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おとこらむ oto-column

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「音楽と鳥しんぶん」に連載されていたレコード研究家の音楽的日常のコラムが、noteマガジンでも登場!家人の夢の中で「あなたはレコードのマハラジャよ!」と美輪明宏さんに称賛された夏… もっと読む
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記事一覧

常盤貴子とジョアン・ジルベルトとアーシング

常盤貴子とジョアン・ジルベルトとアーシング

年に何度か海岸で裸足になってアーシングするんだけど、毎回ビーサン忘れてしまう。仕方ないから濡れた足を砂でまぶして乾かす。近くではトンビやカラスがレジャーシートに置き去りの荷物を漁ってソフトクリーム🍦のプラカップを開けようと大騒ぎ。まあまあ綺麗な由比ヶ浜でもこんな感じ。

昔、山口県の西長門に誰も入ってこないような美しい砂浜があった。
九州へのツアー中、夜走り明けのハイエーススーパーロングで目を覚

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ショパンジーの絶滅についての簡潔な報告

ショパンジーの絶滅についての簡潔な報告

昔、“ショパンジー”というそれはそれは美しいショパンの楽の音をピアノで奏でる蛮族ならぬ生物が棲息して居た。今では残念ながら絶滅してしまって見る影も形もないが、それでも確かに、昔、間違いなく、このかけがえのない世界に、確実に彼らは棲息していたのだった。

実は“ショパンジー”とは、ウラディーミル・ド・パハマンというピアニストの些かエキセントリックな言動や演奏してる姿が何処かチンパンジーを彷彿とさせる

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GREAT CHOPINZEES~ショパン演奏の秘かな愉しみ(トレイラー)

前回のレコードコンサート「レシェティツキの弟子たち」から約5年。昨日4/8(土)富士レコード社さんのお招きで開催させていただきました「GREAT CHOPINZEES~ショパン演奏の秘かな愉しみ」が盛況のうちに終了いたしました。
約二時間半、2回の休憩を挟みながらの長丁場でしたが、皆様リラックスして楽しんでいただけたようで、当日の朝までムービーを作りながらレコード選定に迷った甲斐がありました。ご来
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ピアニスト/ピアノ研究家の松原聡さんがベヒシュタインを弾きに来てくださいました

ピアニスト/ピアノ研究家の松原聡さんがベヒシュタインを弾きに来てくださいました

ピアニストであり、ピアノ研究家としても活動されている松原聡さんが、白金ピアノスタジオにベヒシュタインを弾きに来てくださいました。

松原聡さんはピアノ研究家として、様々なメディアで執筆活動をされている方なのでピアノについて大変お詳しく、逆にベヒシュタインのピアノの歴史についてたくさん教えていただきとても勉強になりました。

そして、実際に演奏もしていただいたのですが、松原さんの優しいタッチに、スタ

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意外と簡単❣️SPレコードの再生方法②

意外と簡単❣️SPレコードの再生方法②

SP再生用のカートリッジを選ぼう!入門編

78回転モード付きのターンテーブルをお持ちなら、あとはカートリッジだけでとりあえずのSPレコードの再生は可能になります。

オーディオテクニカは、SPレコード用のカートリッジをずっと発売し続けてくれている良心的なメーカーです。手軽な価格ですが、扱いやすく、針交換も安定供給が期待できるので入門編として安心してお勧めできます。付け加えますと、良い音を求めるな

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もっと良い音!SPレコードのカートリッジ再生①替針沼へようこそ

もっと良い音!SPレコードのカートリッジ再生①替針沼へようこそ

カートリッジ沼のほとりで

カートリッジは入門モデルから高級ハイエンドモデルまで、かなりの価格幅があります。
ただ、ハイファイなピュアオーディオから程遠いノイズと傷まみれのSPレコード再生に於いては、高価で繊細なモデルは必要ありません。ハイエンドといってもEMTやortofon辺り止まりです。どちらにしろ78rpm用替針のあるカートリッジはそれ程無いので、手に入るだけ全て試してみても良いと思います

