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『神隠しの庭で、珈琲を』 第一話:サンクチュアリは嵐の先に #創作大賞2024
第一話:サンクチュアリは嵐の先に
この闇の先には、本当に光があるのだろうか。容赦なく降る雨は止み、夜は明けるのだろうか。
『いつまで、このまま夜間飛行を続ければいい?』
小さな子供のような顔をして、今にも泣きだしそうな彼の、震える肩に触れた。
『闇が最も深くなるのは、夜が明けるほんの少し前のことよ』
瀬名朝来は、温かいベッドの中で、夢を見ていた。いつもと同じ、真冬の雪嵐の夢だ。風がごう
創作大賞、小説をもう一遍応募したかったのですが、時間と文字数の壁を突破できそうになく、来年に持ち越しといたしました。焦って中途半端な状態で応募したくはないな、と思ったので……。じっくり書いて、納得のいくものに仕上げたいです。という訳で、ここからは読む方に回ります!楽しむぞ!
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創作大賞応募作「神隠しの庭で、珈琲を」が完結しました。第一話から最終話まで、それから作品のご紹介記事を公開しております。何も考えず、凄まじい連続投稿になってしまい、申し訳ありません。。
さあ、神隠しの庭で珈琲でも飲んで、一息つきませんか?
寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!!
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【創作大賞2024応募作のご紹介】「神隠しの庭で、珈琲を」
小説の中でなら、思い切り「お節介」ができるのではないか。それが、本作を執筆するきっかけとなった思いです。
生きていく上で、悲しみや苦しみが絶えることはありません。
悲しみや苦しみを消すことはできません。
けれど、もしも、人生に疲れた時に、こんな世界に迷い込んだとしたら。
自分の話にじっくりと耳を傾けてくれる人がいて
美味しい食事を、美味しく食べることができて
夜は
『神隠しの庭で、珈琲を』 最終話:未来への小さな扉を開く #創作大賞2024
最終話:未来への小さな扉を開く
「瀬名さーん! 瀬名朝来さーん! わかりますかー? 瀬名さーん!」
ピッ、ピッ、ピッという音が聞こえる。瞼は重く閉じている。力を入れるとぴくりと瞼が震え、目が少しだけ開いた。目の前が、ゆっくりと明るくなっていく。朝来の顔を覗き込んでいる誰かのぼんやりとした輪郭が、少しずつ明瞭さを取り戻す。
朝来が目覚めたのは、天窓がある屋根裏部屋ではなく、病院のベッドの上だっ
『神隠しの庭で、珈琲を』 第六話:あなたの話を聞かせてちょうだい #創作大賞2024
第六話:あなたの話を聞かせてちょうだい
「幸成さん! 待って!」
朝来は、フサヱさんの腕を振りほどき、屋敷の外へ出た。走ろうとしても、水の中にいるようで、足が思うように前に進まない。幸成と雪夏は、森に向かって滞りなく歩き、どんどん遠ざかっていく。
足を無理矢理に動かすと、体が何かに当たって止まった。透明な壁が、朝来を阻んでいた。朝来は、泣きながら、両手で壁を叩いた。
「通して! 通してよ!」
『神隠しの庭で、珈琲を』 第五話:それでも、朝は来る #創作大賞2024
第五話:それでも、朝は来る
夕暮れ時の常庭に、雨が降り続いている。屋敷の窓から空を見ると、雲が低く垂れこめ、霧のように森を煙らせている。窓に張り付いた雨滴は、ダイヤモンドのように輝く。小さい雨滴が、大きな雨滴に飲み込まれ、左右に小刻みに揺れながら、窓ガラスの上を滑り落ちていく。
小鳥の歌は聞こえない。代わりに、鼓膜が微かな遠雷を拾う。
朝来は、雨音を聴きながら、チェロを弾いていた。バッハ
『神隠しの庭で、珈琲を』 第四話:あなたは、この世界に必要 #創作大賞2024
第四話:あなたは、この世界に必要
常庭の象徴ともいえる、桜の老木の枝が風でしなる。花びらが、ひとひら、またひとひらと散り、春風に乗って旅を始める。この桜の花びらの総数は、どれくらいあるのだろう。同じように見えるたくさんの桜の花びらにも、きっとひとひらずつ個性があるのだろうと、朝来は、風に運ばれていく花びらを目で追った。
今日は、昼過ぎにお客様がみえると、フサヱさんが言っていた。洗濯は、フサ
『神隠しの庭で、珈琲を』 第三話:命を捨てないで #創作大賞2024
第三話:命を捨てないで
常庭に自生する植物たちは、眩しい午後の光を全身で浴びて、伸び伸びと生い茂っている。エンゴサクの青色が、カタクリのピンク色が、ルピナスの紫色や白が、他の様々な草花の色彩と、争うことなく調和している。
洗い立てのシーツとベッドカバーが、陽光の中ではためいている。ばらの香りを練り込んだ石鹸の香りが、風に乗って漂う。フサヱさんと朝来は、桜の老木の下にある、杉の一枚板のテーブル
『神隠しの庭で、珈琲を』 第二話:母であり、病人である前に #創作大賞2024
第二話:母であり、病人である前に
朝来とフサヱさんは、「常庭」の屋敷の玄関前に立ち、森を見つめている。屋敷の庭にある桜の老木が、森から吹く風に枝をしならせている。桜の枝が、柔らかに風を受け流すように、辛いことがあっても、心が折れずに生きられたなら、と朝来は思う。常庭にやって来るお客様は、皆、誰にも言えない苦しみを抱えている。朝来だってそうなのだろう。ただ今は、思い出せないだけだ。
フサヱさん
【感謝!!】すまいるスパイスで作品を朗読して頂きました!
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
暑さに弱い私は、北国の短い夏に早くも苦戦しています。外気温が三十度を超えると、やはり堪えます……。
早くも夏バテ気味の私ですが、そんな辛い気分を吹き飛ばす素敵なことが起こりました!
ピリカ文庫の三周年記念に、「誕生」というテーマで、寄稿のご依頼を頂きました。なんと、ピリカさん直筆のお手紙を、文学フリマ東京にてコッシ―さんから直々に頂戴したのです!こ
アニメが大好きです。創作大賞応募作を一通り書き終え、推敲のため一旦寝かせている間に、見ました!鬼滅の刃柱稽古編最終回!
ストーリーの緩急、キャラクター設定、伏線の回収、視聴者の寝首を搔く驚異の演出。そして何よりも、熱い想いが、心がある!
はあ……。なんて素晴らしいのでしょう。
創作大賞応募作「神隠しの庭で、珈琲を」。現在、最初からリライトしています。すごく大変だけど、すごく楽しいです。もしかしたら、書き直し前の作品を下書きに戻して投稿し直すかもしれません。スキ、コメントをくださったのに申し訳ありません……。けれど、白い画面の中はこんなに自由なんだなあ。
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