sae@映画ソムリエ

年間120本映画館で最新映画見るのが趣味の会社員(ジャンル問わず。ただしホラー除く)。…

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年間120本映画館で最新映画見るのが趣味の会社員(ジャンル問わず。ただしホラー除く)。ネタバレなしでおすすめ映画をご紹介します。Amazonアソシエイトに参加中。

記事一覧

映画感想文「貴公子」韓国映画のパワーは凄い。見て損はない娯楽の王道な作品

スカッと痛快な作品。 スーツをビシッと着こなし、いつもスマートでにこやかな貴公子(キム・ソンホ)、最高。 プロの殺し屋を名乗る。カッコいいんだか、抜け作なんだか…

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映画感想文「悪は存在しない」濱口竜介監督の最新作。度肝を抜く、それでいて普遍性ある作品

知ってる俳優さんは皆無。 これ、濱口竜介監督の作品でなければ選ばなかった。それがブランドってことだ。この作品には、きっと心動かす何かがあるはず。だって濱口監督だ…

映画感想文「再会長江」10年前に訪ねた長江6300Kmを再び辿るドキュメンタリー。人々の変化が尊い

なんともよくできたドキュメンタリーである。 真っ青な空。鏡のようにそれを映す湖。聳え立つ山々。ドローンが映し出す空からの景色。正に絶景。中国の雄大な自然の美しさ…

映画感想文「マリウポリの20日間」戦争の無意味さを痛切に伝えるドキュメンタリー映画

報道の価値を感じるドキュメンタリー映画。 ウクライナの主要都市マリウポリ。2022年5月からロシアの支配下にあるこの街が陥落するまでの20日間を取材した映像。 ウクラ…

映画感想文「リバウンド」笑って泣ける韓国映画。弱小バスケチームの頑張りが沁みる

号泣レベルに泣いた。 これが実話だなんて。 舞台は韓国の釜山。学校のお荷物となっていた高校バスケットポールチーム。部員はたった6人。そこに選手としてもぱっとしな…

映画感想文「辰巳」ハードボイルドなヤクザ映画。紅一点の森田想の好演光る。余韻残る作品

いやー、良かった。 緊張するシーンの連続。終わるまで、ずっと肩に力入ってたハードボイルド作品。 裏社会で生きる男達のしょうもない内輪揉め。からの、無意味な殺し合…

映画感想文「異人たち」山田太一版のリメイク。あらすじ同じながら、表現の違いが興味深い

もう40年近く前なのかと驚く。 山田太一原作の「異人たちの夏」。風間杜夫演じる中年になった息子が幼い頃に亡くなった父母に遭遇するという、ホラーなんだか人情ものなん…

映画感想文「SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’ THE FINAL」今をときめく若者の勢いを堪能

搾取していないか、気になる。 歌手や俳優やミュージカルスター。男女問わず、いずれも若者が多い。懸命なパフォーマンス、時に余裕ないくらいのまっすぐな向き合い方。そ…

映画感想文「陰陽師0」山崎賢人の無駄遣い、感が否めない作品。彼はもはや別次元なのか

山崎賢人の無駄遣い。 としか思えなかった作品。 平安時代。宮廷に仕える陰陽師。その1人として実在した安倍晴明(山崎賢人)。彼が都に渦巻く陰謀、呪いをするすると解…

映画感想文「ブルーロック episode凪」少年の覚醒がリアル。人が一皮剥ける瞬間描くお仕事映画でもある

間違えて席予約した映画。 本当に申し訳ないが、ブルーピリオドと間違えた。ブルーしか一緒じゃないけど。どちらも漫画の映画化ってことで混同した(ちなみにブルーピリオ…

映画感想文「あまろっく」ベタだが配役の勝利。ほろりとさせる、尼崎の家族の物語

結末見える、ベタベタなストーリー。 しかも舞台は兵庫県尼崎市。苦手な関西もの。 途中で眠くなるかも、と危惧したが、なんと最後まで飽きなかった。そして不覚にもほろ…

映画感想文「小さいおうち」松たか子の庶民性と掴みどころのなさの両方が堪能できる、秀作

松たか子という女優が好きだ。 どこにでもいそうな庶民性がありながら、どこにもこんな人はいない。大女優でありながら庶民性も出せる唯一無二の存在。 しかも演技がめち…