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意外と簡単❣️SPレコードの再生方法①

意外と簡単❣️SPレコードの再生方法①

SPレコードってなんじゃらほい?そもそもSPレコードって何?といいますと、皆さん映画などで観たことがあるラッパ型のホーンスピーカーを持った、あのレトロな蓄音器でかける専用のレコードなんです。これはLPレコード(12インチ ヴァイナル)が一分間に通常33.3回転(33.1/3rpm)するのに対して、SPレコードは78.26回(78rpm)もの高速で回転するのです。

通常のアナログ盤がヴァイナル=V

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ピアニストと戦争〜ショパン国際ピアノコンクールと悲劇の女流ピアニスト

ピアニストと戦争〜ショパン国際ピアノコンクールと悲劇の女流ピアニスト

ショパンの祖国であるワルシャワで、第1回ショパン国際ピアノコンクールが開催されたのは1927年。
世紀の大ピアニストであるアレクサンドル・ミハウォスキ(1851-1938)をアイコンに、J.ジュラヴレフとZ.ジェビエツキの両教授が、ショパン演奏の更なる繁栄を掲げてのスタートでした。
もう一つの目論見として、ポーランド・ピアニスト達を世界に発信したい、という想いがあったはずです。しかし、実際に優勝し

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アヴァンギャルドな元ベルギー王女   マリー・アントワネット・オーセナック・ド・ブロイの奏でる嫋嫋たるショパンの一部始終

アヴァンギャルドな元ベルギー王女   マリー・アントワネット・オーセナック・ド・ブロイの奏でる嫋嫋たるショパンの一部始終

マリー・アントワネット・オーセナック・ド・ブロイ王女(Princess Marie-Antoinette Aussenac de Broglie, 20 July 1883 - 31 October 1971)という、ポルトガルの貴族出身のピアニストがいた。ジャック・ド・ブロイ王子と結婚したことによって、1933年に離婚するまでのおよそ7年の結婚の間、王女となった。

オーセナック・ド・ブロイは、

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日本とワルシャワのショパンの1949年

日本とワルシャワのショパンの1949年

「眞木先生の音は可愛く激しく、独特な世界が聞こえる。まさに現代にピッタリ!」(綾戸智恵/ジャズシンガー)

ショパン没後100周年である1949年。戦後4年、世界は戦争の惨禍からの復興の最中にありました。ナチスの侵略によって壊滅させられたショパンの故郷ポーランドのワルシャワでは、このショパンの記念的な年に、戦後初「第4回ショパン国際ピアノコンクール」を開催し新しい時代の幕開けを行いました。(このコ

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ラヴェルと左腕のピアニスト

ラヴェルと左腕のピアニスト

 パウル・ヴィットゲンシュタインは、実業家カール・ヴィットゲンシュタインとレオポルディン・マリア・ジョゼファ・カルムスの四男としてウィーンに1887年に誕生。第一次世界大戦中に負傷から右腕を失い、左手のピアニストとして成功を収めたことで知られています。また、高名な哲学者ルートヴィヒ・ヴィットゲンシュタインの兄にもあたります。

 当時、ウィーンの上流階級であったヴィットゲンシュタイン家には、ブラー

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ニコライ・オルロフ〜ロシアピアニズムの継承者

ニコライ・オルロフ〜ロシアピアニズムの継承者

帝政ロシアに生まれたニコライ・オルロフ(1882-1964)は、モスクワ音楽院でピアノをコンスタンチン・イグムノフに、作曲と対位法をセルゲイ・タネーエフに学んだ。ピアニストとしてデビューを果たした1912年には、作曲者自身の指揮でグラズーノフ「ピアノ協奏曲」の初演も務め成功を収めている。ロシアの同世代ピアニストであるネイガウス、ゴリデンヴェイゼル等は祖国に残りソビエト・ピアニストたちを育てたが、オ

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ショパンの孫弟子による伝説のノクターン

19世紀生まれのピアニストによる歴史的名盤⑤

ラウル・フォン・コチャルスキ(1885-1948, ポーランド )
ショパン「夜想曲第2番変ホ長調 作品9-2 (ヴァリアント付)」(1938年録音)

● ショパンの高弟カロル・ミクリにショパン伝統の継承者として育てられたサラブレットであるコチャルスキによる伝説的なSPレコード。聴き慣れないヴァリアント(装飾音)は、ミクリがショパン自身の演奏を聴い
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