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成人の日に思う - 「人は変われるのか?」と考えるときに思い出す話:エネルギーを注ぐ方向性

「先生、私コルカタに行ってきたよ。」

9年前の今日、教師として卒業生の成人を祝っていました👘

当時、成人の日に卒業生が学校に集まるというイベントがありました。

女子校に勤務していましたので、カラフルな着物を来た大学生が100人以上集まった様子には圧倒されていました。

(化粧をしまくって全く顔が変わった生徒に「私の名前覚えてる?」と試されるのが一番怖かった。。笑)

しばらくすると、一人の教え子が寄ってきました。

「コルカタ?」何のことか、始めはさっぱりわかりませんでした。

秘密基地設立の首謀者

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その生徒が中2の時、友達と一緒に学校内に秘密基地を作って問題になるということがありました。

今なら「面白いじゃん」と思いますが、当時の先生たちの間では大問題だったようです。

派手めな生徒から、優等生の生徒まで幅広く影響力のある生徒で、ベテランの先生もどうしたら良いか頭を抱えていたようでした。

職員会議でも話題になり、要注意生徒の一人でした。

私が英語を教えることに

激変する社会で学校現場で生徒と向き合うナカちゃんさん

私が教師になって2年目の時、高校一年生のその生徒に英語を教えることになりました。

「あの子には気をつけてね。」

ベテランの先生からの伝言も預かっていました。

秘密基地設立から2年は経っていたので、何も知らないふりをしてフラットに関わりました。

どうやら当時の中2の時の英語の先生への反発の気持ちで作った秘密基地だったようです。本人の英語は中学生の内容も理解できていないレベルでした。

私は新卒で英語の教師になったので、相当意気込んで
「最後のチャンス!中学やり直し英語」という名で、
やりたい生徒を授業後に集めて教えることにしました。

参加については半信半疑でしたが、彼女は初日から参加し続けました。

気づけば夏休み以降まで残った2人のうちの一人でした。

キティちゃんやスヌーピーの「できました」ハンコをもらうのが楽しみだったようです。

高校3年生のある日

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その生徒が職員室に入ってきて、何やら言いたそうでした。

「高1の英語の教科書のコピーが欲しいんだけどもらえる?マザーテレサのやつ。」

どうやら、当時松坂屋で開催された「マザーテレサ展」に行ってきたそうでした。

とても感動したようで、主催者の方とも直接話し、連絡先も入手するという積極ぶりでした。

これがきっかけで、昔の英語の教科書にあったマザーテレサの話をもう一度読みたくなったとのことでした。

その生徒も無事に卒業ができ、大学は言語学系の学部に進むことになりました。

9年前の今日 - 2012年の成人の日

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2012年の成人の日です。

100人以上の成人が全員着物で学校の一室に集まり、
異様な空気が漂っていました👘

私は立ち位置に困り、部屋の角でいつでも逃げて帰れる準備をしていました。笑

「先生!」

後ろから呼ばれました。

「しまった、見つかった!」と思って振り返ると、
その生徒が着物姿で立っていました。

私:「おー!久しぶり。元気か?成人おめでとう。すっかり大人だなー。」

生徒:「ありがとう。私ね、コルカタ行ってきたよ。」

私:「コルカタ?どこだっけ?」

生徒:「インドだよ。マザーテレサの『死を待つ人の家』にどうしても行きたくて、バイト代貯めて行ってきた。あの時の英語の授業、今でも覚えてるよ。」

本当に圧倒されたとき、人は言葉を失うんだと気づかされました。

心から圧倒され、あまりの感動ですぐに言葉が出ませんでした。

最後に - エネルギーを注ぐ方向性

「人は変われるのか?」

という問いについて、あらゆる場面で考えることがあります。

この問いについて考えるとき、私はいつもこの話を思い出します。

変われるかというよりも、エネルギーを注ぐ方向性の軌道修正ができるかではないか。

人は好きなことや熱中していること、どこかにエネルギーを注いでいるかと思います。

だからこそ、こう思って人と接するだけで意外と周りのやる気のスイッチが入ることがあるかもしれません。

秘密基地を作ったエネルギーをほんの少し軌道修正するだけで、こんなことになるのかと感動しました。

高校一年生の英語の教科書がきっかけで、数年後に自分でバイト代を貯めてインドのマザーテレサの『死を待つ人の家』に行く。

教師の仕事は大変なことも多かったですが、この経験ができただけでもやって良かったと思える体験です。

偶然かもしれませんが、この経験は一生の宝物となりました。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。 (1)
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