映画感想文「メメント」凄い映画だが好きとは限らない。クリストファー・ノーラン監督作品

めちゃくちゃ面白い映画なんだよ。と熱く力説され、観た。 「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン監督の作品。 もう20年前のことなのか。公開日を確認して悟る…

映画感想文「プリンセス・ダイアナ」人生は二項対立で成り立ってると痛感するドキュメンタリー映画

食い入るように、テレビに見入ったのを覚えてる。 生まれて初めてみた。あんなに長いベール。真っ白で何メートルも延々と続いてた。厳かな気持ちになった。 そして金髪で…

映画感想文「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」喪失が人を成す残酷さを思う

人生で後悔していることは、子供を持てなかったこと。 そう語る、南米ウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカのドキュメンタリー映画。 貧困家庭に生まれ、長じては社会主義…

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映画感想文「ランディ・ローズ」25歳で夭折した伝説のギタリストのドキュメンタリー。ひたすら切ない

真実は小説よりも奇なり。 しみじみそう思った、あるギタリストのドキュメンタリー映画。 ロックには疎い。従って「25歳で夭折した伝説のギタリスト」ランディ・ローズの…

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映画感想文「貴公子」韓国映画のパワーは凄い。見て損はない娯楽の王道な作品

映画感想文「貴公子」韓国映画のパワーは凄い。見て損はない娯楽の王道な作品

スカッと痛快な作品。

スーツをビシッと着こなし、いつもスマートでにこやかな貴公子(キム・ソンホ)、最高。

プロの殺し屋を名乗る。カッコいいんだか、抜け作なんだか、わからん感じが良い。そしてどんな時も甘い笑顔。得体の知れない感じがサイコチック。その謎が物語を最後まで引っ張る。

この絶妙なバランスがうまい。

向かうはプロボクサーのマルコ(カン・テジュ)。貧しい青年のガツガツさ、ばっちり出てた。

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映画感想文「悪は存在しない」濱口竜介監督の最新作。度肝を抜く、それでいて普遍性ある作品

映画感想文「悪は存在しない」濱口竜介監督の最新作。度肝を抜く、それでいて普遍性ある作品

知ってる俳優さんは皆無。

これ、濱口竜介監督の作品でなければ選ばなかった。それがブランドってことだ。この作品には、きっと心動かす何かがあるはず。だって濱口監督だもん、という信頼感。

きっと私みたいな動機だろう。上映館少ないこともあり、劇場はほぼ満席。

途中まで、和やかに、時にユーモアも交え物語は進む。あー、こういうのよくある話だ。という同調感を呼び覚ます設定と数々の人々のやりとり。あるよねー

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映画感想文「再会長江」10年前に訪ねた長江6300Kmを再び辿るドキュメンタリー。人々の変化が尊い

映画感想文「再会長江」10年前に訪ねた長江6300Kmを再び辿るドキュメンタリー。人々の変化が尊い

なんともよくできたドキュメンタリーである。

真っ青な空。鏡のようにそれを映す湖。聳え立つ山々。ドローンが映し出す空からの景色。正に絶景。中国の雄大な自然の美しさに言葉もなく圧倒される。

長さ6300Kmの長江。河口の上海からチベット高原の源流まで。10年前と同じ行程を日本人監督の竹内亮氏が再び辿る。今回は当時出会った人々を訪ね歩くも含まれる、再会の旅だ。

広大な中国。道中には様々な文化を持つ

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映画感想文「マリウポリの20日間」戦争の無意味さを痛切に伝えるドキュメンタリー映画

映画感想文「マリウポリの20日間」戦争の無意味さを痛切に伝えるドキュメンタリー映画

報道の価値を感じるドキュメンタリー映画。

ウクライナの主要都市マリウポリ。2022年5月からロシアの支配下にあるこの街が陥落するまでの20日間を取材した映像。

ウクライナ生まれのAP通信の記者。自らも危険を顧みず、この惨状を世界に伝えねばとロシアに攻められる戦地に残った。

爆撃で破壊される民家。なんの罪もないのに一瞬にして次々亡くなる一般人。生きながらえても、手足を失ったり大怪我を負う。ロシ

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映画感想文「リバウンド」笑って泣ける韓国映画。弱小バスケチームの頑張りが沁みる

