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マレーシアの私立大にマレー人はいない【マレー人優遇政策】

マレーシア留学91日目。

マレーシアは主にマレー系、中華系、インド系の民族で構成されていますが、僕は大学で人口の過半数を占めるマレー系の学生を見たことがありません。ぼくの大学だけではなく他の私立大学でもマレー人学生はかなり少ないはずです。

なぜかというとマレーシアではブミプトラというマレー人優遇政策が取られており、その一環で国立大学の定員に「マレー人枠」とその他の「非マレー人枠」が設けられています。マレーシア人の友人によると、例えばある国立大学の入学定員が120名だった場合、80名はマレー人に振り分けられ、あまった40人の枠を中華系やインド系などの生徒が争うそうです。なので成績が良ければ国立大学に入れるような簡単な話ではなく、結果として中華系やインド系のマレーシア人は私立大学に流れるというわけです。

国立大の学費は私立大の学費と比べて安く、レベルも全体的に国立のほうが高い傾向にあります。そのため国立の方が人気ですが、多くの非マレー系生徒は諦めざるを得ないという現状があります。
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中華系の生徒Aの偏差値が60でマレー系の生徒Bの偏差値が50だったとしてもBの方が入学できてAは落ちるということです。


そもそもなぜマレー人優遇政策が導入されたかというと、昔からマレーシアでは少数派の華人が富を独占していた状態でした。そんななか実施された1969年の総選挙で中華系の野党が躍進し、華人支配が経済だけではなく政治にも及ぶのではないかというマレー民族の危機感の結果、ブミプトラ政策の導入に至りました。
ブミプトラ政策とは?経緯から2024年の現状まで | マレーシア ビジネス情報サイト『CONNECTION』


国の発展を優先すればマレー人優遇政策は撤廃すべきだと思います。国会議員定数の4分の1を女性に割り当てるクオーター制もそうですが、本来選ばれるはずの人物が性別や民族を理由に選ばれないならば、それは「格差是正」「平等」の名の下に新たな格差や不平等を生んでいるのではないでしょうか。本当に大切にすべきは「公平性」で、公平な競争を経た結果なら受け入れるべきでしょう。

ただ民族間の問題は精神的な部分が核となっているためなかなか解消は難しいですし、自分もマレー人の立場になってみれば優遇政策を支持する気持ちも理解できます。

多民族共生国家のマレーシアですが、インド系は清掃や建設業に従事している人が多かったり、ホワイトカラーには中華系が多かったりなど民族間格差を感じる瞬間は多いです。

長い目でみればブミプトラ政策は緩和・撤廃の方向にありますが、総人口の7割近くをマレー人が占める現状では迅速な改革は難しいでしょう。

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