深く、深く

壊れるあなたを見てみたい
パンケーキみたいな甘い香りに包まれて
小さな幸せを謙虚に永続させて
パンケーキの油みたいにじわじわと
あなたの脳に侵蝕するそれは
脳のシワをいつのまにか溶かしちゃって
あなたは惰性の幸福を
それとしらずに食み続けるんだ
だからあなたに壊れてほしい
何十年もどんよりと輝き続けるよりも
一日だけ目も眩むほどの輝きを
蛍の光が綺麗なのって
きっとそういうことなんじゃないかな
あなたのきめ細やかな白い肌も
ふわりと漂う茶色の髪も
マシュマロみたいな唇も
柔らかな瞳のほのかな輝きも
全部わたしに壊させて

壊れるわたしを見てほしい
退屈に屈服寸前のわたしの瞳に
もう一度だけ明かりを灯して
わたし一人があがいても
甘い香りはぬぐえない
べとつく油はまとわりついて
わたしの毛穴のひとつひとつから
ゆっくりじっくり時間をかけて
それでも確実にわたしを侵している
だからわたしを壊してほしい
一人でここを抜け出すのは
きっと不可能だと思うし
何よりわたしはあなたが好きなの
それ以外の理由なんていらないよね
わたしはあなたを愛している
だからわたしの頼りない細い体も
冬の雨みたいに寒々しい黒髪も
言葉を外に出すことが億劫になった唇も
何を捉えてるのかもうわからない瞳も
全部あなたに壊してほしい

お願い、一緒に壊れよう?

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