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詩をまとめました。
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記事一覧

天国

天国

霧の中にあの子が立ってた
ヘッドライトが頼りなくて見えなかったんだってさ
薬をやったのは私じゃないって!
頭が割れるほど痛いのに
どう誤魔化せってんだちくしょう

これが最後のチャンスだよ
はっぱかけてるわけじゃいよ
26なんて、ただのクソジジイじゃない
肺が腐って脳が爛れる
あの子はどこかへ行っちまいましたの
ね、どうか?

あの子の顔が思い出せない
指先が匂うね

ねえママ、クソと間違えて僕を

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どうにもならん

一体何度繰り返したらわかるんだ
体当たりの芸術は怠慢の隠れ蓑
ほら見てみろよ
懸命にもがいた跡なんて残ってないぜ?
お前は無頼派なんかじゃない
ロックなんかじゃない
これは芸術なんかじゃない
エンタメなんかじゃない
何の覚悟もなく吐き出した自業自得の文句の羅列

パクられた?思いついてた?僕がやってたさ
優秀で 天才で
天賦の才と好ましくない環境
糞溜めに産んでくれてありがとう!僕は稀代の、、、!

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帰り道

帰り道

私はあの子が嫌いだった

なのに思い出すのは前を歩くあの子の後ろ姿

あの子が指をさした先の世界

ファインダー越しのあの子の笑顔

必死に大人に近づこうとしたスクールバッグ

履き古したコンバース

黄色と黒のスケッチブック

ぬるくなったカルピスソーダ

私たちの周りにふく穏やかな風と

私たちを包むやわらかな西日

早く大人になろうと地面を蹴って

もつれて転んで繰り返す

あの子はいつだっ

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AM1:52

中途半端に大人になって
肝心なところは子供のままで
大事なことから目を背け続けて

素直に最高って思える作品に出会えて
いてもたってもいられなくなって
こんな鳥肌モノの台詞言えるのは深夜のせいってことで

ああもう生きたいのか死にたいのか分かんねえわ
廃人廃人廃人

中途半端だから
どっちつかずの無気力で
めんどくさがりなんて可愛らしい言葉じゃ片付かない救いようのないごみ
そんなんだから夢も人生も

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骸は濡れて

ガラス玉みたいな君の瞳を
えぐりだして飲みこんだ
冷たくなってく首筋を
冷たい両手で絞め続けた
終わらない
終わらない

吐き気がするくらいにうるさかった
蝉の声にみたされた帰り道
もう一度あの日からやり直せるかな
深夜2時の憂鬱を
目をつむってやり過ごそう

変わらない教室の
黒板に残る君の文字
柔らかな思い出を
柔らかな舌でころがした
なくならない
なくならない

息苦しいくらいにうるさかった

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人畜

底辺で浮かべる
開き直りの半泣き笑顔
アリ地獄の底で生まれた少年は
片目をえぐられ手足をもがれた
調教された畜生どもが産みおとす
お前の居場所はここしかない
よだれをたらしてふんぞり返る
にやけ顔の豚の王

醜イ豚ニ制裁ヲ
声高々に革命を
叫ぶ勇気はないけれど
人目につかない物陰で
しずかに怒りを育んだ

クサイキタナイキモチワルイ
ついぞ抱けぬ自尊心
鞭撻の跡が醜い少女は
失くした片目に復讐ちか

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夕立日記

子供のころに戻ったみたいなんだ
いい思い出なんてないはずなのに
花火の煙とシロップと
柔軟剤とシャンプーと
汗にぬれた後れ毛と
子供のころに戻ったみたいなんだ
いい思い出なんてないはずなのに

君が子供のうちに殺しておくべきだったかな
殺して食べちゃえばよかったかな
私の手を引く後ろ姿は変わらないはずなのにね
おいてかないでって泣くのはみっともないから
せめて後ろで束ねたその髪に
触れてるくらいは

