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原書のすゝめ

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語学は楽しい♪ +読書は楽しい♪ =原書は楽しい♪♪ をコンセプトに記事を書いてみました。Let’s enjoy reading in the original language…
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#ミステリー

原書のすゝめ:#26 L’homme aux cercles bleus

原書のすゝめ:#26 L’homme aux cercles bleus

珍味というのは好みが分かれる。

それと同じで、独特の読み味にも好みが分かれる、と思う。

フレッド・ヴァルガスの作品を読んだことがある人は、ミステリファンでもそれほど多くはないだろう。フランス人でも好き嫌いが分かれるようだが、TVシリーズにもなっているぐらいだから、それなりに人気を博しているようである。

日本では、ヴァルガスの作品は在庫がなくなると書店の棚から消え、再版されることなく、やがて中

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原書のすゝめ:#22 Kvinden i buret

原書のすゝめ:#22 Kvinden i buret

昨年の暮れのこと。

興奮のあまり、つぶやきにしてはなかなか大きな声で叫んでしまった。

なんと楽天koboでは、この最新刊が電子書籍で試し読みができるらしい。

もちろん言語は、デンマーク語である。
文法はおろか、単語ですらほぼ未知の言語だ。

……。

読みたい……。

デンマーク語だろうがなんだろうが、最新刊が読みたい。となると、方法はただ一つ、ここはシャンポリオン法*しかない。

いつのま

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原書のすゝめ:#18 Rock, Paper, Scissors

原書のすゝめ:#18 Rock, Paper, Scissors

本を選ぶとき、普通は読みたい本を選ぶ。

私が本を読むのは、今いるところとは違う世界へ連れて行ってもらえるからである。だから読みたい本を手に取るわけだが、自分の知らない世界を教えてくれるのは、案外誰かが勧めてくれた本だったりする。

今回の本は、『Rock, Paper, Scissors』。
知人が面白いと言って貸してくれた本で、Alice Feenyのミステリである。筆者はBBCで記者やプロデ

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原書のすゝめ:#11 The Shadow Murders

原書のすゝめ:#11 The Shadow Murders

お気付きのとおり扉絵と表題のタイトルが違う。しかしこれは、同じ本なのだ。

そして、この本の邦題は、まだない。

原題の『Natrium Chlorid』はデンマーク語。
ということは、つまり、これは、北欧ミステリファンが首を長くして待っていた、例のあの本。
そう、特捜部Qの第9巻である。

年始にこの記事を見つけた瞬間、ついに邦訳刊行かと胸が躍ったのだが、文中の「『Natrium Chlorid

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原書のすゝめ:#10 La fille de Brooklyn

原書のすゝめ:#10 La fille de Brooklyn

Antibes, mercredi 31 août 2016.
À trois semaines de notre mariage, ce long week-end s’annonçait comme une parenthèse précieuse, un moment d’intimité retrouvée sous le soreil de fin d’été de la Côte d’

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原書のすゝめ:#3 Roseanna

原書のすゝめ:#3 Roseanna

今回は、Maj Sjöwall & Per Wahlööの『Roseanna』を取り上げる。スウェーデンの作家だが、原書が手に入らかなったので、今回は英語で読んでみる。

マイ・シューヴァルとペール・ヴァールーの二人は、刑事マルティン・ベックシリーズを共作で発表したスウェーデンミステリー小説の草分け的な存在である。

前回取り上げた『Travail soigné』の中で、犯人が傑作ミステリーとする

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原書のすゝめ:#2 Travail soigné

原書のすゝめ:#2 Travail soigné

今回は、Pierre Lemaitre の『Travail soigné』を読んでみる。原書はフランス語である。この時点ですでに少ない読者がさらに減った気がする。

くどいようだが、原書を読むといっても語学学習が目的ではなく、原書に触れる愉しさをお伝えしたいというのが目的なので、フランス語に抵抗を示さず読んでいただければと思う。あるいは、これをきっかけにフランス語への一歩を踏みだしていただける方が

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原書のすゝめ : #1 The Thursday Murder Club

原書のすゝめ : #1 The Thursday Murder Club

イギリス人の友人に薦められて買ったのが、このRichard Osman の『The Thursday Murder Club』である。

Book Depository のサイトでもおすすめになっていたので、発売前から気にはなっていたのだが、普段私はあまり新作には手を出さない。欲しいと思った本を片端から買っていたら部屋が本で埋め尽くされてしまうし、再読に耐えないと思われる本を買っても結局手放してし

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原書のすゝめ:序文

原書のすゝめ:序文

冒頭でお断りしておかなければならないのだが、この記事を読めば原書がスラスラ読めるようになるとか、原書としてお薦めの本を紹介しているとか、原書の文芸評論をしているとか、そういう実用的な記事ではないということである。

まがりなりにも英語を勉強したといえるのは大学入試までの一時期で、高校の担任の先生に「お前は文系なのに英語が弱いなぁ」と面談で言われたのも自分で納得できるほど英語が苦手だった。そういうわ

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