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「食後2分間」の散歩は糖尿病の「リスクを下げる」

昔は「成人病」と言われていた病気が、今は「生活習慣病」と呼ばれるようになっています。理由は、大人だけではなく、子供にもかかることがあることから1996年に変更されました。要するに、名前の通り、生活習慣が原因で引き起こす病のことです。

生活習慣病は、今や健康長寿の最大の阻害要因となるだけでなく、国民医療費にも大きな影響を与えています。その多くは、不健全な生活の積み重ねによって内臓脂肪型肥満となり、これが原因となって引き起こされるものですが、これは個人が日常生活の中での適度な運動、バランスの取れた食生活、禁煙を実践することによって予防することができるものです。

厚生労働省 生活習慣病予防

今日はとても興味深い、糖尿病でなくても、いつかはかかってしまうかもしれない病のひとつとして知っておきたい記事を紹介しましょう。

食後の散歩は糖尿病の合併症の減少につながる
「糖尿病の患者さんにおいては、食後にウォーキングなどの適度な運動をすることが血糖値をよりコントロールすることにつながり、長期的には糖尿病の合併症の減少につながる可能性があります。

この文章において気になったのは「糖尿病の患者さんにおいては・・・」というくだりです。健康な人ではなく、すでに糖尿病にかかっている人の場合、ということで書かれています。こういう所を見落とすと、間違った解釈をしてしまうことになりますので注意したいですね。

7つの研究のうち2つは、糖尿病の有無を問わない参加者を対象としたもので、残りの5つは、糖尿病の既往のない被験者を対象としたものである。

なんだか分かりにくくないですか? 7つの研究をしたそうですが、そのうち2つは「糖尿病の有無を問わない」ということは、糖尿病患者が何割入っていたのかが未知です。「既往のない被験者」とは、糖尿病にかかったことのない人、という意味です。また、最初の方を「参加者」と呼び、後の方を「被験者」と呼んでいます。なんだか、言葉でごまかされているような気がしてなりません(笑)こういう考えすぎなところが、私の個性だと思って読んでくださいね(笑)

特に、食後60~90分以内(血糖値がピークに達する時間帯)の歩行は、座ったり立っていたりする場合と比較して、より緩やかな血糖値の変化との関連がみられた。このことは、血糖値の急激な変動を避けたい糖尿病予備軍や糖尿病患者にとって良い知らせである。

文中にある「60分から90分」という時間帯に注意しながら、下のグラフをご覧ください。糖尿病の人は、この時間帯ではまだ上昇中にあり、ピークに達していません。一方、食後高血糖の人は、ピークから下がりかけたところです。そして健康な人は、ちょうどピークです。

糖尿病ネットワークより

このことから考えると、確かに60~90分くらいに軽い運動することは効果があるように感じます。でも、もしかしたら、30~60分の間に行った方が、効果が高いのではないかと、私は勝手に推測してしまいますけどね。しかし、記事にはこのように書いてありました。

最適なタイミングは食後1時間から1時間半で、これは血流中の血糖値がピークに達する時間帯です。

「血糖値のピークが、食後60~90分に達する」と書いてありますが、上のグラフでは、ピークは150分前後です。ズレがありますよね。記事による研究は、たぶんアメリカです。上のグラフはテルモ社なので、たぶん日本です。人種による違いはあるはずです。また研究の仕方によっても違うことでしょう。

そしてもう一度、文中に目をやりますとこう書いてあります。

糖尿病の患者さんにおいては、食後にウォーキングなどの適度な運動をすることが血糖値をよりコントロールすることにつながり、長期的には糖尿病の合併症の減少につながる可能性があります。

最初から言っていますが、これらは糖尿病患者の話です。健康な人に対応した話ではないということになります。

しかし、生活習慣病は誰にでも起こりえる病気です。いつ運動するのが良いのかというタイミングばかり気にするのではなく、運動することそのものが一番大事だと私は考えます。この記事によって、運動習慣ができるようになったのなら、それでOKな話ではないでしょうか。ただ、タイトルの「食後2分間の散歩」だけ読んで、「食べてすぐ散歩しなくちゃ!」と、早合点しそうな紛らわしい言葉になっているところも注意したいですね。

サポートしたいと思われるくらいまで頑張って書きますので、今はシェアかコメントをいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。