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豚畜生

優しさにふやけた脳足りんどもが
日に日に増殖していきます
味方を気取った弱者もどきが
土足で荒らすあの子のお部屋
事あるごとの不幸自慢を
冷めた瞳でスクロール

てめえの正しさを押し付けねえでくださいな
憎しみと自己嫌悪だけが原動力なので
それでも世界は美しい?笑
何気ない日常の一コマで
簡単に心動かされちゃって
生きようと思った?
笑いを通りこしてかわいそうになってくるよ

弱者の中にもヒエラル

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着せ替え人形の彷徨

朝まだきの往還は、奥ゆかしい静けさに包まれていた。しとどなアスファルトから立ち込める独特の香りが鼻腔をくすぐる。浅春の冷たい風が前髪をゆらすたびにおでこに感じるくすぐったさになんとも言えない切なさを覚えた。肺腑にたまったどうしようもない侘しさも、この穏やかな静寂にひたされるうちに溶解していくようだった。と、後ろから荒々しく風を切る車の音が聞こえてきた。すっかり現実に引き戻されてしまった私は憮然と背

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メンヘラ君の慟哭

糜爛したきみの眼球がとけだしたとき、僕はようやく雨の美しさを知った。幾層にもかさねた肉厚の絵の具のように凝った赤黒い血を爪で削り取りながら、窓を打つ驟雨のリズムに目をつむる。放恣な生活を送り続けた僕を、明るい笑顔で見守り続けたきみのその嘘に、気づいていないわけじゃなかったよ。けど僕は怖かった。きみが向けてくれた純然たる愛に正面切って向き合うのが怖かったんだ。それは僕が今まで一度も触れたことも、向け

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機械人形の贖罪

錯雑としたおもちゃ箱をひっくり返したような町並みを抜け、砂浜に出た。乳白色の月明かりが照らすのっぺりとした海面。緩やかな波が慎ましく白浜を濡らす。高密度のかき氷みたいな砂の上を歩くたび、ぎゅっ、ぎゅっと音がした。侘しさすら感じなくなった僕は、海と浜の境界をおぼつかない足取りで進む。遠くにぼんやりとうかぶ小さな漁港は心許ない灯りのもと、ぽっかりとあけた口を静かな海に向けていた。随分まえに通り過ぎた居

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三千世界の私を殺して

海辺を逍遥している時だった。久しぶりに匂いを感じた。日焼け止めと、乾いた塩の香り。それが嬉しくて、十一個目のピアスを外して飲み下した。月のない星空。真っ暗な砂浜。数メートル先にぼんやりと佇む影を見た。K君の幽霊だと思った。月世界に行ってしまったK君を想い、もう少しでコンバースに触れる距離にうち寄せる波に一歩足を踏み入れた。海は海であることを強要されていた。私であろうとしたゆえに味わった苦しみを思い

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0:53

死の可能性を徹底的に排除した傷だけが増える腕。お気に入りのタトゥー達はしっかり避けてるところがまたなんとも。PCのファンの音が耳に障る。空っぽの会話を垂れ流しながら、何度読んだかわからない小説を開く。もうただの文字の羅列としか認識できないそれを目でひたすらなぞっていく作業に没頭する。脳みそを限界まで酷使したら眠れるだろうかと頑張ってみたけれど、そもそも頭を使ってないから疲れる訳なかった。仕方ないか

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エゴイスト

徹底的に嫌われるべきだった。最後の最後まで、僕は君の優しさに甘えたんだ。どんなに深い自己嫌悪も、君の優しさに接してしまえば鼻で笑えるくらいちんけなものになってしまう。そんな君の無制限の優しさに甘え続けた僕の罪ははっきり自覚しているけれど、受けるべき罰は結局与えられなかった。こんなことを言ってしまえるのも、まだ僕が君の優しさに甘えてる証拠だね。君はもっと人を恨むことを知るべきだったよ。だって君は今で

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