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五行歌集『ストライプ』(市井社)のあとがき
自費出版みたいな、共同出版みたいな曖昧な形で出した五行歌集『ストライプ』(市井社 2004 共著 絶版)のあとがきを、ここに残しておこうと思う。
これを書いた16年後に、初めての商業出版本となる『猫のいる家に帰りたい』(辰巳出版)を出すことになったのだけれど、気持ちとしては、このあとがきの気持ちに近いから、残したいと思ったのだ。
多分、缶けりの「缶」を作ったのだと思う
缶けりが好きだった。
チカイチバ、トオイチバ
突然、その市場のことを思い出したのは、今が夏だからかも知れない。思い出す場面は夏に限らないけれど、夏は子供のころを思い出すことが多い。
中学2年まで住んでいた町には、「市場」があった。
市場といっても、錦市場や黒門市場のような規模ではもちろんなく、卸売市場の類のものでもなかった。長さにすると、100~200mくらいだろうか。八百屋から駄菓子屋、おもちゃ屋や金魚屋まで、こじんまりしたお店が
死のないところに立たない煙
※2010年の年末に書いた文章です。
よく皿が割れた年だった。
年の前半からバタバタと忙しかった。
家を離れて、単身で大阪や広島に長期出張していた時期も多かった。
8月のお盆辺りだっただろうか。
妻に「今年は仕事しかしてない年だな……。年末に今年の10大ニュースを振り返ったら、『僕おも※』の公開収録が間違いなく1位だよ」と話すと、妻は「いいじゃん、公開収録は大ニュースだよ!」と笑いながら答え
通りすがりの街はオレンジだった
坂出駅に着いたのは夕方だった。旅行で通りかかっただけの僕達は、その街の空気から少し浮いていた。
小1時間くらいだろうか。みやげ物屋や、商店街を見てまわり、また駅前に戻ってきた。
平日の夕方の駅前には、高校生の姿がやけに目につく。多分僕とは全然違った風景の中で、高校生活を送っているんだろうと考えていた。
ふと見上げた高架の駅が、夕日でオレンジ色に染まっている。なんだか眠たくなるような空間だっ