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星野廉
2024年2月18日 07:46
本日、二月十八日は古井由吉(1937-2020)の命日です。 樹の下に陽が沈み、長い夜がはじまる。机に向かい鉛筆を握る。目の前には白い紙だけがある。深い谷を想い、底にかかる圧力を軀に感じ取り、睿い耳を澄ませながら白を黒で埋めていく。 目を瞑ると、そうやって夜明けを待つ人の背中が見えます。 合掌。※ヘッダーの写真はもときさんからお借りしました。 #古井由吉 #杳子 #夜明け
2023年11月26日 07:39
聞く「古井由吉」、見る「古井由吉」 古井由吉の小説では、登場人物は聞いているときに生き生きとしていて、見ているときには戸惑っているような雰囲気があります。 耳を傾けることで世界に溶けこむ、目を向けることで世界が異物に満ちたものに変貌する。そんな言い方が可能かもしれません。 * 私にとって「古井由吉」とは小説の言葉としてあります。それ以上でもそれ以下でもありません。かつて渋谷の
2023年12月3日 08:34
Ⅰ 一目瞭然、見てぱっと分かる 前回の「見る「古井由吉」、聞く「古井由吉」(その1)」では、以下の図式的な分け方をしてみました。*聞く「古井由吉」:ぞくぞく、わくわく。声と音が身体に入ってくる。自分が溶けていく。聞いている対象と自分が重なる。対象が染みこんで自分の一部と化す。世界と合体する。*見る「古井由吉」:ごつごつ、ぎくしゃく。事物の姿と形がそのままはっきりと見えるままで異物に変貌
2023年12月9日 07:39
前回に引きつづき今回も、『妻隠』における「見る「古井由吉」」と「聞く「古井由吉」」を見ていきます。*「見る「古井由吉」、聞く「古井由吉」(その1)」*「見る「古井由吉」、聞く「古井由吉」(その2)」 長い記事です。太文字の部分に目をとおすだけでも読めるように書いていますので、お急ぎの方はお試しください。Ⅰ 「見る「古井由吉」」と「聞く「古井由吉」」 まず、この連載でつかっている「
2024年2月3日 08:56
今回は、古井由吉のエッセイと小説を紹介します。 前回の記事でお知らせしましたように、しばらくnoteでの活動をお休みして読書に専念するつもりでいたのですが、気になる下書きが複数あるので、ペースをうんと落として投稿する方向に気持ちが傾いてきました。ふらふらして申し訳ありません。◆雪の描写 古井由吉が金沢大学の教員として金沢に住んでいたころを回想した文章を読んでいて、感動したことがあります