映画感想文「リバウンド」笑って泣ける韓国映画。弱小バスケチームの頑張りが沁みる

号泣レベルに泣いた。

これが実話だなんて。

舞台は韓国の釜山。学校のお荷物となっていた高校バスケットポールチーム。部員はたった6人。そこに選手としてもぱっとしなかった未経験コーチが就任。

寄せ集めの選手達は当然、全員ノンエリート。更にそれぞれが事情を抱え、なかなかまとまらない。

コーチも覚束なく、間違った指導を繰り返す。

そんな風に、互いに失敗ばかり。それでもバスケが大好きという気持ちだ

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映画感想文「辰巳」ハードボイルドなヤクザ映画。紅一点の森田想の好演光る。余韻残る作品

映画感想文「辰巳」ハードボイルドなヤクザ映画。紅一点の森田想の好演光る。余韻残る作品

いやー、良かった。

緊張するシーンの連続。終わるまで、ずっと肩に力入ってたハードボイルド作品。

裏社会で生きる男達のしょうもない内輪揉め。からの、無意味な殺し合い。強面の人相悪い俳優さん達がたくさんでていて、いずれも好演。それゆえか、現実もこんな感じなんだろうなと思わせる妙なリアリティがあった。

主人公の一匹狼のヤクザ辰巳(遠藤雄弥)。様々な局面で何を選択するか、葛藤していく時の苦渋の表情が

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映画感想文「異人たち」山田太一版のリメイク。あらすじ同じながら、表現の違いが興味深い

映画感想文「異人たち」山田太一版のリメイク。あらすじ同じながら、表現の違いが興味深い

もう40年近く前なのかと驚く。

山田太一原作の「異人たちの夏」。風間杜夫演じる中年になった息子が幼い頃に亡くなった父母に遭遇するという、ホラーなんだか人情ものなんだか、というストーリー。

さすがにリアルタイムで映画館では観てない。しかし原作は読んだし、テレビで放映されたのを観てしんみり泣けたのをおもいだす。

片岡鶴太郎と秋吉久美子が演じた昭和のお父さんお母さん。言葉はぶっきらぼうながら息子へ

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映画感想文「SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’ THE FINAL」今をときめく若者の勢いを堪能

映画感想文「SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’ THE FINAL」今をときめく若者の勢いを堪能

搾取していないか、気になる。

歌手や俳優やミュージカルスター。男女問わず、いずれも若者が多い。懸命なパフォーマンス、時に余裕ないくらいのまっすぐな向き合い方。それらを微笑ましく観ながら、ちょっと羨ましいと思いながら、彼らから活力をもらう。

それって搾取ではないのか。

おじさんが若い女の子をみて鼻の下を伸ばすのと、何が違うのか。

たぶん、広義な意味で同じだ。

コンビニで、飲食店で、若者にテ

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映画感想文「陰陽師0」山崎賢人の無駄遣い、感が否めない作品。彼はもはや別次元なのか

映画感想文「陰陽師0」山崎賢人の無駄遣い、感が否めない作品。彼はもはや別次元なのか

山崎賢人の無駄遣い。

としか思えなかった作品。

平安時代。宮廷に仕える陰陽師。その1人として実在した安倍晴明(山崎賢人)。彼が都に渦巻く陰謀、呪いをするすると解いていく、ヒーロー物語。原作は夢枕獏。

華がある。美しい。体のキレがよい。

と、三拍子そろった山崎賢人。何を演じようが、見目麗しく安定感あり。

本作もそこそこ面白い。

悪い作品では決してない。だが、主演が山崎賢人である必然性が感

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映画感想文「ブルーロック episode凪」少年の覚醒がリアル。人が一皮剥ける瞬間描くお仕事映画でもある

映画感想文「ブルーロック episode凪」少年の覚醒がリアル。人が一皮剥ける瞬間描くお仕事映画でもある

間違えて席予約した映画。

本当に申し訳ないが、ブルーピリオドと間違えた。ブルーしか一緒じゃないけど。どちらも漫画の映画化ってことで混同した(ちなみにブルーピリオドは8/9公開で実写で映画化。主演は眞栄田郷敦)。

映画館に辿り着きはじめて、間違いに気付く。

なんだか若い女子ばかり。そして親御さんと一緒の子供たち。

あれ?ブルーピリオドって、もう少し年齢上の映画じゃなかったっけ?と戸惑う。そこ

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映画感想文「あまろっく」ベタだが配役の勝利。ほろりとさせる、尼崎の家族の物語

