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【短編集】月曜日はウォーキング・デッド -音楽にまつわる創作ショートストーリー (3)
episode3. Raindrops Keep Fallin' on My Head ー雨にぬれてもー「だって、雨に濡れたら歌いたくなるじゃないですか」
はしゃぐ子犬みたいに無邪気に、そのひとは笑った。
Monday
「ごめん!急用入ったから、モーニング代わって」
マスターからの電話でたたき起こされた。
ただでさえ朝は苦手で、ただでさえ無愛想な私は、思いきり不機嫌なため息で答えた。
Flower of HOPE
“Buena Vista(いい眺め)!”
なぜだかその言葉が浮かんだ。
ゆっくりと遠ざかる、青く美しい惑星は
新しい一日の始まりを示す白い光に縁どられ、輝いていた。
「おはよう、地球。今日もきれいだね」
いつも通りの挨拶を、思わず口にする。
宇宙ステーションでの船外ミッションの途中、事故に遭った私は
糸の切れた凧のように宇宙に放り出されてしまった。
その絶望的な状況にも拘らず、「まあ、家族のいる
マイクロノベルまとめ(1)
2021年3月から、twitterで書き始めたマイクロノベル。7月までで35編となりました。そのなかで思い入れのあるものや残していきたいものをこちらにまとめたいと思います。
じんわり編
No.26 春告鳥
鶯に憑依して孫たちを待って丸二年。
現世は何やら悪い病が流行っているらしく、婆さんは寂しそうに山の向こうを眺めている。
鯉のぼり不在の竿にとまり鳴いてみる。元気だせやい、儂がおるでの。
【短編集】月曜日はウォーキング・デッド -音楽にまつわる創作ショートストーリー (2)
episode2.AfricaMonday 早起きした。身支度も鞄の中身も準備は万端。今日こそ学校へ行くんだ。
ひなたは持てる勇気を全部振り絞って玄関に立った。あとは靴を履いてドアを開けるだけ、それだけだ。白い靴ひもを、何度も結び直す。だんだんと手に汗がにじみ、口の中が冷たくなる。立ち上がってドアに手を掛けたその瞬間、胃がせりあがりのど元がざわつき、ひなたは慌てて靴を脱ぎ捨てトイレに駆け込む。
あべこべ小学校
#こんな学校あったらいいな
「今日から校長先生は、先生をやめて児童になります」
月曜日の朝の会のスピーカーから、校長先生の大きな声が響きました。
「ええっ、どういうこと?」
「校長先生、どうしたの?」
こどもたちは大騒ぎです。くんちゃんは、「騒いだら先生に怒られる」と思っているので、口をぎゅっと閉じています。
校内放送はそれっきりで黒板の上のスピーカーは黙ったまま。
くんちゃんは、担