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原典を読みながら環境・農業問題について考えてみる

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聖書や日本書紀、平家物語などを読みながら、「日本」について外国人に説明するにはどうしたらいいかとか、農村部の論理と都会人の論理がどう違うかと言ったことについてのヒントを考えていま…
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#大根

「ハキダメキク」は抜くべきか?他

「ハキダメキク」は抜くべきか?他

「鉄の古代史(奥野正男)」に岡山県の雄町遺跡から出土した食用植物種子のリストが載っています。

炭化籾、マクワウリ、スイカ等とならんで、エノコログサ、タデ、タカサブロウ、ハコベ、カタバミ、カナムグラなどの雑草種子も書かれています。

え?、タカサブロウ?、カナムグラ?、食用種子?

そんなものを貯蔵していたの?、カナムグラの種子をわざわざ?、一瞬目を疑いました。

よく読むと溝遺構出土とありました

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「紙」マルチによるニンジン栽培のテスト。地代は原価+手間賃で決まる価格とは別の原理で成り立っている件など

「紙」マルチによるニンジン栽培のテスト。地代は原価+手間賃で決まる価格とは別の原理で成り立っている件など

アダム・スミスは国富論の中で、賃銀と利潤は価格の原因だが地代は結果だとしています。

「地代」について、制度や政策と言うことを離れて考えてみると、確かに「労働」によって実現される価値とは違う性格を持っていることは確かです。

価格や価値と「労働」の関係ですが、アダム・スミスは「労働価値説」、つまり、労働があらゆる価値の源泉だとしています。

たとえば、僕が大根を育てて、1本100円である飲食店に卸

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タアサイは1-2月の「つなぎ」葉菜として位置づける

タアサイは1-2月の「つなぎ」葉菜として位置づける

「人間はつねに働いて生きてゆかねばならないし、彼の賃銀は少なくとも彼の生活を維持するのに足るものでなければならない。いや、たいていの場合、賃銀はこれよりいくぶん多くさえなければならない。そうでないと家族の扶養という事が労働者にとって不可能となり、職人達の家族は一代限りとなってしまうからである。

こうした理由からカンション氏は、最下層の労働者でも平均して二人の子供を育てるためには、自分自身の生活維

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近松門左衛門「五十年忌歌念仏」にみる栽培野菜リスト

近松門左衛門「五十年忌歌念仏」にみる栽培野菜リスト

近松門左衛門の「五十年忌歌念仏」に
農民・左治右衛門が

「大根時、綿時、瓜撒くは、茄子作るは、牛蒡畑、豆畑、粟よ、黍よ、麦を撒くぞ、赤らむぞ、田を植えては草を取る、穂が出れば刈りまする、籾になれば擦りまする、米になれば炊きまする、飯になれば食べまする」

と言うセリフが出てきます。

1707年に上演されたのだそうです。

かなり興味深いセリフです。

考察はおいおい・・・

2週間予報は、クリ

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鎌倉時代に育てられていた野菜はどんなものだったのでしょうか

鎌倉時代に育てられていた野菜はどんなものだったのでしょうか

昨日、鎌倉時代の家庭菜園面積で、当時の百姓屋敷が500平米程度との推定がある事を受けて、家屋が100-200平米とすると、垣根の内側の畑地面積は200平米程度ではなかったかと書きました。

これは当たらずと言えども遠からずだと思います。

ただ、農水省が1世帯の野菜を自給するための面積を30平米程度としている事を受けて、敷地内の菜園で麦や豆などの雑穀も栽培しているとすると、そこで収穫できる野菜・雑

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鎌倉時代の家庭菜園面積

鎌倉時代の家庭菜園面積

「日本中世の歴史1・中世社会の成り立ち(木村茂光)」に当時の「百姓」の家の面積についてのお話が出てきます。

60歩=6分の1反で約167平米、191歩は約530平米であるとのこと。
一方、備中国新見荘の有力百姓谷内氏の「屋敷指図」によれば、

こうした古文書の記録をもとに考えていくと、

と言うのが当時の百姓屋敷の様子だったようです。
建物面積を100-200平米程度で堀や垣根の面積もあるとする

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中世のカブと大根はどうだったのだろう?

中世のカブと大根はどうだったのだろう?

近松門左衛門の五十年忌歌念仏の農民・佐治右衛門のセリフには大根を育てていることは出てきますが、カブは出てきません。

もちろん、たまたまこのセリフに出てこなかっただけで当時の農民が育てていなかったと言うことにはなりませんが・・・

大根、カブと言うと、日本書紀では仁徳天皇の歌に大根が出てきます。また、古事記では仁徳天皇が青菜のスープを飲んだと言う記事がありますが、この青菜はカブのことだという説があ

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江戸時代前半、ナスとウリの評価

江戸時代前半、ナスとウリの評価

ものごと、何が書かれているかだけでなく、何が書かれていないかと言うことに注目するのも大切です。
近松門左衛門の「五十年忌歌念仏」の農民・佐治右衛門のセリフには、「ウリ」は登場しますが、「キュウリ」は出てきません。
「大根」は登場しますが、「カブ」や「ニンジン」は登場しません。
「河童の日本史(中村禎里)」によると、キュウリはナスより低級なものと考えられていたそうです。なお、同書によると我々が考えて

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野菜の種類ごとに寒波対策を取る

野菜の種類ごとに寒波対策を取る

近松門左衛門「五十年忌歌念仏」で農民・左治右衛門のセリフに出てくる栽培作物は、「大根、綿、藍、瓜、茄子、牛蒡、豆、粟、黍、麦、米」です。

分類すると、
野菜:大根、ウリ、ナス、ゴボウ
雑穀:豆(大豆)、粟、黍、麦

商品作物:綿、藍
になります。
引き続き、考察を続けようと思います。

2週間予報は、最低気温:12/19 -2℃、12/20 -2℃、12/21 -1℃、12/24 -1℃、12

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