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源泉徴収票の見方〜税金の根拠を理解すること〜

本日は源泉徴収票の見方についてお伝えします。

そもそも「源泉徴収」って何というところから
始めていきます。

源泉徴収とは会社が従業員へ給料を支払う際に、
国に支払う所得税などを差し引いて給与支払い
をしてくれる制度のことです。


また、その源泉徴収がどうであったかということ
を記載しているものが「源泉徴収票」です。

源泉徴収票には、1月〜12月の1年間の収入と
納付した所得税額や各種所得控除の内訳などが
記載されています。

所得税のみですので、住民税については6月頃
に通知される「住民税決定通知書」で判明する
ことになります。

住民税決定通知書については過去記事も参考
にしてください。

そのため、源泉徴収票は年間の収入の所得税額
が分かる通信簿のようなものとご理解ください。

年間収入が確定した段階で発行となりますので、
多くの場合は1月以降に会社にて発行されるか
と思います。

年明けにこのような1枚ペラ紙をもらった記憶が
ある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

出典:国税庁 [手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)


では、この源泉徴収票でどのような情報が分かる
のでしょうか。

源泉徴収票から読み取れるポイントをいくつか
ご説明したいと思います。
※上記画像を見ながら確認してください

・支払金額

この支払金額という欄は「年収」を指します。

これは手取りではなく、総支給された「額面」
の金額です。

そのため、会社から1年間にいくら給与が
支払われたのかが把握できます。

手取りと額面は過去記事もご参考ください。


・給与所得控除後の金額

税金の1つとして所得税がありますが、総支給
の額面金額に丸々税金がかかるのではなく、
各種所得控除できる金額を控除した後の金額
に対して税金はかかります。

その1つとして「給与所得控除」があります。

控除できる金額は下記のようにテーブルごとに
分かれています。

出典:国税庁 No.1410 給与所得控除

例えば、年収が5,000,000円という方であれば、
3,600,001円〜6,600,000円のテーブルに該当
します。

そのため、計算としては、

5,000,000円 × 20% + 440,000円
=1,440,000円(給与所得控除額)

5,000,000円 − 1,440,000円=3,560,000円

となります。
この3,560,000円が給与所得控除後の金額
として表示されます。

よって、いくらの給与所得控除が得られたか
ということが分かります。

ここで勘違いされがちなのは、この金額が
「手取り」ではないということです。
また「手取り」金額の計算については後述
します。


・各種所得控除

給与所得控除とは別に、さらに所得から控除
して税金を計算していいですよという控除が
いくつかあります。

所得控除には全部で15種類あります。

医療費控除
社会保険料控除
地震保険料控除
配偶者控除
配偶者特別控除
扶養控除
小規模企業共済等掛金控除
寄附金控除
障害者控除
寡婦控除
勤労学生控除
雑損控除
基礎控除
ひとり親控除

この源泉徴収票の例を見ていただいて分かる
とおり、

・配偶者控除の額
・社会保険料等の金額
・生命保険料等の控除額
・地震保険料の控除額

などが記載されていますよね。
そのため、源泉徴収票からは何の所得控除で
いくら控除されているかということもチェック
することが可能です。

生命保険料控除については過去記事でも記載
していますのでご参考ください。

ちなみに、最近流行りの「iDeCo」については
「小規模企業共済等掛金控除」という控除に
当てはまります。

源泉徴収票の中では「社会保険料等の金額」欄
にある「内○千」という部分に記載されますので、iDeCoをしているという方はチェックしてみて
ください。

また、iDeCoだけでなく「企業DC」をされて
いる方も同様の表示方法となります。

iDeCoや企業DCについて知りたい方は過去記事
もご参考ください。


・所得控除の額の合計額

上記で控除として記載されていた金額の控除
できる合計額がここに表示されています。

しかし、おそらく金額が一致しないとなると
思いますが、ここに表示されていない控除
として「基礎控除」があります。

基礎控除はどなたでも必ず控除していい金額
としてある、誰でも共通の控除です。

基礎控除も合計所得金額によって下記のように
異なります。

出典:国税庁 No.1199 基礎控除

多くの方が2,400万円以下の部分に該当します
ので、表示されている控除金額に48万円を足す
と表示金額になるのではないかと思います。

この金額が給与所得控除後の金額からさらに
控除していいものとなり、その結果である金額
が最終的に税金のかかる金額となります。


・源泉徴収税額

では最後に確認したいポイントです。
本日のテーマでもある「源泉徴収税額」が記載
されています。

会社が国に収める税金として源泉徴収した金額
が記載されています。

上記の通り、給与所得控除後の金額からさらに
所得控除を引いた金額に税金がかかると説明し
ましたが、この税金のかかり方もテーブルごと
に分かれています。

出典:国税庁 No.2260 所得税の税率

では、上記の通り給与所得控除後の金額が、
3,560,000円として、

・基礎控除 48万円
・配偶者控除 38万円
・社会保険料等控除 70万円(仮定)

合計156万円の所得控除があったとします。
その場合、

3,560,000円 −1,560,000円
=2,000,000円

この200万円に税金がかかります。
一般的には「課税所得」とも言われます。

では、この200万円をテーブルに当てはめると、

2,000,000円 × 10% −97,500円
=102,500円

102,500円が所得税として源泉徴収された金額
ということになります。

おそらくご自身のものを計算されると、
若干誤差があると思います。

これは「復興特別所得税」といわれる東日本
大震災の復興の財源として一律全国民から徴収
している税金が加味されていないためです。

これも加味して計算を行うには102,500円に
さらに0.21%の税率をかけるとほぼイコールに
なると思います。
※ 100万円超の部分は0.42%の税率


いかがでしたでしょうか。

この紙一枚の源泉徴収票を紐解いていくと、
支給された額面の給与に対し、どのように税金
が徴収されているのかがよくわかりますよね。


では、会社員等の方がこの源泉徴収票を使う
というタイミングはどのような時でしょう。

例えば下記のような時です。

・住宅ローン控除を受ける場合
・医療費控除を申請する場合
・年収2,000万円以上で確定申告が必要な場合
・クレジットカード作成で収入証明をする場合
・ふるさと納税のシミュレーションを行う場合

このようなシチュエーションが挙げれます。
ぜひ毎年の源泉徴収票はしっかり確認して、
所得控除がしっかり活用できているかなど、
可能な節税は行っていきましょう。

いつでもご相談ください。

それでは。

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