介護の学び#17【経験を積み重ねることの素晴らしさ】
介護業界での20年近くの経験をもとに、学んだことについて投稿していきたいと思います。
今回のテーマは【経験を積み重ねることの素晴らしさ】です。
介護の仕事をしていると多くの方に出会いますが、高齢者介護では多くの人生の先輩に出会います。
お一人おひとり歩んできた人生は違いますが、どの方の人生も尊い人生であり、話を聞かせていただくことやその人生の一部に触れさせていただくことは非常にありがたいものです。
高齢者介護に携わる中で、人生の先輩方に非常に多くのことを学ばせていただきました。
そのような中で学んだことの一つに”経験を積み重ねることの素晴らしさ”がありました。
色々な経験をその場だけのものにせずに積み重ねていくと…
一部だけでなくより幅広い範囲を感じられたり考えることができたり、出来事の表面だけでなくより深いところまで察することができるようになるということです。
言葉や形として表れていないのに私が考えている以上に多くのことを察しておられたり、なにかが起こった時にも動じずに落ち着いて冷静に見る力であったり…
そしてこの経験は人としての【心の余裕】にも繋がります。
「亀の甲より、年の功」という言葉がありますが、まさにその言葉です。
年齢を重ねることで身体的には衰えていき、若い世代の人たちの方が身体的には動ける範囲が広くできることが多いように思えます。
確かにその考えもあるのですが、やはり直感などの感覚的なものや思考の深さ、イレギュラーに対しての心の動きや経験をもとにした判断においてはとても敵わないものです。
なぜそのようなことが出来るのか…それはやはり経験を積み重ねてきたからに他なりません。
皆さんにも「今まで多くの経験をしてきたからわかる」というものはあるのではないでしょうか。
また、経験をしてきたからこそ普段の何気ないものが美しく見えたり、とても価値のある素晴らしいものとして見れたりすることもあると思います。
「百聞は一見に如かず」という言葉が生まれた背景にも70歳を過ぎた中国の武将が関係しています。
年齢を重ねていくことは身体の活動能力としては衰退していくものですが、年齢を重ねて経験を積み上げていくからこそ手に入れられるものもたくさんあるんです。
それは人としての豊かさに繋がるものだと私は思います。
介護の仕事を通して学んだ【経験を積み重ねることの素晴らしさ】
ある利用者様の話です。
利用者様はいつも穏やかで一緒に時間を過ごすと安心するような、非常に温かい方でした。
ユーモアもあり、非常に気さくな方で職員ともよく話をしていました。
認知症の診断はなく、脳梗塞による半身まひはあるものの日常生活の大半をご自身の意思と判断で過ごされており、介助も特に要する方ではありませんでした。
そんなある日、人事異動があって間もない頃の話です。
新しく着任した一人の医療関係者がその利用者様に健康状態についてと服薬に関する話をした時のことです。
医療関係者は頭ごなしに話をして、利用者様の話を聞くというより淡々と事実説明と今後についてを順番に伝えるというようなやり取りを交わして説明を終えました。
合間に何度か利用者様が話しかけようとしたり、説明の内容に対して冗談を言ったりと場を和ませるような話をしても…
「忙しいのでその話をしている暇はないです。またいつか話しましょう」「〇〇さんは冗談がお好きなんですね。それだけ元気ということで…」
といった具合です。
同席した他の職員からしても、淡々とし過ぎているというか、そのやりとりはあまりにも…という内容でした。
確かに敬語であり間違っている内容でもなく、完全に相手を馬鹿にしたような対応ではありません。
しかし、雰囲気や空気感を考えると、気分が良いものかと言えば決してそうではありません。
どちらかと言えば、むしろ「あんまりだ…」と思われても仕方ないようなやり取りだったという報告を受けました。
気分を害するようことになっていないかと気になり、私はすぐにその利用者様のところに行きました。
すると、その利用者様は「全然いいんだよ。気遣ってくれてありがとう」と笑いながら続けざまに話をしてくれました。
………
あの人は何も悪くない、事実を言っただけ。
私は営業の仕事や比較的大人数の会社にいたから、たくさんの人と出会ってきて、その中で色んな人がいるとうことを学んだよ。
自分とは何か違うという理由だけでは特に問題なんてならない。
数分もムダに出来ないような忙しい仕事の人もいれば、嫌でも事実だけしか会話できないような立場の人もいる。
世の中にはいろんな人がいる。
ここに居られて、時間がきたらごはんも食べられる、何か体調に不安があれば看てくれる人がいる。
前みたいに急に倒れても気づいてくれる日人がいる。
それだけでも十分有難い。
僕は平気だし何とも思っていないから、気にしないでね。
………
この時私はとても申し訳ない気持ちと同時に【経験を積み重ねることの素晴らしさ】を学びました。
きっとその利用者様は人生でたくさんの様々な経験をしてきたからこそ、心に余裕があったり、人の思いや立場を汲むような思考が持てるのだと感じました。
人間的な魅力を感じたのは言うまでもありません。
人は年齢を重ねるごとに木の年輪が増すのと同じように、太くたくましくなっていくのではないかと思います。
年輪はその年ごとの気候などによって厚さは変わり、木が経験したものが年輪になって表れるそうです。
樹齢が長い木は年輪が多く、年輪を知ることでその年代を予測したり気候変動の今までを予測したりする材料になる…という内容です。
木は年輪によって予測の材料になりますが、私たち人は、人と人とのやりとりや、今回のようなやり取りの中で今までの経験が予測出来たり見えるものなのかもしれません。
自分も今からの人生の中でたくさんの経験を積み重ねられるような人になりたいと感じました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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