらもない奴がいるんだ、今度会ってみないか。
と尋ねられ、顔が見てみたいもんだという気にはなっても、関わりあいたいという方はまずいないでしょう。
仕事であれ遠い親戚であれ、近隣住人であれ、友人の知人であれ、自分が関わる人にはせめて、かけらくらいは期待するものですが、誠実さのかけらすらない者を人でなし、人でなしとは人を人とは思わぬ者とすると、誠実さのかけらとは、人を人と思う心。
字引による

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エッセイ:道理の前で

エッセイ:道理の前で

人は人として正しい振る舞いを求められますが、逸脱した者には、人は罰を与える。しかしあまり厳格だと自分の首を絞めることになりかねない。だから大目に見るということが、あってもいい。

世の道理、己の道理

あるスポーツ選手が試合に出場しただけで観客からブーイングを浴びる。移籍時に不義理を働いたからだという。人の世にあっては、筋とは、通さねばならぬもの。誰もが他者との関わりのうちに生きている。
ゆえに人

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エッセイ:なかったことに

エッセイ:なかったことに

※つらかったこと、嫌だったことを、なかったことにしたい方はお読みにならぬよう、くれぐれも。

躓くのに、石はいらない。
生きていれば誰もが躓く。時には転ぶ。転び、転がり、転がり落ちる。落ちるときはどんどん落ちる。どん底まで、落ちることもある。
死がよぎることも。

死にたくなったら下を見ろ、俺がいる。といった映像作家がありましたが、ナイスですね。どん底まで転がり落ちた経験があればこそ、寄り添うこと

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エッセイ:本質とは肯定である

エッセイ:本質とは肯定である

どこかの知事が職業によって知性が高いだの低いだのと失言し、叩かれましたね。知性とは人の根幹です。
考えるゆえに我ありが真であるのは、他者を志向するという意味においてであると措定し、愚考致しました。知性、諦め、自己肯定について。

考えるとは、感じるとは、何かについて感じることであり、考えることでありますが、知性の対象すべてを他者とすると、私とは他者を志向するもの、他者との関係性においてあり、他者を

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エッセイ:やっぱイマジンよなぁ

エッセイ:やっぱイマジンよなぁ

『イマジン』は1971年発表のジョン・レノンの楽曲。皆様ご存知でしょう。グローバリズムというイデオロギーの観点からすると現代を捉えているなと。
イデオロギーとは人の生活を外部から変えようとする、いわば「根無し草」の思想をいいます。以下、パロディ、余興にお付き合い下されば幸いです。

想像してごらん 人はみな同じだと
優劣も上下もない
人はみな同じヒト
あとは資本家がいるだけ
想像してごらん その下

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エッセイ:ダメ。ゼッタイ。

エッセイ:ダメ。ゼッタイ。

反戦デモのニュースが流れる。戦争反対、絶対反対とプラカードを掲げ、無辜の虐殺に、民族浄化に、人権侵害に、反対する声を上げる人たち。声を上げるのが目的でないのなら、駄目なものは駄目だと反対するには、「主語」がいる。

何故には切りが無い

何故人を殺してはならないのか、何故ものを盗んではならないのか、何故騙してはならないのか、と子どもに問われて、大人が、まわりの信用をなくすからと答える。
模範的な解

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