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きいろいぼう詩

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幾億年の物語

幾億年の物語

風に追われ 詰められた雲が
山を越えて 空を見つけた
ぽっかり空いて 抜ける風景
キミのココロは何を見るの?

息が上がるほど 駆け続けて
あそこまで もうちょっとって
やっと出会えた 陽だまりを
ボクはちっとも 楽しめなくて

止まった途端に 感じ始める
風が強く吹いて 流される雲が
置いてくぞって 急かすんだ
どうかキミに 吹かないように

幾億年も前から
その風はずっと吹いていて
何億年も前

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時の流星

時の流星

なにやってんの?って
耳を撫でた 赤いリボン
難しい顔のボクを
遠慮なく笑ったね

軽く払おうとした手
握り返して カウンター
燃えるような目が
ボクの無礼を戒めた

蝶のように軽やかに
ボクの視界を行き来して
いつの間にか二人
不思議の中に迷い込む

深い森に佇む たった二人
鏡の様に光る水 見つめている
どこから来たのと 訊ねもせずに
ここにあるだけの今を そっと握ってた

恋人と呼ぶには遠い

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【冬に咲く花】

【冬に咲く花】

「足が冷たいよ」 口とがらせ
手を重ねて ポケットの中
大きく見える 鉛色の空
木枯らしさえ 温かい

キミがいる 三度目の冬
時を重ねて ポケットの中
2Dの景色に ボクら二人
浮かんでいるね ふわり

北風が強くて 声が遠い
近付く口元 かかる息

今年こそは言おう
いつも言ってくれるキミに
明日こそは言おう
キミは笑ってくれるかな

「ちょっと高い」 口とがらせ
にらみつけてた あの店で

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映し鏡

映し鏡

交わりようのない論理
そう それが常識
いったい 誰が決めたんだ
歳とか 身分とか 性別さえも

叶いやしないよ消去
まあ それが安全
大人を 演じてくんだ
言い訳 帳尻 妥協の重ね着

今日もはじまる日常
でも これぞ鉄板
社会に 参加してんだ
これがボクだ こんなもんだ

ザラッと動き出す風景
息を飲むような時間と
背中に感じる威圧感
こんな毎日が人生か?
誰か答え合わせしてくれ

振動と騒音

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愛されたい

愛されたい

愛されたい
ボクはその欲求が狂気なほどに大きかった

夢を見た
深く果てしない暗闇にボク一人 漂っている

何もない
誰もボクを愛さない ボクもボクを愛せない

過去との邂逅
ボクはずっとそうやって 時を歩いてきた

空っぽの日々
何ひとつ積み上げもせず 憎み嘆く餓鬼

因果応報の今
誰もボクを愛さない ボクもボクを愛せない

闇の底 長い静寂
ゆっくりと目を開けば 遠くにほのかな灯(あか)り

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【小さな朝と珈琲と】

【小さな朝と珈琲と】

人と交わる予定のない
小さな朝はなぜか
いつもより早く
目が覚めてしまって

随分と昔からのボクの
小さな朝を思って
らしくもなくセンチに
眺めるように道のりを

ひとりぼっちであることを
小さな朝は見せつける
雨降りなんかはなおさら
奥の底からこみあげる

だけど 今は
この小さな朝ほど愛おしい
認めたくなくて苦しんで
泣くことさえ 叫ぶことさえ
ゆるすことを拒んだボクも

今朝のひとりを
ボク

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【こゆびの唄】

おやゆびさんは いいな
ごつくて 強くて カッコイイ
ひとさしさんも 超いいな
器用に動いて 頼りにされて
たかたかさんも くすりさんも
スッと高くて カッコイイ

わたしは こゆび
不器用 弱くて 頼りない・・・

果てしなく こゆび
みんなを羨む 出来ない子

みんなが 言います
そんなことないよ 大丈夫だよ
とっても 優しいです
あなたのままでいいんだよ

でも でも
イヤだ わたしはイヤだ

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うしろ姿

うしろ姿

壊れたガラス 眺めたまま
拾いも捨ても出来ないで
どことなく投げやりな心
通り過ぎてく ぼんやりと

昨日と同じ 昼の公園
おにぎりひとつ お茶ひとつ
用が済んだら早くいけ
空いたとなりが急かしてる

わかったよって 顔上げた
ボクの視界に飛び込んだ
冬の乾いた風纏い
空いたとなりを埋めた人

いつも見透かしたように
はしゃいで はにかんで
ボクの闇夜に陽を注ぐ
踊るように歌うように

出会った冬

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