羅刹

羅刹になりきり不幸を喰らう
どうせ有限その他大勢
はき違えの個性で優劣つけようと
無我夢中で貪り尽くし
嚥下し消化し血肉にし
覚悟もないのに踏み入れた

ぬかるみ冷たく腐臭を放ち
気づいた時には空まで覆った
汚泥の天井光は届かず
目隠しされた百鬼夜行が
本能のままに踊り狂う
求め続けた退廃と
広げられた空洞で
羅刹になりきり不幸を喰らう

見知らぬ苦悩は羨望し
馴染んだ苦悩は忌み嫌う
羅刹になりきり不幸を喰らう
他人の不幸は蜜の味
自分の不幸も蜜の味

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