映画感想文「あまろっく」ベタだが配役の勝利。ほろりとさせる、尼崎の家族の物語

結末見える、ベタベタなストーリー。

しかも舞台は兵庫県尼崎市。苦手な関西もの。

途中で眠くなるかも、と危惧したが、なんと最後まで飽きなかった。そして不覚にもほろりとさせられた。これは江口のりこの演技のおかげ。やっぱりうまい。

小さい頃から頑張り屋。融通の効かない真面目女子の優子(江口のりこ)。成績優秀だが、クラスメイトからは煙たがられてる。長じても会社で優秀な社員である証の全社表彰を受ける。

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映画感想文「小さいおうち」松たか子の庶民性と掴みどころのなさの両方が堪能できる、秀作

映画感想文「小さいおうち」松たか子の庶民性と掴みどころのなさの両方が堪能できる、秀作

松たか子という女優が好きだ。

どこにでもいそうな庶民性がありながら、どこにもこんな人はいない。大女優でありながら庶民性も出せる唯一無二の存在。

しかも演技がめちゃくちゃうまい。どこにでもいる人の得体の知れない謎めいた感を出すのが秀逸すぎて毎回唸る。

彼女が演じる奥様の庶民性と謎めいた感じの両立が素晴らしい。

そんな彼女の本領発揮の映画がこれだ。ぜひ観てほしい秀作である。

映画感想文「メメント」凄い映画だが好きとは限らない。クリストファー・ノーラン監督作品

映画感想文「メメント」凄い映画だが好きとは限らない。クリストファー・ノーラン監督作品

めちゃくちゃ面白い映画なんだよ。と熱く力説され、観た。

「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン監督の作品。

もう20年前のことなのか。公開日を確認して悟る。

当時、確かに斬新だった。それまでなかった、謎解きだらけの映画。

だけど面白いかもしれないけど、好みではなかった。

何しろ、登場人物が信頼できない奴ばかり。主人公は自分だけを信じて復讐に燃えている。気が滅入ることこの上ない。

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映画感想文「プリンセス・ダイアナ」人生は二項対立で成り立ってると痛感するドキュメンタリー映画

映画感想文「プリンセス・ダイアナ」人生は二項対立で成り立ってると痛感するドキュメンタリー映画

食い入るように、テレビに見入ったのを覚えてる。

生まれて初めてみた。あんなに長いベール。真っ白で何メートルも延々と続いてた。厳かな気持ちになった。

そして金髪で碧眼。まさにお姫様な完璧な容姿。

不幸が入り込む余地なんて全く見えなかった。おとぎ話のようなシンデレラストーリー。

そんなダイアナ元皇太子妃のドキュメンタリー。

彼女の人生は、皮肉だ。皇太子妃になったからこそ、彼女は力を持ち、多く

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映画感想文「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」喪失が人を成す残酷さを思う

映画感想文「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」喪失が人を成す残酷さを思う

人生で後悔していることは、子供を持てなかったこと。

そう語る、南米ウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカのドキュメンタリー映画。

貧困家庭に生まれ、長じては社会主義に理想を抱き、左翼ゲリラとして活動。

銀行を襲い、その富を貧しい人々に分配するなど、主義主張のためとはいえ、数々の犯罪を重ねる。

4回逮捕され、うち2回脱獄。

30代から40代にかけ、十数年間を刑務所で過ごす。ゲリラ仲間の彼の妻も

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映画感想文「ランディ・ローズ」25歳で夭折した伝説のギタリストのドキュメンタリー。ひたすら切ない

映画感想文「ランディ・ローズ」25歳で夭折した伝説のギタリストのドキュメンタリー。ひたすら切ない

真実は小説よりも奇なり。

しみじみそう思った、あるギタリストのドキュメンタリー映画。

ロックには疎い。従って「25歳で夭折した伝説のギタリスト」ランディ・ローズのことは全く知らなかった。

才能に恵まれ、幼い頃から公園でギターを奏でればあっという間に沢山の人が集まったというカリスマ性。

オフにも、もっと上手くなりたいと練習を重ね、更にクラッシックも学んでいたという向上心。

70年代の米国に

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