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《七十二候》鴻雁来‥こうがんきたる


『鴻雁来‥こうがんきたる』
           10月8日から12日頃


二十四節気では『寒露』となりました。
朝晩冷え込み、草花に落ちた露が凍ってしまいそうになる頃を意味しています。

徐々に冷気が深まり秋澄む空を見ると
心ごと空へ溶け込んでしまいそうな気持ちに‥。




秋晴れ、秋日和‥
秋麗‥秋日陰、紅葉
菊日和、桐一葉‥花野‥。

秋を彩る言葉たちは暖色系であたたかく
ほんわかした気持ちを連れてきてくれるものが多いように感じます。


その反対にさみしさや憂いを感じたりするものも‥。


物思へば 色なき風もなかりけり 身にしむ秋の心ならひに

新古今集 源雅実



【現代語訳】
物思いに耽けながら身に沁みる秋の風に吹かれ
それを眺めていたら、風にも色が現れ心が動くようだ。




秋の風には「色無き風」の呼び名があります。
その由来として、中国の五行思想の中では



春は青(青春)
夏は赤(朱夏)
秋は白(白秋)
冬は黒(玄冬)とされており



秋の「白」から色がない=「色無き風」
と呼ばれていたようです。
古代中国では人生を季節に当てはめ
考えられていました。



そんな無色で
艶のないとされていた秋も‥


青春、朱夏を過ぎ
人生の後半に差し掛かる白秋の時も‥


何かを感じたり
誰かを思い浮かべることで
周りを包む風に色が帯びその色彩からまた心が動く‥。



秋の風にはそんな力が宿っているように
わたしは思うのです。





秋はあたたかさと切なさが
共存する季節。


どこかセンチメンタルなこの季節に
もう少し浸りたいな‥なんて思っている間に
すぐに寒い冬へと移り行くのでしょう。



昨今、春秋が短く夏冬が長く感じます。
地球温暖化が進んでいることで
感覚的に夏から秋を飛び越え、一気に冬へ移行したように感じた年もありました。



そんな中、今年は昨年より「秋」に触れる時間を持てているような気がします。

 

日本の四季折々の美しさは
後世に残していきたい宝物。

 

しかしこの先、二季化が進み10年、20年先の未来はどうなってしまうのでしょう。



さわさわ揺れる木の葉の音
カサカサ鳴る足元の落ち葉
夜長に響く虫の声‥。

日に日に色づく紅葉も‥。

 

無くしたくない
忘れたくない‥守りたい‥
と心から思います。




秋は色彩も美しく
様々な感情を連れてきてくれます。


自然からの声や音を心で感じたくて
カメラ片手に歩いていると



小さな秋がこんにちは。





秋を見つけるとホッコリします。


五感に触れるお散歩に出かけませんか。






さて、七十二候では「鴻雁来」

冬を南で過ごすため飛び立っていった
ツバメに代わり、遠いシベリアなどの地から
餌を求め雁が日本へやってくる頃となりました。


雁はカモ科の水鳥のうち
白鳥よりも大きく鴨よりも小さい鳥の総称で
マガン、ヒシクイ、シジュウカラガンなどです。


「マガン」photoACより



「ヒシクイ」photoACより



「シジュウカラガン」photoACより



数日前、わたしの住む鳥取県にある「米子水鳥公園」にマガンが飛来したという記事を新聞で見つけました。
今年はなんと昨年より10日も早く来てくれたとのこと。



秋の訪れを告げる初雁です。

 

休日になるのを待ち水鳥公園へ。




急に寒くなったこの日。
前日との気温は10度近くも違い
強風がビュービュー吹き荒れ


鳥たちも寒いね寒いねと寒さを凌ぐように身を寄せ合っているようでした。




ハクチョウや鴨、シロサギの姿は
確認できたのですが
この日マガンに会うことは叶わず。



がっかりするわたしに
水鳥公園のスタッフの方は興味深い鳥のお話をいろいろ聞かせてくださいました。


渡り鳥である雁たちは遠い国から
稲刈りのあとの二番穂、落ち穂などのエサを求め日本へやってきます。


これから冬にかけ増え続け水鳥公園に
最大600羽もやってくるそうです。



ちょうどこの時間は
隣の島根県にある宍道湖の方へ行き
餌を食べ夕方にはこちらに戻ってくるかもしれないですよ‥と。


そんな話を聞いている最中
「オシドリが来た!」との声。


どうやら、オシドリが初飛来したようで
スタッフさん達は望遠鏡を覗き込み
とても嬉しそう。


そしてまた数分後には
「チュウヒが来た!」と。

その度に、本当に嬉しそうに
望遠鏡を覗くスタッフさん達の様子は
鳥への愛に満ちていて‥。


わたしに話してくださる内容も
とても分かりやすく‥。
好きな鳥に囲まれて幸せですと
語ってくださった笑顔が印象的でした。




楽しい時間を共有させてもらいました。
水鳥公園のスタッフの皆様
ありがとうございました。また行きますね。




朝晩寒くなりましたね。
お身体ご自愛ください。












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