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幾億年の物語

風に追われ 詰められた雲が
山を越えて 空を見つけた
ぽっかり空いて 抜ける風景
キミのココロは何を見るの?

息が上がるほど 駆け続けて
あそこまで もうちょっとって
やっと出会えた 陽だまりを
ボクはちっとも 楽しめなくて

止まった途端に 感じ始める
風が強く吹いて 流される雲が
置いてくぞって 急かすんだ
どうかキミに 吹かないように

幾億年も前から
その風はずっと吹いていて
何億年も前から
その光はずっと射していて

なのにどうして
風はボクを追い越そうとして
そしてどうして
光はボクを焦がそうとする

空を見上げる
耳を澄ます
風を感じる
宙(そら)が語り掛けるんだ


昔の物語 読み返すように
キミとのこと 想い出すんだ
激しく胸 叩かれ続けた
あの痛みが ふと蘇える

薄く張った 澄み切る氷
壊れやすい 人だったから
凍える風が キミに吹いて
風邪をひかないかな…って

その風は冷たくない
ずぶ濡れのシャツを乾かして
その風は雲を流し
陽ざしのもと 虹を架ける

全ては移ろって
全ては繋がって
全てはひとつって
宙が語り掛けるんだ


忘れてしまった あの日のこと
あたたかなココロに囲まれて
生まれたこと 育ったこと
キミもボクも誰だって
生きることが全てだった 愛の中で

幾億年も前から
その風はずっと吹いている
何億年も前から
その光はずっと射している

あたり前のように
その風はボクを守っていて
あたり前のように
その光はキミを愛している

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