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原書のすゝめ

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語学は楽しい♪ +読書は楽しい♪ =原書は楽しい♪♪ をコンセプトに記事を書いてみました。Let’s enjoy reading in the original language…
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#原書

原書のすゝめ:#21 Les scrupules de Maigret

原書のすゝめ:#21 Les scrupules de Maigret

メグレ警視の捜査法は独特である。

犯行現場へ赴くと、状況を観察し、どのようにして犯罪が起こったのか、どのような人物が犯人たり得るのか、なぜ犯行に至ったのか、など人間や物を観察しながら事件を解明していく。

次々に事件を解決するメグレの名声は次第に高まり、のちにこれが「メグレ式捜査法」などと呼ばれることになる。

そして、ロンドン警視庁から「メグレ式捜査法」の「見学」にやって来る警部までいるのだ。

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原書のすゝめ:#17 SHIBUMI

原書のすゝめ:#17 SHIBUMI

私は、読書において道草食子である。

本を読んでいる時、ちょっとした言葉や表現に遭遇すると、それが引き金となって本筋から逸れて他のことを考えてしまう。

そうなると、本の続きを中断して頭の中では別の旅に出ずにはいられなくなるのだ。そしておそらく、私のような道草食子さんや横道逸男くんは案外おられるのではないか、と密かに思っている。

そんなわけで、本を読んでいてもなかなか先に読み進まないということが

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原書のすゝめ:#13 Fahrenheit 451

原書のすゝめ:#13 Fahrenheit 451

私はいつも「記事」を寝かせる。
長いものだと1年以上寝かせている。
というか、思いついた時に書いたものが溜まってしまうから、記事の方で勝手に寝ている。

そして、ときどき風味を確認しながら、発酵を待つ。書いた順ではなく、熟成したものから出荷する。そのため、季節感のあるものは少なく、トレンドにも乗らない。英語エッセイは頭に浮かんだ順に書いて、書いた順に投稿しているので、夏に冬の記事が掲載されていたり

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原書のすゝめ:#11 The Shadow Murders

原書のすゝめ:#11 The Shadow Murders

お気付きのとおり扉絵と表題のタイトルが違う。しかしこれは、同じ本なのだ。

そして、この本の邦題は、まだない。

原題の『Natrium Chlorid』はデンマーク語。
ということは、つまり、これは、北欧ミステリファンが首を長くして待っていた、例のあの本。
そう、特捜部Qの第9巻である。

年始にこの記事を見つけた瞬間、ついに邦訳刊行かと胸が躍ったのだが、文中の「『Natrium Chlorid

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原書のすゝめ:#9 The Promise

原書のすゝめ:#9 The Promise

原稿用紙10枚。
文章力をつけるために必要な枚数なのだそうだ。

私は、原稿用紙に換算すると8枚から10枚を目安に記事を書いている。きっちり字数を決めてもよいのだが、日本語以外の言語を使ったり、原文の引用があったりするため、厳密に決めないことにしたのだ。英語エッセイは手書きでA4用紙1枚程度である。

なぜ字数制限を設けるのかという問いに対して、Somerset Maughamサマセット・モームが

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原書のすゝめ:#8 Le Noël de Nicolas

原書のすゝめ:#8 Le Noël de Nicolas

フランス語を原書で読もう!

というテーマがあると、十中八九『星の王子さま』がベスト1に上がるのではないかと思う。
サン=テグジュペリの子どもが描いたようなデッサンと一見平易に見えるフランス語に、誰もが初心者でも読めそうな錯覚を覚えてしまうのではないか。

たしかに、フランス語自体はそれほど難しくはないかもしれないが、それでも中級者以上向けではないかと個人的には思っている。ついでに、この作品は語学

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原書のすゝめ:#6 The Mysterious Affair at Styles

原書のすゝめ:#6 The Mysterious Affair at Styles

インターネットでも本屋でも、本を検索すると何人かの翻訳者によって訳されている本が見つかることがある。当然、どの邦訳にしようかと迷うところである。表紙のデザインか、出版社か、あるいは翻訳者か。

選んだ選択肢が翻訳者である場合、読みやすい文章か、それとも文体が自分の好みにあっているか、あるいはその翻訳者が好きだからか、とその理由は人によってさまざまであると思う。

私は名前を覚えるのが得意ではないか

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原書のすゝめ:#4 THIS IS NOT MY HAT

原書のすゝめ:#4 THIS IS NOT MY HAT

Jon Klassenの絵本を最初に発見したのは、京都のジュンク堂だった。

私は地元にいても旅先でも、必ず本屋を徘徊する。とくに何かを探しているというわけではなく、ただ回遊魚のようにふらふらと書店の中を泳いで回る。そうすると、突然面白いものが目に飛び込んでくることがある。この絵本もその一つだった。

絵本コーナーの棚でたまたま目に入り、その絵の可愛さに惹かれて思わず手にとってみた。1ページ開いた

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原書のすゝめ:序文

原書のすゝめ:序文

冒頭でお断りしておかなければならないのだが、この記事を読めば原書がスラスラ読めるようになるとか、原書としてお薦めの本を紹介しているとか、原書の文芸評論をしているとか、そういう実用的な記事ではないということである。

まがりなりにも英語を勉強したといえるのは大学入試までの一時期で、高校の担任の先生に「お前は文系なのに英語が弱いなぁ」と面談で言われたのも自分で納得できるほど英語が苦手だった。そういうわ

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