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【冬に咲く花】

「足が冷たいよ」 口とがらせ
手を重ねて ポケットの中
大きく見える 鉛色の空
木枯らしさえ 温かい

キミがいる 三度目の冬
時を重ねて ポケットの中
2Dの景色に ボクら二人
浮かんでいるね ふわり

北風が強くて 声が遠い
近付く口元 かかる息

今年こそは言おう
いつも言ってくれるキミに
明日こそは言おう
キミは笑ってくれるかな


「ちょっと高い」 口とがらせ
にらみつけてた あの店で
「なんでやめたの?」 嫌そうな顔
苦笑いして 3か月

箱を抱えて 息も踊って
キミが待ってる 弾む足
ドアの先には 寒い部屋
ボクを待ってた この手紙

今朝の日差しが うそのよう
あの温もりが 溶けていく

なにを間違ったの?
なにも答えてくれなくて
全部ウソだったの?
月の灯りも消えていく


『今日まで楽しかった じゃぁね』
たった一行 キミの採点
恨んだっていいよね いいよね
ボクだって神様じゃないから

悔しくって むなしくって
捨てられたんだと わかってる
それでも キミが恋しくて
そんな自分を遠ざけた

ポストに届いた 分厚い封筒
差出人は 知らぬ人

ボクはホントに馬鹿過ぎて
キミの辛さを知れなくて
天使のようなキミのこと
信じる強さも持たなくて

どうして追いかけなかった?
今さらなにが伝わるの
石になったキミの前
やっと渡せた あのブーツ

凍える街を見渡せば
冷たく咲いて溶け消える
街路に咲いた雪の花
温かすぎて消えた花

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