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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2022年6月の記事一覧

気付き合えることって、すばらしい。

*ある劇団の稽古を見ながら、おもしろいことに気が付いた。というか、気付かせてもらった。そうか、人と人とがいるんだから、誰かが、他の誰かに何かに気付くということは、気付いた側と、気付いてもらった側がいるわけだ。「今のセリフ、自然に言えたんじゃない?」「あ、たぶんそうかも。自然だったかも!」なんて言葉が飛び交う稽古場を見学させてもらいながら、そんなことを考えていた。

「気付き合える」ことのすばらしさ

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けんかをしないことより、仲直りをすること。

*「けんかをしない方法」を考えるよりも、「仲直りをする方法」を考えておく方が、よっぽど役に立つかもしれない。けんかをしない方法とか、失敗しない方法とか、転ばない手立てとかを考えていくと、あるところを超えたら、どうしても先細りになってしまう。「自分が我慢したらいい」とか「挑戦しない」とか「歩かない」とか、何かをしないための一番簡単な方法は、それをしないことなのだから。

それに、どれだけ気をつけてい

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神は見返りを求める。

*吉田恵輔監督の新作映画、『神は見返りを求める』を観た。吉田恵輔監督は『BLUE』『空白』と立て続けに観て、個人的にとってもファンになった監督だ。『BLUE』はボクシング映画の中でも、珍しいと言うか、ありがちな展開を脱却した展開だったし、『空白』はなかなかしんどい映画だったけど、最後に連れて行ってもらった景色が明るい作品だった。今回の作品も、観ていてキツイなと思うところがあったけど、個人的には明る

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連詩遊び。

連詩遊び。

*京都のペルガグさんの店主に教えてもらって、よく遊んでいた「連詩遊び」を、最近はミュージシャンの友人たちと月に1回程度やるようになった。「連詩遊び」というのは、紙を蛇腹に折って、上から1行ずつ詩を書いていき、自分が書いたところから上の部分を折って見えないようにして、次の人に回す、という遊びだ。つまり、毎回、新しい行に新しい詩を書くことになる。前の行には何が書いているか分からないまま、この後に何が書

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ちょっと、話聞いてよ。

*「ちょっと話聞いてよ」と、思うことがたびたびある。たびたび、どころじゃ済まないかもしれない。でも、それなりに人に何でもかんでも話すわけじゃないし、ぼくは一人でうんうんと考えるのが好きなタイプだから、自分の中で完結させてしまうことが多い(完結といっても、?のまま置いておくこともあるけれど)。でも、誰かに聞いて欲しかったり、意見が欲しかったりすることは、たびたびある。そういうとき、会ってでも電話でも

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「壁」じゃなくて「窓」だったら。

*「壁にぶちあたる」とか「超えられない壁」とか、ひとつの試練や課題を表現する言葉として「壁」という単語がよく使われる。この感じは、言い得て妙だ。たしかに何度ぶつかってもまったく響かない感じや、どこから手をつけていいのか、どんなふうに飛び越えたらいいのか分からない、まったいらで大きな壁が目の前にそびえ立っている感じも、なんとなく分かる気がする。

しかし、だよ。ぼくはたびたび、この「壁」という表現を

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ことばは、実態ありきだ。

*恐れずに、はっきり言ってみよう。ことばは、いつだって調子がいいのだ。だって、どんなことばだって言うのは簡単だし、タダなんだから。無愛想な人間でも「愛想が大事だ」と言うのは言える。巷でウワサのやさしくないおじさんだって「やさしさってのが一番大切なことだよ」とは言えるのだ。その人がどんな人であろうと、そこに関係なくただ言葉を扱うことができる。もちろん、いいことだってたくさんあるし、自分を律するように

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感覚について考える。

*「感覚」というものを、みな誰しもが持っている。しかし、誰しもが持っているのにも関わらず、そのバランスというか、チューニングというか、何によく反応し、何に鈍いかは人それぞれ違う。どうしてみんな持っているものなのに、それを平等に作らなかったのだろうか、などと神様になったつもりで考えてみる。耳も、手も、足も、顔も目も、人間は誰しもみなほとんど同じ形状をし、ほとんど同じものを有しているというのに、その「

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位置エネルギーというものが。

*ほんとうはあるのに、ないことになってしまっていることがあるように、ほんとうはないのに、あることになってしまっていることがある。ぼくはそんなことのひとつを、仕事で取引先と打ち合わせをしながら考えていた。そのひとつを「位置エネルギー」と呼んでいる。

人と人とのあいだに、ほんとうはフラットで、対等なはずなのにそうじゃなくなってしまっている。主に「肩書き」とか「関係性」のせいなんだけどね。一万円札の人

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物件の近くに何があるとうれしいか?

*夏に控えている引越し先を決める上で、あらゆる条件を自分の中で細かく出してみる。「バスとトイレは必ず別」「キッチンコンロは2口以上」「シンクが広い」「できれば日当たりが良い」「リビングとは別に2部屋ある」など、いろんな条件を出してそのうえで、どこまで許容できるのか、優先順位なども勝手に決めてみたりする。いま上げたような条件は、生活していく上でとても優先順位が高いし、不動産会社やネットで検索をすると

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初心よりも初期衝動にならって。

*先日、石川武志さんという画家の方と仕事のやりとりをしていたときだった。夏に控えている個展の挨拶文をどうしようか、という話で、石川さんは絵のタッチやテイストが一定ではないことを時代背景と共に書ければ、という文章に意見を交わしながら添削をしていた。

ぼくも、文章のテイストを決めていないことに、よく「軸が定まっていない」とか「テイストを統一した方が分かりやすいよ」と言われたことがある。もちろん、言っ

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「節目」をつくるということ。

*日本特有(かどうかは知らないけれど)の文化で、いいなぁと思うものはいくつかあるけれど、そのなかでもひときわ「節目」があったり、つくったりという文化はとっても素敵だなと思うんですよね。正月があったり、卒業式があったり、なだらかだけどちゃんと季節があったり、節分とかもそう。えんえんと続いていく歴史や人生の中で「節目」があることは、とってもいいことだと思うのよ。

例えば「お葬式」なんてのもそうだ。亡

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ごめんの一言が言えたとしても。

*年に1、2回ほど、思いついたときに必ず見ている映像がある。映画やドラマほど長くなく、広告ほど短くもない、たった10分やそこらの映像だ。それは「学校へ行こう」という番組であった「未成年の主張」という、あの、屋上からワーッて叫ぶやつ。告白したり、先生にぶっちゃけたり、秘密を暴露したりといろんなケースがあったと思うんだけど、ぼくの見ている回は「ごめんなさい」の回だ。

部活動で一緒だった同級生に、ある

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記録が記憶を呼び起こす。

*職場で仕事をすることに飽きてしまって、パソコンを持って近くをぶらぶらと散歩していたら、年季の入った喫茶店を見つけて入った。アイスコーヒーを頼もうとしたが、店主のおすすめを断りきれず、バナナジュースを頼む。どこにでもあるようなバナナジュースで、可もなく不可もなく美味しかった。でも、店主が嬉しそうだったり、たくさんお話ししてくれたので、バナナジュースを頼んでよかったと思った。その後は、家に帰って焼き

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